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町田市在住の男性の知的障害による障害年金の受給例
ご相談
障害年金の受給を考えているとのことで、電話にてお父様からご相談をお受けしました。
お話によると、幼少期から他人とうまくコミュニケーションが取れなかったため、保育園の時に療育手帳を取得したらどうかと勧められることがあったとのことでした。
現在は、就労はせずに自宅で療養しているとのことでした。詳しいお話を伺うために町田市のご自宅でご面談を実施することとしました。
ご面談
ご面談にはご本人とご両親の三人が出席されました。
お話を詳しく伺ったところ、生まれてから間もなく引きつけを起こすことがあったために町田市内の病院を受診したところ脳波の波の幅がゆっくりしていると言われたことがあったとのことでした。
その後、小学校入学時に普通学級に入れるべきかについて児童相談所と相談した結果、普通学級に入学させたとのことでした。
小学校時は成績が悪く、同級生とのコミュニケーションもうまく取れなかったとのことでした。
中学校入学後も普通学級に通っていましたが、途中からいじめにあったため、特殊学級に通うようになりました。
中学校時にも他者とコミニュケーションが取れなかったため、大学病院を一時受診したとのことでした。
その後、普通高校にも通いましたが成績が悪く同級生とコミュニケーションも取れなかったため、友人関係もうまく築けませんでした。
その後専門学校にも一時入学しましたが、学業にもついていけず途中で退学しました。
専門学校退学後就職を希望しリハビリテーション病院を受診しましたが、就職はできませんでした。
現在は自宅で療養しており、日常生活のほとんどが家族に頼っている状態で暗算もできないとのことでした。
障害者手帳を取得するため、最近になり、町田市内の病院を受診しているとのことでした。
請求手続き
障害者手帳を取得したときにお世話になった町田市内の病院に障害年金用の診断書も依頼することになりました。
担当の医師は本人の事情をよく理解していましたが、念のために依頼状を作成しました。
診断書の病名は、中度知的障害となっていました。
知的障害の場合には、生来的な病気ということで保険料の納付要件に関しては問題とされません。
また初診日に関しても、生まれた日が初診日とみなされます。生まれた日を初診日とすることに関しては、疑問を呈する医師も稀にいらっしゃいますが手続き上の問題であると説明しています。
知的障害などの20歳前傷病による障害年金の場合には、障害認定日は20歳の誕生日の前日になります。
このため20歳の誕生日の前日前後3ヶ月計6ヶ月の間に病院を受診している場合には、当時のカルテをもとに診断書を作成してもらうことでさかのぼりでの請求(遡及請求)を行うことが可能となります。
本件の場合には、障害認定日当時受診していなかったため、さかのぼりでの請求はできませんでした。
一部には知的障害の場合に認定日当時の診断書がない場合にも遡及請求が認められた判例もありますが、例外的な取り扱いと言わざるを得ません。
また、知的障害による障害年金の請求手続きにおける病歴・就労状況等申立書に関しては、生まれた時から現在に至るすべての様子を記載しなければなりません。現在の年齢によってはかなりのボリュームになる場合もあります。
結果
障害基礎年金2級決定(永久認定)
年金額 780,100円
手続きのポイント
知的障害は生来的な病気であるため、初診日の証明は不要となり、受診状況等証明書を提出する必要もありません。また保険料の納付要件に関しても問題になりません。
一方で、知的障害などの生来的なご病気の場合には、20歳前傷病による障害年金として障害認定日は20歳の誕生日の前日となります。
このため認定日請求を行うためには20歳の誕生日前後の受診が必要でしたが、本件に関しては、受診がなかったために認定日請求ができず事後重症請求となってしまいました。
また認定結果は永久認定となりました。
障害年金の認定には有期認定と永久認定の2種類があります。
有期認定の場合には1年から5年後に再び診断書を提出し、障害年金の更新(障害状態確認届の提出)をしなければなりません。
20歳前傷病による障害年金の場合には6月の末頃に障害状態確認届(診断書)が送付され、7月の末日までに提出する必要があります。
本件の場合には永久認定となりましたので、今後、更新(障害状態確認届の提出)を行うことなく、障害年金を継続的に受給することができます。障害年金が永久認定となるケースはあまり多くありませんが知的障害の場合には永久認定になる場合があります。
知的障害と就労について
障害年金を受給しながら就労を行うことに関しては、特に精神のご病気に関しては、問題を生じる場合があります。
うつ病などの精神の病気の場合には就労を行った場合に障害年金の受給が停止してしまう場合があります。
うつ病の場合には意欲低下などの病気の特性がありますので就労を行っている場合には病状が軽くなっていると判断される場合があります。
一方で、本件のように知的障害の場合には就労を行っていても障害者枠で行っている場合や就労支援施設などで行っている場合には、就労を行いながら、障害年金の受給できる場合も多くあります。
また、一般企業での就労の場合でも上司や同僚にサポートを受けながら就労行っている場合にも就労を行いながら障害年金を受給できる場合も多くあります。
※この障害年金受給事例は個人情報保護法の趣旨を踏まえ文章の作成を行っています。