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化学物質過敏症とは
化学物質への暴露(ばくろ)が個人の許容量を超えるとその後に原因化学物質への微量暴露であっても免疫障害、自律神経障害、精神障害、臓器障害などのアレルギー疾患または中毒的な多種類の体調変調をきたし化学物質に対し過敏状態となることがある疾患です。 日本年金機構「照会様式」より
化学物質過敏症はその病状により障害年金を受給できる可能性がある疾病です。
原因物質
化学物質過敏症の原因物質として車の排気ガス、タバコの煙、殺虫剤、除草剤、ガソリン臭、ペンキ・シンナー、消臭剤・漂白剤・洗剤、床ワックスなど、特定の香水、芳香剤、制涼剤、コールタール・アスファルト臭、マニキュア・除光液・ヘアスプレー・オーデコロン、新しいじゅうたん、カーテン、新車の臭いなどを挙げることが出来ます。
症状
化学物質過敏症は上記の原因物質により下記の症状が出ると言われています。
【頭部】・・・頭痛、頭の圧迫感、いっぱいに詰まった感じなどの頭部の症状
【粘膜・呼吸器】・・・目の刺激、焼ける感じ、しみる感じ、息切れ、咳のような気管や呼吸症状、たん、鼻汁が喉の奥のほうへ流れる感じ、風邪にかかりやすい
【心・循環】・・・動悸、脈のけったい(不整脈)、胸の不安感などの心臓や胸の症状
【胃腸】・・・お腹の痛み、胃痙攣、、膨満感、、吐き気、下痢、便秘のような消化器症状
【泌尿器・生殖器】・・・陰部のかゆみまたは痛み、トイレが近い、尿失禁、排尿困難(女性の場合には生理時の不快感、苦痛などの症状)
【皮膚】・・・発疹、じんましん、アトピー、皮膚の乾燥感
【筋・関節・骨】・・・筋肉、関節の痛み、、痙攣、こわばり、力が抜ける
【神経・末梢神経】・・・目まい、立ちくらみなどの平衡感覚の不調、手足の協調運動の不調、手足のしびれ、手足のチクチク感、目のピントが合わない
【情緒】・・・緊張しすぎ、あがりやすい、刺激されやすい、鬱、泣きたくなったり劇場的になったりする、以前興味のあったものに興味が持てないなどの気分の変調
【認識】・・・集中力、記憶力、決断力の低下、無気力なども含めた思考力の低下
化学物質過敏症による障害年金の受給
もっとも重要な書類である診断書
障害年金を受給するためには病状が障害年金の障害認定基準に該当する病状である必要があります。
そして障害年金の手続きは書面審査ですのでこの病状を担当医師に診断書に反映してもらう必要があります。
化学物質過敏症による障害年金の手続きには、「血液・造血器・その他の障害用の診断書(様式第120号の7)」を用います。
「血液・造血器・その他の障害用の診断書(様式第120号の7)」の診断書の内化学物質過敏症により記載が必要な分は限られており、特に重要な部分は診断書表面「⑫一般状態区分表の欄」と診断書裏面の「⑮その他の障害欄の1.(1)自覚症状(2)他覚症状の欄」です。
診断書表面「⑫欄一般状態区分表の欄」はア~オのどれかに〇をつける一見軽視されがちな部分ですがこの部分に対する医師の判断が障害年金の受給の有無や年金の等級を決定する場合がありますので注意が必要です。
※医師は患者が化学物質過敏症によって日常生活や就労にどのように支障が生じているのかといった点を必ずしも十分に理解しているとはいえません。
このことから診断書の作成依頼を行う際は、日常生活や就労にどのように支障が生じているのかといった点を担当医師に明確に伝える必要があります。
診断書とともに提出が必要な「照会様式」
障害年金の手続きにおいて、一般的には「照会様式」の提出を求められることはありません。
一方で化学物質過敏症、線維筋痛症、慢性疲労症候群、脳脊髄液減少症などの判断の難しい疾病に関しては、診断書とは別に「照会様式」の提出が必要となります。
このことから、担当医師に診断書の作成を依頼する際に診断書用紙とは別に「照会様式」の用紙を手渡し作成依頼を行う必要があります。
化学物質過敏症の手続きに必要な「照会様式」の内容は当該ページでご紹介した化学物質過敏症の原因物質と症状について自身に当てはまる項目に1~10の重症度に合わせて評価し記載します。
その他米国疾病予防管理センターによって作成された以下のPS(Performance status)によって10段階の内どの段階に病状が該当するかを記載します。
PS0・・・症状がなく平常の社会(学校)生活ができ、制限を受けることなく行動できる。
PS1・・・通常の社会(学校)生活ができ、労働(勉強)も可能であるが、症状を感ずる時がしばしばある。
PS2・・・通常の社会(学校)生活ができ、労働(勉強)も可能であるが、症状のためしばしば休息が必要である。
PS3・・・症状のため月に数日は社会(学校)生活や労働(勉強)ができず自宅にて休息が必要である。
PS4・・・症状のため週に数日は社会(学校)生活や労働(勉強)ができず自宅にて休息が必要である。
PS5・・・通常は社会(学校)生活や労働(勉強)は困難である。軽作業は可能であるが週のうち数日は自宅にて休息が必要である。
PS6・・・調子の良い日には軽作業は可能であるが、週のうち50%以上は自宅にて休息が必要である。
PS7・・・身の回りのことはでき介助も不要であるが、通常の社会(学校)生活や軽労働(勉強)は不可能である。
PS8・・・身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり日中の50%以上は就床している。
PS9・・・身の回りのこともできず介助がいり、終日就床を必要としている。
※PS0とPS1は障害年金の対象とはならず、PS2~PS4が障害年金3級に該当する可能性があり、PS4~PS8が障害年金2級に該当する可能性があり、PS9が障害年金1級に該当する可能性があります。