対象傷病

アスペルガー症候群による障害年金の請求について

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更新日:2019年8月6日

アスペルガー症候群は発達障害の一種で、知的障害を伴わない自閉症のことをいいます。アスペルガー症候群によって障害年金を受給することも可能です。

ここではアスペルガー症候群で障害年金の請求を行う場合のお手続きのポイントと受給事例についてご説明いたします。

目次

アスペルガー症候群の特徴

アスペルガー症候群は広汎性発達障害のカテゴリに分類され病気の特徴としては学習面や運動面に関しては、何ら問題なく行うことができますが、他者とのコミニュケーションについて問題があるという点を挙げることができます。

また社会性が欠如しているため、他人の心を推し量ることが難しく心ない言葉を他人に投げかけてしまうこともあります。

一方で、自分が作ったルールに沿って行動することが得意で、何度でも同じ行動をとることができます。一方で融通の聞かない面がありますので、自分が作ったルールを曲げることを嫌います。

アスペルガー症候群による障害年金の受給

初診日の特定

アスペルガー症候群は発達障害の一種ですので、知的障害と同じように生来的な病気といえます。このことから言えば知的障害と同様に生まれた時が初診日となるように思えます。

※知的障害や脳性麻痺など生まれながらの病気の場合には初診日は生まれた日(誕生日)となります。

一方で、アスペルガー症候群をはじめとする発達障害の場合には生来的な病気という面がある一方で、成人になってから症状が顕在化し、初めて病院を受診することも多くあります。

このことから、アスペルガー症候群をはじめとする発達障害に関しては、知的障害とは扱いが異なり一般的なルールに従いアスペルガー症候群で初めて病院を受診した日が初診日となります。

このような取り扱いから知的障害の場合には初診日が生まれた時となりますので保険料の納付要件に関しては問題になることはありません。

一方でアスペルガー症候群をはじめとする発達障害の場合には一般的なルールと同様に初めて病院を受診した日が初診日となりますので、その時点を基準として保険料の納付要件を満たしていない場合には、障害年金を受給できなくなる場合もあります。

さらに、アスペルガー症候群の患者が後にうつ病に罹った場合には、アスペルガー症候群とうつ病は同一疾病とみなされるためアスペルガー症候群の初診日がうつ病の初診日となります。

アスペルガー症候群の障害認定基準

(1)発達障害についてはたとえ知能指数が高くても社会行動やコミニュケーション能力の障害により、対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う。

また、アスペルガー症候群とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは併合(加重)認定の取り扱いを行わず諸症状を総合的に判断して認定する。

(2)発達障害は通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わないものが発達障害の症状により初めて受診した日が20歳以降であった場合には、当該受診日を初診日とする。

1級・・・アスペルガー症候群があり、社会性やコミニュケーション能力が欠如しており、かつ著しく不適応な行動が見られるため日常生活への適応が困難で常時介助を必要とするもの。

2級・・・アスペルガー症候群があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しくかつ不適応な行動が見られるため日常生活への適応に当たって援助が必要なもの。

3級・・・アスペルガー症候群があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分でかつ社会行動に問題が見られるため労働が著しい制限を受けるもの。

アスペルガー症候群による障害年金請求のポイント

診断書作成(依頼)上の注意

アスペルガー症候群による障害年金の請求においても他の精神の障害と同様に日常生活にどれだけ支障が生じているかという観点から診査が行われます。

このため日常生活能力において(1)適切な食事(2)身辺の清潔保持(3)金銭管理と買い物。(4)通院と服薬(5)他人との意思伝達及び対人関係(6)身辺の安全保持及び危機対応(7)社会性の以上の七つの項目について自主的にできるか或いは他人の援助が必要かどうかという観点から判断がなされます。

これらの判断を行う際にもアスペルガー症候群の特徴を十分に踏まえ他者とのコミニケーション能力が欠如している点に注目し、(1)~(7)までの項目を判断する必要があります。

このため、医師に障害年金用の診断書の作成依頼を行う場合にもこれらの点を十分注意しつつ作成依頼を行うことをお勧めいたします。

就労を行っている場合の注意点

精神の障害の場合には就労行っているということは病状が軽く障害年金の対象にならないと診査される場合もあります。

一方で就労を行っているとの一事をもって障害年金の受給ができないということもまたありません。

アスペルガー症候群の場合には就労を行っている場合にも障害者枠での就労であったり、一般企業で就労している場合にもフルタイムで就労できない場合や、上司や同僚の援助のもとに就労している場合には障害年金の対象となる場合があります。

30代女性のアスペルガー症候群による障害基礎年金2級の受給事例

ご相談

神奈川県内にお住まいの30代の女性からアスペルガー症候群と診断されているとのことで障害年金の手続きについてのご相談をいただきました。

幼少期から現在までの様子について簡単に伺ったところ、初診日が現在から20年以上前でカルテが残っているかどうかが判らないとのことでした。

病状についてはアスペルガー症候群のほかに気分障害の診断も受けているとのことで自宅療養中とのことで日常生活及び就労に支障が生じているとのことでした。

初診日についての事前調査

初診日が現在より20年以上前とのことでしたので、初診日の特定が可能であるかどうか事前に弊所で調査を行いました。

初診日であると伺った病院にカルテの有無について確認したところ、予想通りカルテ等の資料は残っていないとのことでした。

その他2番目ないし3番目に受診したとされる病院にも確認を取りましたが、やはりカルテは残っていませんでした。

このことから、現在受診している病院の前の病院さらにその前の病院にカルテの有無について確認したところ、現在から7年ほど前に受診した病院にカルテが残っているとのことでした。

このことから、カルテが残っている当該病院に受診状況等証明書の作成依頼を行ったところ、発病から初診日の病院の受診日の記載がありました。

ご面談

事前調査で初診日の特定が可能であることが確認できたためご面談を実施することとしました。

出生から現在までの様子について詳細に伺ったところ、幼少期はよく泣く子供で一人遊びが多かったとのことでした。

小学校入学後友人とコミュニケーションをとることが難しく友人があまりできなかったとのことでした。

その後の学生生活においても他者とのコミニケーションとることが難しくクラスで孤立してしまうことが多かったとのことでした。

現在は、アスペルガー症候群のほかに気分障害を併発しているとのことで就労ができず日常生活にも支障が生じているとのことでした。

事前調査で、初診日の特定が可能であることが判明しておりまた、現在のご病状も日常生活に著しい支障が生じている状態でしたので、障害年金の受給可能性がある旨をお伝えしました。

請求手続きのポイント

本件の場合、初診日が現在より20年以上前でしたので、初診日の病院及びその後に受診した2番目、3番目に受診した病院のいずれにもカルテが残っていませんでした。

一方で7年ほど前に受診した病院にカルテが残っており、初診時の経緯や日付が記載されていたため、初診日の特定を行うことができ障害基礎年金2級の受給決定を受けることができました。

初診時の病院に仮にカルテが残っていない場合にも5年以上前に受診した病院のカルテに初診時の経緯が記載されている場合にはそれをもとに初診日を特定することが可能となります(ポイントは5年以上前のカルテという点です)。

まとめ

・アスペルガー症候群は、生来的なご病気ですが初診日の取り扱いに関しては、一般的なルールに従い初めて病院を受診した日が初診日となります。

・診断書の作成依頼や病歴・就労状況等申立書の作成に関しては、学習能力、運動能力において問題がない場合であってもコミュニケーション能力が不良であるという点に着目し行う必要があります。

・アスペルガー症候群の場合は就労行っている場合にも障害者枠で働いている場合や職場の援助を受けて働いている場合には、障害年金の受給可能性があります。

 

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