目次
全身性エリテマトーデス(SLE)とは
名称の由来
20代の女性に多く発症する全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Eryhtematosus/頭文字をとってSLE)とは身体中どこでも症状が現れることで全身性と呼ばれ、またエリテマトーデスは狼に噛まれたような痕のような紅斑が出る事から(iupusはラテン語で狼の意)このように呼ばれます。
日本国内には約5万人の患者がいると言われています。
厚生労働省が指定する難病で医療費の補助が行われる特定疾患の一つとなってます。
原因
全身性エリテマトーデスの原因はまだよく分かっていません。
自分自身の身体や臓器を自分自身の免疫系が攻撃してしまうことで起こる病気です。
感染症や紫外線、女性ホルモン、免疫バランスの乱れなどが原因で起こるのではないかといわれています。
症状
全身性エリテマトーデスの症状として全身症状として発熱、全身倦怠、易疲労性、食欲不振などの症状がありまた関節炎、関節痛(約90%の人に出る症状で手や指が腫れ痛みを伴う)や蝶が羽を広げてい入るような形をしている蝶型紅斑(バタフライラッシュ)が頬に出る症状、光線過敏性(紫外線を浴びた後に皮疹や水ぶくれができたり、発熱したりする)、口内炎、口腔内潰瘍、脱毛、臓器障害(腎臓障害)、神経精神障害、肺病変(ループス肺炎、肺胞出血、肺高血圧症)、消化器病変(腹痛や吐き気)、血液異常(貧血、白血球減少)などの症状が出る場合があります。
治療法
治療法として免疫を抑えまた炎症を抑えるため副腎皮質ステロイドを飲むことや副腎皮質ステロイドを点滴で注入するステロイドパルス療法、免疫抑制薬の使用などがあります。
ステロイドの治療によって満月様顔貌、消化性潰瘍や糖尿病、骨粗しょう症、大腿骨頭無腐性壊死などの副作用が出る場合があります。
全身性エリテマトーデス(SLE)での障害年金の受給
全身性エリテマトーデスの症状は関節症状、皮膚症状、全身症状、臓器障害、神経障害等様々ですので、それぞれの症状によって障害年金の受給の可能性があります。
全身倦怠、易疲労感の症状により就労に支障が生じている場合や日常生活に支障が生じている場合にはそれぞれ症状により障害年金の対象となる場合があります。
就労に著しい支障が生じている場合には障害厚生年金3級、日常生活に著しい支障が生じている場合は障害基礎年金2級または障害厚生年金2級の対象となる場合があります。
特に全身性エリテマトーデスの関節の症状の場合には、肘や膝、手や指の腫れなどによってそれぞれの動作が難しくなり、歩く、階段を上る、階段を下りる、立ち上がる、座るなどの動作が困難で日常生活や就労に支障が生じている場合には肢体の障害として障害年金の対象となります。
一般的には痛みがあるというだけでは障害年金の対象になりませんが、その他臓器障害がある場合などはそれぞれの障害によって障害年金の対象となる場合もあります。
また皮膚症状のみの場合も例外的に就労や日常生活に支障が生じるような場合以外は障害年金の対象とならない場合が多いかもしれません。
大腿骨頭無腐性壊死と障害年金
ステロイドの副作用
全身性エリテマトーデスの治療のために副腎皮質ステロイドを使用した結果そのステロイドの副作用として大腿骨頭無腐性壊死になってしまう場合があります。
さらに大腿骨頭無腐性壊死の結果として人工骨頭、人工関節をそう入、置換した場合はそのことだけで障害厚生年金3級に該当します。
また両方の脚の関節に人工関節または人工骨頭をそう入、置換し日常生活に支障が生じるほど下肢に障害が残っている場合には、障害基礎年金2級に該当する場合もあります。
さらに、全身性エリテマトーデスの症状(関節障害、臓器障害、倦怠感、易疲労性など)と大腿骨頭無腐性壊死による人工骨頭、人工関節のそう入、置換の2つの障害を併合することで障害基礎年金2級又は障害厚生年金2級に認定される場合もあります。
ステロイドの副作用による大腿骨頭無腐性壊死の初診日
全身性エリテマトーデスの治療のためのステロイドの副作用により大腿骨頭無腐性壊死となり人工骨頭、人工関節を挿入、置換した場合の障害年金の請求手続きにおける初診日は全身性エリテマトーデスの症状が出て初めて病院を受診した日なります。
ステロイドによる治療と大腿骨頭無腐性壊死には相当因果関係があることが認められていることから初診日は全身性エリテマトーデスの初期症状により初めて病院を受診した日となりその日の初診日の証明書(受診状況等証明書)が必要となります。
まとめ
全身性エリテマトーデスはその病状や症状が多彩であるため各症状や病状によりそれぞれ障害年金の対象となるかどうかを判断する必要があります。
全身症状の場合には全身の倦怠感や易疲労感により日常生活や就労に支障が生じている場合に障害年金の対象となる場合があります。
また肢体の症状がある場合は下肢、上肢のそれぞれの症状が肢体の障害としてその基準に達しているかどうかで障害年金が受給できるかどうかが決まります。
さらにステロイド治療の結果、大腿骨頭無腐性壊死になり人工骨頭、人工関節をそう入、置換している場合も障害年金の対象となります。