在宅酸素療法を行っている場合は障害年金の対象となる場合があります。
障害年金は国民年金、厚生年金から支給される年金で老齢年金、遺族年金と同じ性質をもつ公的な年金です。
障害年金の受給要件を満たすことで障害年金を受給する事が出来ます。
在宅酸素療法による障害年金の受給
在宅酸素療法とは
在宅酸素療法はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、肺結核後遺症、間質性肺炎、肺がんなどが原因で低酸素血症となり呼吸不全の状態となった場合に自宅で酸素を吸入する方法です。
在宅酸素療法による障害年金
障害年金を受給するための一般的な要件
障害年金を受給するためには、障害年金の一般的な受給要件を満たす必要があります(受給資格)。
障害年金の一般的な受給要件を満たすためには初診日を特定し、特定された初診日を基準に保険料の納付要件を満たし、病状が障害認定基準によって定められた等級に該当する必要があります。
初診日の特定は一般的には初診日の病院にカルテに基づいて受診状況等証明書(初診日の証明書)を作成してもらうことで行います。
また保険料の納付要件は特定された初診日を基準に初診日がある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の国民年金保険料を支払っている(免除を受けている)か、65歳未満の場合で初診日がある月の前々月までの直近の1年間に保険料の未納がない場合に保険料の納付要件を満たすこととなります。
障害認定基準
常時(24時間)の在宅酸素療法を行っていてかつ軽い労働以外の労働に常に支障がある程度のものは3級(障害厚生年金3級)に認定されます。 国民年金・厚生年金別表(障害認定基準)より
※初診日の時点で国民年金に加入していた場合には、国民年金から障害基礎年金の給付となりますが、障害基礎年金には1級と2級しかなく3級がありませんので在宅酸素療法を行っていることのみによって請求する場合は障害年金を受給することはできません。
一方、初診日の段階で厚生年金に加入していた場合には障害厚生年金が支給されますが、障害厚生年金には1級~3級があるため在宅酸素療法を行っている場合には障害厚生年金3級を受給することができる可能性があります。
※また下記の臨床症状、検査成績、及び具体的な日常生活状況等によってはさらに上級等級(1級または2級)に認定される場合があります。
A表
区分 | 検査項目 | 単位 | 軽度異常 | 中等度異常 | 高度異常 |
1 | 動脈血O2分圧 | Torr | 70~61 | 60~56 | 55以下 |
2 | 動脈血CO2分圧 | Torr | 46~50 | 51~59 | 60以上 |
B表
検査項目 | 単位 | 軽度異常 | 中等度異常 | 高度異常 |
予測肺活量1秒率 | % | 40~31 | 30~21 | 20以下 |
国民年金・厚生年金法別表(障害認定要領)より
【一般状態区分表】
(ア)・・・無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等に振る舞えるもの
(イ)・・・軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。例えば軽い家事、事務など
(ウ)・・・歩行や身の回りのことはできるが、ときに少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
(エ)・・・身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外での外出等がほぼ不可能となったもの
(オ)・・・身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるもの
【上記A表・B表・一般状態区分表を踏まえた認定基準】
1級・・・前記(4)のA表及びB表の検査成績が高度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表の(オ)に該当するもの。
2級・・・前記(4)のA表及びB表の検査成績が中度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表の(エ)又は(ウ)に該当するもの。
3級・・・前記(4)のA表及びB表の検査成績が軽度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表の(ウ)又は(イ)に該当するもの。
国民年金・厚生年金法別表(障害認定要領)より