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厚木市の31歳女性の障害年金の受給事例
ご相談
14年ほど前に幻覚、幻聴、不眠症などの症状があり、最寄りのクリニックを受診したとのことでした。現在の病院には10年ほど通院し、統合失調症と診断されているとのことでした。
障害年金の手続きを希望していますが、最初に受診した病院(初診時の病院)にはカルテが残っていないとのことでした。
ご面談
厚木市内のご自宅でお話を伺うこととしました。
14年ほど前から見えるはずのないものが見えたり、聞こえるはずのないものが聞こえたりするようになり、さらに複数の幻覚が現れるようになりました。
このため、厚木市内のクリニックを初めて受診したとのことでした。受診後もあまり病状は改善しなかったとのことでした。
その後しばらくは病状が改善しなかっだものの、受診を中断していたとのことでした。その後病状が悪化したため、3つほど病院を転々としたそうです。
今から10年ほど前に体調が悪化し、家を飛び出して暴れたため手足を拘束され、2ヶ月ほど入院しました。その後入退院を繰り返し退院後も自宅で療養しているとのことでした。
請求手続き
初診時が未成年の時であったため、保険料の納付要件に関しては問題がありませんでした。
一方で、ご本人のお話の通り初診時の病院にはカルテが残っていなかったため、初診の病院の受診状況等証明書を入手することができませんでした。
このためやむなく2番目に受診したクリニックに確認をしましたが、2番目のクリニックにもカルテは残っていませんでした。
さらに3番目に受診した病院に確認したところ、カルテとともに2番目の病院からの紹介状が残っていることが判明しました。このため、カルテが残っていた3番目の病院に受診状況等証明書の作成依頼をするとともに紹介状の写しも添付してもらうことにしました。
受診状況等証明書の完成後に証明書の内容と紹介状を確認したところ、発病時の様子と、初診時に受診した病院と日付が記載されていました。
初診日の証明に関しては、原則として初診日の時点で受診した病院に受診状況等証明書を作成してもらいますが、初診時の病院にカルテが残っていない場合には2番目或いは3番目の病院のカルテに初診病院の名前と日付が記載されていれば、その内容を受診状況等証明書に記載してもらうことで初診病院の証明書に変えることができます。
今回のように3番目の病院に2番目の病院からの紹介状が残っており、その紹介状に初診病院の名前と初診時の日付が記載されていました。このような記録も初診日の証明としても認められます。
また本件では、障害認定日である20歳の誕生日の前日前後3ヶ月計6ヶ月の間に受診していなかったため、認定日請求(さかのぼりでの請求)はできませんでした。
このため、10年ほど前から継続して受診している厚木市内の病院に障害年金用の診断書の作成を依頼しました。また病歴就労状況等申立書に関しても、ご面談時の内容を基に詳細に弊所で作成しました。
結果
障害基礎年金2級決定
年金額 1,004,600円(子の加算を含む)
請求手続きのポイント
本件では、初診日が20歳前であったために保険料の納付要件に関しては問題ありませんでした。
一方で、初診時の病院のカルテが残っていなかったため、他の初診時の受診についての証明手段を見つけなければなりませんでした。
今回の場合、2番目の病院から3番目の病院に対する紹介状が3番目の病院に残っていたためにその内容から初診時の病院についての受診日及び病院名を証明することができました。
今回のようにカルテそのものではなくても紹介状や受診時に本人が記入したアンケートなどが残っていれば、その内容によっては初診時の証明として認められる場合があります。
※この年金受給事例は個人情報保護法の趣旨に沿って文章の作成を行っています。