障害年金

障害基礎年金1級についての解説と受給事例

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目次

障害基礎年金1級に認定されるためには

障害基礎年金とは

障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金の二つの制度があります。

障害基礎年金は自営業者や学生、サラリーマンの配偶者などで国民年金に加入している場合に支給される障害年金です。

一方障害厚生年金は、サラリーマンが加入している厚生年金から支給される障害年金です。

このように障害基礎年金とは国民年金から支給される障害年金で初診日(当該疾病で初めて病院を受診した日)に国民年金に加入していた場合に支給される障害年金です。

障害基礎年金1級とは

1級と2級のみの障害基礎年金

障害基礎年金には、1級2級の区別があります。症状が重い場合が1級であり1級よりも症状が軽い場合が2級となります。

障害厚生年金には、1級と2級のほかに3級と障害手当金がありますが、障害基礎年金の場合には1級と2級しかありません。

このため、一定程度の障害でなければ初診日に国民年金に加入されていた方の場合には障害年金を受給できない場合があります。

障害基礎年金の障害認定基準

【障害基礎年金1級】

身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。

この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。

例えば身の回りのことは辛うじてできるがそれ以上の活動はできないものまたは行ってはいけないもの、すなわち病院内の生活で言えば活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいれば活動の範囲が概ね就床室内に限られるものである。国民年金令別表

【障害基礎年金2級】

身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。

この日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活を極めて困難で労働により収入を得ることができない程度のものである。

例えば家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないものまたは行ってはいけないもの、すなわち病院内の生活で言えば活動の範囲が概ね病棟内に限られるもので、あり家庭内の生活で言えば活動の範囲が概ね家屋内に限られるものである。国民年金令別表

障害基礎年金1級に認定される具体例(認定要領)

眼の障害の場合には両眼の視力の和が0.04以下のもの

聴覚の障害の場合には両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの

上肢の障害の場合には両上肢の機能に著しい障害を有する者で両上肢のすべての指を欠くものや両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの

下肢の障害の場合には両下肢の機能に著しい障害を持つもの(両下肢の用を全く配したもの)

体幹・脊柱の機能障害の場合には体幹の機能に座っていることができない程度または立ち上がることができない程度の障害を有するもの

心疾患による障害の場合には、心臓移植を受けている場合または人工心臓を使用している場合には障害基礎年金1級に該当します。

それ以外の弁疾患、先天性心疾患、難治性不整脈、心筋疾患などの疾病の場合には一般状態区分表の(オ)に該当し、かつ NYHA心機能の分類のⅣの該当す場合に障害基礎年金1級の対象となります。

一般状態区分表(オ)とは

「身の回りのこともできず、常に介助を必要とし終日就床を強いられ活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるもの」

NYHA心機能分類のⅣとは

Ⅰ~Ⅳの分類の最も悪い症状を指し「心疾患患者で非常に軽度の活動でも何らかの症状を生じ、安静時においても心不全、狭心症症状を生ずることもある場合」を言います。

また、次の条件を満たす場合は悪性高血圧症として障害基礎年金1級の対象となります。

(ア)高い拡張期性高血圧(通常最小血圧が120mmHg以上)

(イ)眼底所見でKeith-Wagener分類Ⅲ群以上のもの

(ウ)腎機能障害が急激に進行し放置すれば腎不全に至る

(エ)全身症状が急激な悪化を示し血圧、腎障害の憎悪とともに脳症状や心不全を多く伴う

精神の障害の場合にはその原因、諸症状、治療及び病状の経過、具体的な日常生活状況等により総合的に認定し、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものが1級に認定されます。

障害基礎年金1級の年金額

障害基礎年金1級の年金額は障害基礎年金2級の年金額(779,300円)の25%増しの額(974,125円)になります(2017年10月現在)。

また障害基礎年金2級と同様に18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子供または20歳未満で障害等級1級または2級の障害者の子供に対し、第一子、第二子は224,300円、第3子以降は各74,800円の子の加算がつきます。

埼玉県草加市の50代女性の知的障害による障害基礎年金1級の受給事例

結果

障害基礎年金1級

年金額 966,000円

ご相談

現在、知的障害と診断され、病院を受診しているとのことで、お姉様からご相談の電話をいただきました。

現在の病状について伺ったところ、1年ほど前に入院していた期間があり、日常生活は全般において介助が必要で1人で生活はできないとのことでした。

このことから、ご面談を実施しさらに詳しくお話を伺うこととしました。

ご面談

埼玉県草加市のご自宅まで伺ってご面談を実施することとなりました。

ご面談時に出生から現在までの様子を伺ったところ幼少期から知的障害があり幼少期は1人で遊ぶことが多く、あまり他の友達と遊ぶことがなかったとのことでした。

小学校入学後もあまりしゃべらず学校の勉強もついて行けない状態だったとのことでした。

中学校入学後は、特別支援学級に入り通学はしたものの、友人はおらずやはり1人で遊ぶことが多かったとのことでした。

中学校卒業後は、高校には入学せずに家のことを手伝いながら自宅療養をしていたとのことでした。

その後も就労などはせずに自宅で家事の手伝いなどをしながら過ごしていたとのことでした。

現在の病状について伺ったところ、最低限の家事はこなすことができるものの、日常生活全般において介助が必要であり、おねしょをしてしまうことこともありまた、病状が安定しない場合には拒食や飲水拒否をすることもあるとのことでした。

また、受診は現在から5年ほど前から病状悪化のため埼玉県草加市内の病院を受診しているとのことでした。

また念のため保険料の納付状況について伺ったところ、国民年金保険料はほとんど払っていないとのことでした。

このため、知的障害により障害年金を請求する場合は保険料の納付要件は問われないため、国民年金保険料を支払っていない場合にも年金を受給できる旨ご説明しました。

請求手続き

現在受診している病院に対する障害年金用の診断書の作成の依頼はお姉さまから行っていただくこととなりましたが、障害年金の請求においては診断書の内容が大変重要であることから、ご面談時に伺った内容をもとに弊所にて現在の病状と診断書作成に必要な事項を記載した依頼状を作成し診断書用紙に添付することとしました。

その後完成した診断書の内容確認したところ、傷病名が知的障害ではなく原因不明の認知症となっていました。

本件の場合には、国民年金保険料をほとんど払っておらずまた二十歳前に受診もしていないため生来的な疾病である知的障害以外の請求の場合には、障害年金の受給が認められないケースでした。

また、日常生活全般にわたって介助が必要なケースでしたので今後年金が受給できない場合にはご本人に大変な負担が生じることが予想できたため、担当医師と今一度ご相談することとしました。

このため直接病院まで伺い担当医師とご相談したところ傷病名に関しては、特定することが難しい病気であるとのことで知的障害への変更が認められました。

その後、病歴就労状況等申立書を弊所で作成し、他の必要書類とともに提出することで障害基礎年金1級の受給決定を受けることができました。

請求手続きのポイント

本件は国民年金保険料をほとんど支払っておらずまた二十歳前には受診していないことから、生来的な病気である知的障害での請求以外の場合には障害年金の受給が難しいケースでした。

最初に診断書が完成した段階では原因不明の認知症とされ障害年金の受給が難しくなりましたが、担当医師と相談の上傷病名の変更が認められました。

また、本件のように傷病名が知的障害の場合には、病歴就労状況等申立書も出生から現在までの様子を記載する必要があります。

本件の場合もご面談時に伺った内容をもとに出生から現在までの様子を過不足なく記載しました。

さらに、本件の場合は日常生活全般について介助が必要なケースでしたので障害基礎年金1級の認定となりました。

※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に則り文章の内容を作成しています。

 

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