今回は弊所でお手続きを代行いたしました武蔵野市にお住いの50代男性の人工透析による障害年金の請求手続きにつきまして解説させていただきたいと思います。
人工透析は糖尿病やその他のご病気により腎不全を起こし腎臓が働かなくなってしまうため失われた機能を補うために行われます。
人工透析を開始された場合は障害年金の対象となります。
目次
武蔵野市の50代男性の障害厚生年金の受給事例
結果
障害厚生年金2級決定
年金額:163万7767円
ご相談内容
半年ほどを前から人工透析を開始しましたが、人工透析を行っていると障害年金が受給できるとお聞きになりご自分で手続きを開始しましたが、初診日の特定で行き詰まりてしまい、ご相談をいただきました。
詳しくお話を伺ったところ、16年ほど前に尿が出にくくなる症状があり、武蔵野市内の病院を受診したところ、糖尿病と高血圧を指摘され治療を開始したとのことでした。
その後も病院を継続的に受診し治療を行っていましたが、日常生活や就労にはそれほど支障は来していなかったとのことでした。
その後も投薬治療を継続されましたが2年ほど前に呼吸困難などの重篤な症状が出てしまい武蔵野市内の病院に入院を余儀なくされたとのことでした。
退院後、一時職場復帰されましたが病状が回復されず武蔵野市内の病院に入退院を繰り返すこととなってしまったとのことでした。
その後、循環器の病気も患ったことがきっかけとなり、人工透析を開始することとなったとのことでした。
ただ、初診時から16年経過していたこともあり初診時の病院にはカルテが残っておらず、パソコンに残っていた受診の日付のみしか分からなかったとのことでした。
やむなく受診状況等証明書を作成してもらいましたが内容は受診の日付以外は空欄となっていました。
このためご友人お二人に「初診日に関する第三者からの申立書」を作成していただくことで初診日の特定が認められ障害厚生年金2級の受給することが出来ました。
今回の請求のポイント
初診日の特定
障害年金を受給するためには初診日を特定する必要があります。
初診日とは当該ご病気で初めて医師の診察を受けた日を言います。
一方で、糖尿病が原因で腎不全となり、人工透析を開始した場合には糖尿病で初めて医師の診察を受けた日が初診日となります。
健康診断で高血糖や尿タンパクを指摘され病院を受診した場合は健診の日ではなく病院を初めて受診した日が初診日となります。
初診日の特定は一般的には受診状況等証明書という書類を病院に作成してもらい行いますが、本件の場合は初診日が16年ほど前でしたので病院にカルテが残っておらず、受診状況等証明書を完全な形で入手することができませんでした。
このため、不完全な内容の受診状況等証明書を補うため、「初診日に関する第三者からの申立書」を添付しました。
「初診日に関する第三者からの申立書」は、初診日当時の病状や受診状況をご存じの三親等内の親族以外の知人等に当時の状況を記載してもらう書類です。
※三親等内の親族とは叔父様、叔母様等を言いますのでそれよりも遠い親戚かあるいは友人等血縁関係にない方にお願いします。
初診日に関する第三者の申立書は病院にカルテが残っていない等の理由で初診日の特定が難しい場合に利用できる有効な手段といえます。
ただ三親等内の親族以外の友人等に申立書の作成をお願いしなければなりませんので精神的に少しハードルが高くなります。
本件の場合は初診日に関する第三者からの申立書で初診日の特定を行うことが出来ましたが、人工透析で障害年金の請求を行う上で最も困難な点は初診日を特定する作業といえます。
人工透析の原因・遠因・誘因が糖尿病であるケースが多いのですが、糖尿病の初診日から長期間経過している場合が多くカルテが廃棄されたり病院が廃院していることが多く受診状況等証明書を入手できない場合が多くあるからです。
障害認定基準
障害年金を受給するためには障害認定基準(認定要領)で定められた等級に該当している必要があります。
本件の場合は腎不全で人工透析を開始されていました。
人工透析を行っている場合はその時点で障害年金2級に該当します。
稀に窓口で人工透析を行っていても他の病状が軽い場合は2級に認定されない場合があると説明を受ける場合がありますがそれは間違いで人工透析のみで確実に2級となります。
このことから人工透析を開始された場合は迷わず障害年金のお手続きを開始されることをお勧めいたします。
まとめ
・人工透析を開始した場合は障害年金2級の等級(以上)に該当します。
・人工透析の原因が糖尿病の場合は初診日は糖尿病の初診日となります。
・初診日の証明が困難な場合は「初診日に関する第三者からの申立書」又はその他の方法を利用して初診日の特定を行います。