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障害年金を受給するデメリット
原則としてデメリットはありません
障害年金の受給決定を受けることによって、2ヶ月に1回偶数月に2ヶ月分の年金が口座に振り込まれます。
一方で、障害年金を受給することによって何らかのデメリットが生じるのではないかと考える方も多いと思われますが、原則として障害年金を受給することによるデメリットはありません。
日常生活や就労に支障が生じる障害をお持ちの方に経済的にサポートが受けられる障害年金は、それだけでメリットが大きいといえます。
一方で、障害年金を受給することによるデメリットを強いて揚げるとすれば以下のようなデメリットが発生します。
法定免除によるデメリット
老齢基礎年金が減額される場合がある
障害年金の1級または2級の受給が決定した第1号被保険者(自営業者や学生など)は国民年金保険料の法定免除を受けることができます。
法定免除を受けることによって国民年金保険料を支払う必要がなくなります。
一方で国民年金保険料の法定免除を受けた場合、免除を受けた期間は老齢基礎年金が半額となってしまいます。
このことから、病状が改善し65歳以降に老齢基礎年金を受給する場合には法定免除を受けていた期間の年金が半額となってしまい、老齢基礎年金の年金額が減ってしまう恐れがあります。
老齢基礎年金の減額を回避する方法
一方で永久認定を受けた場合には、継続して65歳以降も障害基礎年金を受給することができますので、これらの点はデメリットとなりません。
また有期認定の場合も65歳以降も病状が改善していない場合には、障害基礎年金を継続して受給することができます。
このような場合には法定免除受けていても65歳以降の年金に影響を与えることはありません。
また障害年金を受給している場合にも国民年金保険料の免除を受けず保険料を支払い続ければ65歳以降に老齢基礎年金を受給する場合に年金の減額を回避することができます。
ご本人が亡くなった後のデメリット
配偶者が寡婦年金を受給できない
寡婦年金とは25年以上国民年金保険料を第1号被保険者(自営業者など)として支払っていた場合(保険料納付済み期間と保険料免除期間を合算した期間が25年以上)にご本人が老齢基礎年金を受け取る前に死亡した場合に、配偶者に60歳から65歳までの間寡婦年金が支給されます。
一方で、ご本人が障害基礎年金を受給していた場合にはこの寡婦年金を配偶者が受け取ることができなくなります。
寡婦年金の額は本人が受け取れるはずであった老齢基礎年金の年金額の4分の3に相当する額となります。
死亡一時金を遺族が受けられない場合がある
国民年金の保険料を納付した者(保険料を納めた月数が36月以上ある場合)が死亡した場合にその保険料納付者が何らかの年金の支給も受けていなかったときは保険料の掛け捨て防止の意味で遺族に死亡一時金が支払われます。
一方でこの死亡一時金はご本人が障害基礎年金を受給している場合には遺族は受け取ることができません。
死亡一時金の額は12万円から32万円の範囲で死亡したご本人の保険料納付済み期間の月数によって決定されます。
障害年金を受給するメリットの方が何倍も大きい
寡婦年金も死亡一時金もご本人が老齢基礎年金を受給せずにお亡くなりになった場合のごく限られた範囲でのお話です。
また仮に寡婦年金や死亡一時金を受給できるとしても金額は障害年金と比べても少なく、障害年金を受給できるメリットを考えると、これらのデメリットも取るに足らないものといえます。
デメリットはほとんどないのが現実です
寡婦年金や死亡一時金などデメリットとなりうる点について揚げてみましたが、障害年金を受給するデメリットはほとんどないのが現実です。
障害年金を受給したとしてもそれが会社に知られることもありません。
また、現在、退職中の場合にも再就職を行う際に不利益を受けることも全くありません。
障害年金を受給しているということは個人情報ですので、ご自身で外部に漏らさない限り他人や再就職先の会社が知る術はありません。
また仮に現在休職中の場合にもご自身で会社に申告しない限り、会社に障害年金の受給が分かってしまうこともありません。
障害年金を受給するメリット
経済的な安定を得る
障害年金を受給するメリットは何と言っても経済的な安定を得ることができるということです。
障害基礎年金2級の場合には、年間77万9,300円の年金を受給することができ、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子供、または20歳未満で障害等級1級また2級の障害者がいる場合には、1人につき22万4300円の加算がつきます。
また、障害厚生年金の場合には3級の場合でも最低58万4,500円(最低保証額)の年金を受給することができ、障害厚生年金2級の場合には、障害基礎年金2級の77万9,300円プラス報酬比例の年金額を支給することができます。
報酬比例の年金額は人によって異なりますが、4万円から9万円ほど受給できるのが一般的です(障害厚生年金の最低保障額は、障害厚生年金のみを受給する3級の場合にのみ当てはまる補償額です)。
障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得するメリット
さらに、障害者手帳を取得することで所得税や住民税などの税制上の障害者控除を受けることができたり、障害者枠で就労を行うことができるようになるメリットがあります。
また、就労移行支援事業や就労継続支援を受けることも可能となり、公共料金( NHK の受信料)や携帯電話の料金の割引を受けることもできます。
その他交通機関の運賃の割引などを受けることもできるようになります。