障害年金の受給が決定した後、「この年金はいつまでもらえるのだろうか」と疑問に持たれる方が多いと思います。障害年金は、基本的に決められた期間年金を受給することができる有期の年金で期日が到来した場合には更新手続き(障害状態確認届の提出)を行う必要があります。
目次
障害年金が受給できる期間
原則1年~5年の有期認定
障害年金は基本的に1年から5年の期間を区切って支給されます(有期認定)。また、肢体を離断している場合や一部の知的障害者等の場合に永久に年金が受給できる永久認定もあります。
※年金証書の右下の次回診断書提出年月の部分が「**」と記載されている場合は永久認定となります。
送付されてきた年金証書の右下部分に次回の診断書の提出日年月が記載されています。障害年金は、この記載されている月までは受給することができその月以降の受給に関しては新たな手続きをする必要があります。
また等級に変更があった場合には障害状態確認届提出日の翌日から起算して3ヶ月後の日の属する月から変更後の額の年金が支給されます。
年金はなぜ有期なのでしょうか
うつ病などの精神のご病気の場合には1年から3年に認定される場合が多く永久認定となる場合はありません。うつ病などの精神のご病気の場合には治療によって回復される可能性もあり、回復して就労などを行っている場合には年金が停止されます。
一方で知的障害者など先天的なご病気の場合にも就労を行い一定の収入を得ている場合には、年金が停止する場合もあります。このように1年から5年の期間を区切ることで現状を確認し、障害年金の支給を再度診査する作業が障害年金の更新手続きといえます。
病気の種類や内容から回復する可能性が高いと判断される場合には1~2年と短い期間が区切られ、回復する可能性があまり高くないと判断される場合には4年~5年と長い期間が区切られると思われます。
障害状態確認届の提出
期限までに提出しましょう
原則として数年後の誕生月
年金証書に記載された次回診断書提出月(数年後の誕生月)になるとその前月に障害状態確認届用紙(診断書)が送付されてきます。
障害状態確認届に添付された診断書の内容は障害年金を請求したときのものとほとんど同じです。この診断書を担当の医師に記載してもらい、期限までに提出します。
転院している場合には注意が必要です
病院を転院している場合にも転院先の医師に記載してもらえば足り、障害年金請求時に診断書を作成した以前受診していた病院の医師に記載してもらう必要はありません。
ただここで注意しなければいけないことは、転院している場合には担当医師は前回の診断書の内容を知らない場合もありますのでできれば診断書用紙とともに前回の診断書の写しを添付するなどの工夫が必要です。
また、障害年金に対しての考え方も医師によって様々ですので、できるだけ現在の日常生活なども医師に詳しく伝え病状が改善していない場合にはその旨を診断に反映してもらうようにする必要があります。
20歳前傷病による障害年金の場合
20歳前傷病による障害年金の場合(年金コード6350、2650)には7月が更新月となります。この場合、7月の初め頃に障害状態確認届(診断書)の用紙が郵送されてきますので7月の末日までに市区町村役場の国民年金課へ提出する必要があります。
提出期限までに提出できなかった場合
提出期限までに障害状態確認届けを提出しなかった場合には、年金が一時(1~2ヶ月)停止します。ただ、その後、障害状態確認届けを提出すれば停止してしまった期間も含めて障害年金の支給が再開されます(年金が減ってしまうことはありません)。
障害年金の支給が継続される場合には次回診断書提出年月のお知らせが郵送されます。また、審査の結果、等級に変更がある場合には変更通知が送付されます。
障害年金更新時(障害状態確認届提出時)の注意点
更新時にも審査があります
障害年金の支給が決定した場合、安心してしまい今後永久に年金が受給できると考えてしまう方もいらっしゃいますが障害年金の更新(障害状態確認届の提出)時に、最初に障害年金の支給が決定されたときと同じ審査があります。
このため、更新時に提出する診断書も大変重要な意味を持っています。原則として障害年金の更新は書面審査になりますので、病状に変化がないにもかかわらず、診断書が前回提出した診断書よりも軽く書かれている場合には、年金が停止してしまう可能性があります。
医師は通常前回作成した診断書の写しを参考にして再度診断書を作成しますので、意味もなく診断書が軽く書かれることはないはずですが、場合によっては現時点での主観のみで診断書が作成されてしまう場合もありますので注意が必要です。
また、前回に比べて病状が悪化している場合にも日常生活のどの部分に不都合が生じているかなど医師に積極的に伝える必要があります。
さらに、ご自身としては病状が悪化していると考えていても医師の目から見た場合に医学的に病状が改善されている場合もありますので、この点についても、担当医師とよく相談する必要があります。
また、うつ病や統合失調症、知的障害などの精神の病気の場合には就労しているのかいないのか、就労している場合にはどの程度就労しているのかが重要な審査の要素となります。
このことから就労していない場合にはその旨の記載をする必要があります。
年金の支給が停止してしまった場合
障害状態確認届けを提出した結果、年金が停止してしまう場合があります。
障害年金が停止する場合として、障害基礎年金2級を受給していた場合に等級が2級未満となった場合、または障害厚生年金3級を受給していた場合に審査の結果等級が3級未満となった場合があります。
この場合にとることができる手段としては、当該審査結果に対して審査請求を行う方法があります。
また、審査請求と並行して停止事由消滅届を提出し、障害年金を再開してもらう手続きを行う方法があります。
停止事由消滅届を提出する場合には1ヶ月以内の病状を記載した診断書を再度提出する必要があります。このため、担当医師によっては立て続けに診断書を作成することに難色を示される場合もあります。
この場合にも「年金が停止ししてしまった」ことを伝えると再度診断書の作成に協力してもらえる場合もありますが、対応は医師によって様々であるといえます。
更に詳しく⇒障害年金が支給停止(止まった)となった場合
まとめ
- 障害年金には更新(障害状態確認届の提出)があります。
- 障害年金の更新は1年から5年に1度あります。
- 障害によっては更新手続きが不要な場合(永久認定)があります。
- 障害状態確認届の診断書の内容は障害年金の支給が継続できるかどうかを左右する重要なものとなりますので、病状が変わらない場合または悪化している場合にはその旨を担当医師に伝え、診断書に反映してもらう必要があります。