障害年金を神経症(パニック障害・強迫障害など)で請求しても認められる可能性が少ないのが現状です。うつ病や統合失調症での障害年金の受給が認められている中で神経症は障害年金の請求が認められていません。
目次
神経症での障害年金の請求
原則として障害年金の受給は認められません
神経症にあってはその症状が長期間持続し一見重症なものであっても原則として認定の対象とならない。 厚生労働省障害認定基準
障害認定基準には上記のような規定があり、神経症は障害認定の対象とされていません。
神経症が障害年金の対象外とされる実質的な理由は以下のものを挙げる事が出来ます。
①神経症はうつ病や統合失調症などの精神病と比べ一般的に病状が軽いと看做されている点
②神経症の場合は自らの意志で治療を行い病状を改善させる事が出来ると言う点
③神経症の患者にある神経症の症状が現れることへの一種の心理的現実的満足(疾病利得)
このため、一口に神経症といっても、パニック障害や強迫性障害、社会不安障害など多岐にわたりますが、神経症の場合は原則として障害年金は受給できません。
神経症でも障害年金が認められる場合
精神病と同様の病態を示している場合
神経症の場合でもその病状が重く精神病と同様の病状を示してる場合には、例外的に障害年金の対象となる場合があります。
ただしその臨床症状から判断して精神病(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害または気分(感情)障害)と同様の病態を示しているものについては統合失調症または躁鬱病に準じて取り扱う 厚生労働省障害認定基準
この場合には、障害年金用の診断書の⑬欄「備考」に「統合失調症等の病態を示している旨を記載しICD-10コードを合わせて記載する必要があります。
ICD-10コードは記載が義務付けられていますので、ここで ICD-10コードを記載しなかった場合にはこの例外での取り扱いが難しくなる場合があります。
※ICD10コード・・・世界保健機関(WHO)によって定められた国際的な疾病の分類で精神及び行動の障害においては、F0~F9の分類があり主なものを挙げると下記のようになります。
- F2・・統合失調症・統合失調型障害及び妄想性障害
- F3・・気分(感情)障害
- F4・・神経症性障害・ストレス関連障害及び身体表現性障害
- F7・・知的障害
通常ば障害年金(精神の障害用)の診断書の表面の右上の①欄にこのICD-10コードの記載欄がありますので、神経症で上記の例外的な取り扱いを希望する場合は⑬欄に必ず記載する必要があります。
気分(感情)障害を併発している場合
原則として神経症での障害年金の請求は認められませんが、神経症の他にうつ病などの気分障害(感情障害)を併発している場合には、障害年金の請求が認められる場合があります。
この場合には診断書の病名欄に「うつ病・パニック障害」などのように病名を併記してもらいます。
診断書を担当の医師に作成してもらう場合、うつ病のような病状がある場合には「障害の原因となった傷病名①欄」にうつ病の病名を併記してもらうことが重要です。
まとめ
原則として神経症の場合には、障害年金の請求は認められません。一方で、精神病と同様の病態を示している場合や気分障害(感情障害)を併発している場合には、障害年金の受給が認められる場合があります。