身体表現性障害は1980年ごろから使用されるようになった病名でかつては心気症、神経衰弱、ノイローゼ、自律神経失調症などと診断された疾病を含む概念です。
身体表現性障害は神経症のカテゴリーに含まれ神経症は障害年金の対象外とされている為、身体表現性障害で障害年金を受給することは原則として難しいと言えます。
一方で現在、身体表現性障害と診断されている場合でも障害年金を受給できる場合があります。
目次
身体表現性障害とは
症状
身体の様々な部位の痛み、吐き気、下痢、腹痛、倦怠感、食欲不振、物事に対する過剰な心配、外見に対する過度の心配などの症状があります。
原因
原因は良く判っていません。遺伝的要素、ストレス、心理的・社会的要素などが原因ではないかと言われています。
身体表現性障害での障害年金の受給
原則として障害年金の対象外とされます
身体表現性障害の場合は原則として障害年金を受給する事が出来ません。身体表現性障害(神経症)は障害認定基準によっても障害年金の対象外と定められています。
神経症にあってはその症状が長期間持続し一見重症なものであっても原則として認定の対象とならない。 国民年金・厚生年金法別表(障害認定基準)より
身体表現性障害が障害年金の対象外とされる実質的な理由は以下のものを挙げる事が出来ます。
①身体表現性障害はうつ病や統合失調症などの精神病と比べ一般的に病状が軽いと看做されている
②身体表現性障害の場合は自らの意志で治療を行い病状を改善させる事が出来る
③身体表現性障害の患者にある身体表現性障害の症状が現れることへの一種の心理的現実的満足(疾病利得)がある
身体表現性障害で障害年金を受給できる場合
精神病の病態を示している場合
身体表現性障害の病状が重く精神病と同じ病態を示している場合は診断書の⑬「備考」欄に「精神病の病態を示している」旨の記載と精神病(うつ病等)のICD-10コードを記載してもらうことで障害年金を受給できる場合があります。
精神病が併発している場合
身体表現性障害の他にうつ病などの精神病を併発している場合は診断書の①「障害の原因となった傷病名」欄に「うつ病・身体表現性障害」などと併記してもらうことで障害年金の対象となる場合があります。
うつ病などの精神病の場合
初めは身体表現性障害と診断されている場合でも障害年金の手続きを開始し、担当医師に診断書の作成を依頼すると身体表現性障害ではなくうつ病と診断名が変更となる場合があります。
医師は患者に病名を逐一教えない場合があり、初めは身体表現性障害と診断していてもうつ病の治療を行っている場合があります。
このことから、障害年金の手続きを行う際は、病名について今一度担当医師に確認する必要があり、場合によってはうつ病など障害年金の対象となる傷病名に変更となる場合があります。