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遡及請求について
障害年金の手続きにおいて、原則として初診日から1年6ヶ月を経過した日を障害認定日といます(例外があります)。
障害年金は原則としてこの障害認定日(以後3ヶ月以内)の診断書を取得することによって請求することができます(本来請求、認定日請求)。
一方で、いろいろな事情により障害認定日に請求しなかった場合に障害認定日から1年以上経過した時点で障害認定日の診断書と現在の診断書の2通を提出することによって請求する手続きを遡及請求といいます。
遡及請求が認められた場合は障害年金は、認定日の属する月に受給権が発生し、その翌月分から年金を受給することができます。
遡及請求における時効について
この遡及請求によってさかのぼって受給できる年金は、5年によって時効消滅してしまいます(国民年金法102条1項、厚生年金保険法92条1項)。
このことから、遡及請求によってさかのぼって請求できる年金は最大で5年分ということになります。
また、消滅する年金は請求日から5年前の日以前の年金ということになりますので、受給できる年金は直近の5年間ということになります。
例えば、障害認定日から10年経過し初めて障害年金が受給できることを知り、認定日時点の診断書と現在の診断書を入手し手続きをした場合、遡及請求が認められた場合は本来であれば10年分の年金を受給することができます。
ただ、法律により5年以前の分は時効により消滅することになっていますので、直近の5年間以前の分は時効消滅し、受給することはできません。
国民年金保険料について
障害基礎年金または障害厚生年金1級または2級に該当する障害年金の受給者は国民年金保険料の法定免除に該当します。
法定免除に該当する場合には、申請することなく法律上当然に保険料は免除されますが、法定免除に該当するに至ったときは所定の事項を記載した届出書に国民年金手帳を添えて14日以内にこれを日本年金機構に提出しなければならないと定められています。
一方で、遡及請求によって障害年金を受給できるようになった場合、障害年金自体は5年間のみの受給となり、それ以前の分は時効消滅してしまいますが、国民年金保険料は時効消滅しないため障害認定日にさかのぼって法定免除扱いとなりますので、保険料を返してもらいたいと思う場合には手続きを行うことで返還してもらうことができます。
ただここで注意しなければならないのは法定免除期間に関しては、老齢基礎年金は半額となってしまいますので今後ご病気が回復し、65歳以降に老齢年金を受給する可能性がある場合には法定免除を行うかどうかについて検討する必要があります。
一方で、今後回復する可能性のないご病気(障害)の場合には65歳以降も老齢基礎年金ではなく、障害基礎年金を受給し続けることとなりますので、認定日以降の国民年金保険料の返還請求した方が良い場合といえます。