目次
八王子市の男性の膵頭部癌による障害厚生年金の受給例
結果
障害厚生年金3級決定
年金額 599,900円
遡及額 2,825,000円
ご相談
現在から6年ほど前に健康診断で肝機能不良を指摘され、その後、膵頭部癌と診断され、抗がん剤治療や高カロリー点滴を行っていたが1年ほど前から体調が急激に悪化し、現在は一日横になっていることもあるとのことで障害年金の手続きを希望しご相談のお電話をいただきました。
保険料の納付状況について確認したところ、初診日以前はサラリーマンを行っていたため、厚生年金に加入しており年金保険料の未納はないとのことでした。
このため、ご面談を実施し詳細にお話を伺うこととなりましたが、現在体調不良のため外出ができないとのことでしたので八王子市内のご自宅でお話を伺うこととなりました。
ご面談
八王子市内のご自宅に伺ったところ、奥様とご本人のお二人でご面談に出席されました。
初診時からの様子を詳細に伺ったところ、今から6年ほど前に会社の健康診断で肝機能不良を指摘され、入院し検査を実施したところ、膵頭部癌と診断されたとのことでした。
その後、転院し精密検査を行いましたが、手術不能と診断されたとのことでした。
その後、糖尿病を併発する可能性があったため、併発時に有効な治療が受けられるということで病院を転院しました。
その後、肝機能の改善の為、経皮経肝ドレナシー(PTCD)を行い、現在も継続中とのことでした。
そして抗癌剤治療を開始したがこの頃より体調が不良となり、職場を休職することになったとのことでした。
その後も月に3回ほど受診し抗がん剤治療を継続しておりまた経済的事情もあり、在宅で数時間勤務しているが、体調不良により仕事にならない日も多く、このため、抗がん剤治療中断することもあるとのことでした。
現在も在宅での仕事を継続しているが正社員から契約社員となり、また体調不良のため一日中横になっていることも多いとのことでした。
ご面談時のご本人のご様子も点滴を常時行っている状態が見て取れ、日常生活や就労に支障が生じている様子が伺えました。
初診時の病院について伺ったところ、初診時のカルテが現在も残っておりまた認定日での受診病院は現在受診している病院と同じ病院であるためカルテも残っていることをご本人がすでに確認済みでした。
このため、認定日請求が可能である旨お伝えしました。
請求手続き
初診日の特定については、健康診断によって異常を指摘されその後病院を受診した場合には、かつては健康診断によって異常が指摘された日が初診日となっていましたが、現在は特別な事情がない限り健康診断の結果を受けて病院を受診した日が初診日となります。
本件の場合も健康診断を受診し、その結果を受けて病院を受診していたため健康診断の結果受診した病院に受診状況等証明書(初診日の証明書)の作成依頼を行いました。
また、診断書に関しては、認定日から現在におけるまで同じ病院に通っていたため、認定日時点での診断書と現在の診断書の二通を現在受診している病院に作成依頼を行いました。
癌による障害年金の請求においては日常生活や就労にどれだけ支障がが生じているかという点が年金の受給を左右します。
一方で担当医師は日常生活や就労に関して必ずしもご本人とともに生活をしているわけではありませんので、詳細については理解していない場合もあります。
このため、ご面談時に伺った内容をもとに日常生活や就労ついて支障が生じていることについて依頼状に詳細に記載し診断書用紙に添付することとしました。
受診状況等証明書及び診断書の完成後、内容を確認したところ受診状況等証明書については問題がありませんでしたが、診断書に関しては、現症日の日付が現在の診断書と認定日の診断書で同じ日付となっていたため弊所から病院に直接修正依頼を行い、修正してもらうこととなりました。
また病歴・就労状況等申立書ついても障害年金の請求においては、最も重要な書類の一つですが癌による障害年金の請求の場合には日常生活にどれだけ支障が生じているかという点が審査の結果を左右しますので、この点についても詳細に記載しました。
その後その他必要書類を弊所にてそろえ手続きを終了しました。
請求手続きのポイント
健康診断の結果を受けて病院を受診した場合には、以前は健康診断の日が初診日とされていましたが、現在は、健康診断を受けて受診した病院の受診日が初診日とされています。
また本件では、障害認定日と現在受診している病院が同じ病院であったために認定日時点の診断書と現在の診断書の作成依頼をスムーズに行うことが可能となりました。
また癌による障害年金の請求においては、日常生活や就労にいかに支障が生じているかという点が年金受給の可否を左右しますので診断書の内容や病歴・就労状況等申立書の内容について注意する必要があります。
障害年金の審査は日常生活や就労にどれだけ支障が生じているかという観点から行われますので、癌のように命にかかわるご病気の場合でも現在自宅勤務を行っている本件ような場合には障害厚生年金2級ではなく、障害厚生年金3級に認定される場合もあります。
※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に則り文書の内容を作成しています。