目次
変形性股関節症とは
変形性股関節症の原因
変形性股関節症とは長年骨や股関節を使用することによって関節の軟骨がすり減ったり骨が変形してしまうことで痛みが出たり、また動作に支障が生じてしまう病気です。
変形性股関節症の原因には加齢などが原因となるものと、生まれつき股関節の骨盤に異常がある臼蓋形成不全や発育性股関節脱臼、大腿骨頭すべり症、ぺルテス病などの小児期に発症する病気が原因となるものがあります。
変形性股関節症は臼蓋形成不全が原因となってる場合が多いと考えられます。
臼蓋とは股関節の大腿骨の先端部分を受けとめる受け皿のような形をした骨のことでこの骨の形成がうまくいかないために骨と骨が摩擦を起こし軟骨が減ってしまい、このことは変形性股関節症の原因となります。
変形性股関節症の症状
変形性股関節症は、関節の痛みと機能の障害が主な症状といえます。
変形性股関節症の初期症状として立ち上がる際や、歩き始める際に股関節部分(足のつけ根)に痛みを感じる症状があります。
その後、病状が悪化すると継続的に痛みを生じるようになり一日中痛みが抜けない場合もあります。
このため、日常生活の動作にも支障が生じるようになり、衣服を着たり脱いだりするとき、靴下を履くとき、トイレの用足し時や台所仕事のときまた外出時の階段の上り下りなどの動作に支障が生じるようになります。
変形性股関節症は小児期の股関節の病気が原因となって発症するケースが多いため女性が多く発症します。
また体重の重い方は症状も悪化しやすくなる傾向にありますので、ダイエットを行ったりまたどのような動きをすると股関節に負担がかかるかなどご自身で知る必要があります。
変形性股関節症による障害年金
障害認定基準
一般的な障害認定基準は以下のような基準によって1級~3級の障害に分類されます。
1級・・・身体の機能または障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。
この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。
2級・・・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
この日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは必ずしも他人の助けを借りる必要はないが日常生活は極めて困難で労働により収入を得ることができない程度のものである。
3級・・・労働が著しい制限を受けるかまたは労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
請求のポイント
病状
変形性股関節症による障害年金を請求するためには病状が上記障害認定基準に該当する程度のものでなければなりません。
ただ障害認定基準は大まかな基準であるため分かりにくい部分もあります。
目安となる基準としては、杖を使わなければ歩けない状態になった場合に障害年金3級、車椅子を使用しなければならないような状態になった場合に障害年金2級に該当する場合が多いといえます。
また日常生活の動作において杖などの補助用具をしない状態で動作を行った場合に、片足で立つことができるかどうかまた正座や横座りあぐらなどの姿勢で座ることができるか、深くお辞儀をすることができるか、屋内で歩くことができるか、屋外で歩くことができるか、また立ち上がる、階段を上る、階段を下りるなどの各動作が行えるかどうかで等級に該当するかどうかの判断がされます。
更に目を閉じた状態で立位を保持することができるか、また目を開けた状態で10メートルを歩行することができるかどうかなどの各動作でも判断されます。
またその他補助用具の使用状況として、杖を常時使っているかどうか、車椅子を常時使っているかどうか、その他の補助用具を常時使っているかどうかなどで判断されます。
人工股関節置換の場合は3級
人工関節または人工骨頭をそう入置換した者は障害厚生年金3級に認定されます。
一方で、①両下肢それぞれに人工骨董または人工関節を挿入し置換している場合で二下肢目に挿入置換手術を行ってから1年以上経過している場合で、立ち上がる、歩く、片足で立つ、階段を上る、階段を下りるなどの日常生活動作が実用性に乏しほど制限されている。
②下肢障害の主な原因及び程度評価の根拠が自覚症状として疼痛のみによるものではなく医学的、客観的にその障害を生ずるに妥当なものである。
③下肢の障害の状態が行動量、気候、季節などの外的要因により一時的に大きく変動するものでなく永続性を有すること。
以上3つの要件の全てに該当する場合は2級に認定される場合があります。
初診日
人工関節または人工骨頭をそう入置換した場合には、原則として障害厚生年金3級に認定されます。
一方で、変形性股関節症の原因が幼少期からの臼蓋形成不全にあり、幼少期にギブスなどで固定し、治療を受けている場合には、20歳前傷病による障害年金として障害基礎年金の対象となり、障害厚生年金の対象とならない場合があります。
この場合は1箇所に人工関節または人工骨頭を置換しているだけで他に症状がない場合には、障害年金を受給できない場合が発生します。
また逆に、幼少期に一時期的に治療を受けていたものの、その後、症状などは出ず成人になってから初めて症状が出て病院を受診した場合には、障害厚生年金の対象となる場合もあります。
このため、変形性股関節症によって障害年金を請求する場合には、病歴就労状況等申立書やアンケートの記載に注意する必要があります。
もちろん、幼少期から継続的に股関節に症状があり、また受診も継続している場合には、20歳前の傷病として障害基礎年金の対象となりますが、幼少期に一時期ギブスをはめていたものの、成人になって初めて症状が出て厚生年金加入時に受診した場合にはその旨を明確に記載する必要があります。
まとめ
- 人工関節・人口骨頭をそう入置換したものは原則として障害厚生年金3級に該当します。
- 両股関節に人工骨頭または人工関節をそう入、置換しており日常生活の動作に著しい支障が生じている場合には、障害年金2級に該当する場合もあります。
- 人工関節または人工骨頭をそう入、置換していない場合でも日常生活や就労に支障が生じる程度の病状の場合にはその病状のみで障害年金の対象となる場合もあります。
- 幼少期にギブスを使用していたことのみによっては20歳前傷病となることはありません。