目次
伊勢原市の男性の突発性大腿骨頭壊死による障害厚生年金の受給例
結果
障害厚生年金3級決定
年金額 915,300円
さかのぼり額 457万6,500円
ご相談
現在から12年ほど前に人工股関節手術を両股関節に行っているとのことで障害年金の手続きの依頼をお願いしたいとのことで伊勢原市の男性からご相談のメールをいただきました。
返信メールにて初診日の特定、保険料の納付要件について確認したところ、初診日に受診した病院は現在もあるもののカルテなどの資料は残っていないとのことでした。
また保険料の納付要件に関しては、「会社に継続して勤め厚生年金に加入しているため、保険料の未納はない」とのことでした。
またご面談について伺ったところ、仕事が忙しく時間が取れないため、できればメールでの対応をお願いしたいとのことでした。このため今後、メールをメインに必要な部分については、郵送とお電話での対応とすることにいたしました。
初診日からの経過
初診日からの経過を詳細に伺ったところ、現在から12年ほど前に股関節が徐々に痛みだし歩くときに足を引きずらなければならないくなったため、親族の勧めにより伊勢原市内の病院を受診したとのことでした。
受診の結果レントゲン検査を行い、さらに精密検査が必要であるとのことで転院したとのことでした。
転院し精密検査を行った結果、突発性大腿骨頭壊死と診断され、医師の勧めにより両大腿骨頭に1年の期間を置きながら最初に左側、1年後に右側にそれぞれ人工股関節置換術を行いました。
術後は歩行時に杖をつき、階段の上り下りに苦労する部分があったとのことでした。
その後、職場が転勤となったことを機に会社を退職し、股関節に負担が掛からない職場に転職したとのことでした。
現在は、力仕事もなく、また残業もない職場のため就労に支障は生じていないものの、重労働ができないうえ階段の上り下りにも手すりが必要で常時杖をついている状態とのことでした。
人工股関節を一方の股関節に置換している場合は原則として障害厚生年金3級に該当し、両方の股関節に置換術を行っている場合は病状によっては障害厚生年金2級に該当する場合もあるが、一般的には障害厚生年金3級に該当するご病状である旨をお伝えしました。
初診時の病院のカルテが無いことが判っていましたので初診時の証明ができない場合には、障害年金の受給が難しくなる旨をお伝えしました。
また、国民年金保険料の納付状況について念のため弊所にて代理で確認する旨もお伝えしました。
請求手続き
保険料の納付状況について弊所にて代理で確認したところ、ご本人のお話の通り年金保険料の未納はなく保険料の納付要件は満たしていることが判りました。
初診時の病院にカルテ等の資料がなかったため、二番目に受診し手術を行った病院に確認したところ、初診時の病院からの紹介状をが残っていることが判明しました。
このため、現在の診断書の作成依頼とともに初診時の病院からの紹介状の写しも診断書に添付してもらうように依頼しました。
さらに、初診時に受診した病院の診察券がご本人の手元に残っていたため、診察券の写しも請求時に提出することとしました。
また、本件の場合診断書は現在の病状を記載した診断書1通に手術を行った日を記載することで足りるケースでしたが、障害厚生年金2級の可能性を残すため障害認定日の診断書と現在の診断書の2通をご本人の希望により提出することとしました。
また、病歴就労状況等申立書をご本人のお話をもとに弊所にて作成し、その他の必要書類とともに提出し手続きを完了しました。
請求手続きのポイント
初診日の特定について
本件は初診時の病院にカルテ等の資料が残っていないケースでした。
初診時の病院にカルテが残っていないケースでは時として初診日の特定に苦労する場合がありますが、本件の場合は転院先の病院に初診時に受診した病院からの紹介状が残っていたため、この紹介状と初診時の病院の診察券を併せて提出することで初診日の特定が可能となりました。
一般的には診察券のみでは初診日の特定が認められない場合がほとんどですが、精神疾患の場合の精神科の受診などのように明らかに特定の病気で受診していることがわかる場合には初診日の特定の資料としてある程度認められる場合もあります。
また、紹介状の場合は文章の内容にもよりますが、一般的にはそれのみで初診日の特定が認められる場合が多いと思われます。
さらに障害認定日は原則として初診日から1年6ヶ月後の日となりますが、特例があり、今回もその特例に該当し置換手術を行った日が障害認定日となりました。
人口骨頭または人工関節、人工股関節の挿入置換した場合は挿入置換した日を障害認定日とする。
認定日請求で診断書が一通で足りる場合
さらに、本来であれば障害認定日請求を行う場合には障害認定日時点の診断書と現在の診断書の二通を提出する必要があります。
一方で、障害認定日の特例に該当し、その特例に該当することのみをもって障害年金の請求する場合には、現在の診断書に特例に該当することの記載があれば、現在の診断書一通のみで障害年金の請求を行うことができます。
本件の場合にも現在の病状を記載した診断書一通に特例に該当する人工股関節手術を行った事実(日付を含む)の記載があれば請求手続きは可能でしたが、ご本人の希望により二通提出しました(2級の可能性があったため)。
結果として障害厚生年金3級の認定ではありましたが5年間のさかのぼりが可能となりまとまった金額の年金を受給することができました。
※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に則り文章の内容を作成しています。