障害年金の請求における相当因果関係とはAという病気に罹らなければBという病気に罹らなかったと経験上考えられる場合、Aという病気と B という病気には、相当因果関係があるといえます。
目次
初診日を特定する上で重要
相当因果関係という考えは障害年金を請求する上で初診日を特定する段階で出てくる考え方です。
糖尿病性網膜症を例に取った場合網膜症は眼の病気で、網膜症だけをとらえた場合網膜症で初めて眼科を受診した日が初診日であると思われます。
一方で糖尿病性網膜症の場合、糖尿病と網膜症の間に相当因果関係があると考えられますので糖尿病性網膜症の初診日は糖尿病のために初めて病院を受診した日となります。
また、糖尿病の場合には糖尿病性腎症で人工透析を受けられる方が多くいらっしゃいます。
人工透析の場合障害年金2級に該当するため、手続きを希望した場合にその初診日が糖尿病の初診日となり、糖尿病の初診日をカルテに基づいて証明することができないために障害年金が受給できないというケースが多く見受けられます。
この場合、糖尿病と腎症に相当因果関係があるため糖尿病と腎症がいわば一つの病気とみなされ糖尿病の初診日が腎症の初診日となったケースの一つです。
相当因果関係があるとされる病気の例
相当因果関係があるとされる2つの病気の例としては以下のようなものがあります。
・糖尿病と糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などは相当因果関係がある
・糸球体腎炎(ネフローゼを含む)多発性のう胞腎、慢性腎炎にかかりその後慢性腎不全になったものはその前後の期間が長いものでも相当因果関係がある。
・ステロイドの投薬による副作用で大腿骨頭無腐性壊死になった場合は相当因果関係がある。
・肝炎と肝硬変は相当因果関係がある。
・結核の化学療法の副作用で聴力障害を生じた場合は相当因果関係がある。
・手術などの輸血により肝炎を発症した場合は相当因果関係がある。
・事故や脳血管疾患によって精神障害が引き起こされた場合は相当因果関係がある。
・肺疾患にかかり手術を行った場合でその後呼吸不全となった場合はその期間が長くても相当因果関係がある。
・転移性のがんは転移であることが確認できれば相当因果関係がある。
相当因果関係がないものと扱われる例
・高血圧と脳出血・脳梗塞は相当因果関係がないものと扱われます。
・近視と黄斑部変性、網膜剥離、視神経萎縮は相当因果関係がない。
・糖尿病と脳出血・脳梗塞は相当因果関係がない。
まとめ
AとBの二つの病気に相当因果関係がある場合にはAという病気で初めて病院を受診した日が A という病気と B という病気の両方の病気の初診日となります。
このため B という病気で障害年金を請求する場合、初診日が A という病気で初めて病院を受診した日となりその日が基準となって障害年金の受給要件(どの年金から障害年金が支給されるか、初診日の特定、保険料の納付要件)が決定されます。