対象傷病

癌(がん)による障害年金の申請のポイントと受給事例

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癌(がん)は他の病気と同じようにその病状により障害年金の対象となる疾病です。

癌(がん)による障害年金の受給に関しては少なからず誤解があるようですが、がんにより就労や日常生活に支障が生じてしまった場合には、障害年金を受給することができます。

癌(がん)による障害年金の申請には、いくつかのポイントがありますので分かりやすく解説していきたいと思います。

がんによる障害年金の申請のポイント

診査のポイント

障害認定基準と障害認定要領

がんによる障害年金の「障害認定基準」は下記のように定めがあります。

1級

身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする癌(がん)による病状が日常生活の用を弁ずること不能ならしめる程度のものとする。この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。

2級

身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする癌(がん)による病状が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えること必要とする程度のものとする。この日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活が極めて困難で労働により収入を得ることができない程度のものである。

3級

労働が著しい制限を受けるかまたは労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。また傷病が治らないものにあっては労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。

さらに詳しく言えば、1級の場合は自分の身の回りのことはできるがそれ以外での活動は難しく病院内の生活で言えばベットの周りに限られる程度の病状をいます。

2級の場合は家庭内で簡単な食事を作ることや洗濯をすることはできるが、それ以外はできず活動の範囲が入院時は主に病棟内、家庭内では主に家の中だけに限られる程度の病状を言います。

さらにがんによる障害年金の診査における認定要領については下記のような基準があります。

1級

著しい衰弱または障害のため一般状態区分表(下記)のに該当するもの。

2級

衰弱または障害のため一般状態区分表(下記)のまたはに該当するもの。

3級

著しい全身倦怠のため一般状態区分表(下記)のまたはに該当するもの。

【一般状態区分表】

・・・無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等に振る舞えるもの。

・・・軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが歩行、軽労働や座業はできるもの。例えば軽い家事、事務など

・・・歩行や身の回りのことはできるが時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの。

・・・身の回りのある程度のことはできるがしばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの。

・・・身の回りのこともできず、常に介助を必要とし終日就床 を強いられ活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるもの。

障害認定基準は大まかな基準を示しており、また障害認定要領は、障害認定基準を前提にさらに細かい基準を定めています。この中でも一般状態区分表に定められている病状ががんでの障害年金を申請した場合の審査で注目すべき点といえます。

一般状態区分表のア~オの一般状態は「その他の障害用の診断書」の⑬欄にも同じ記載があり、ア~オのどこに担当医が〇をするかで等級が決まる場合もあります。

がんによる障害年金を請求する場合の診査は一般の検査のほかに組織診断検査、腫瘍マーカー検査、超音波検査 、X 線 CT 検査、 MRI 検査、血管造影検査、内視鏡検査、一般的な血液検査の数値や結果のほかにがんによる局所の障害または全身の衰弱または機能の障害の有無などが審査の対象となります。

その他、日常生活でどの程度支障が生じているかまた就労にどの程度支障が生じているかを化学療法などの影響を含めて判断されます。

このため例えば抗がん剤治療を行っている結果その影響で、就労が出来ない場合や日常生活に支障が生じている場合も障害年金の対象とされる場合がある一方で、どんなに病状が重い場合でも就労している場合には、障害年金の対象とならない場合もあります。

さらに回復可能性や予後、余命なども審査の対象とされます。

診断書作成上のポイント

診断書

診断書の種類

癌(がん)は身体の様々な箇所に発症する疾病です。

このことから、障害年金の手続きを行う場合にも発症した箇所に適した診断書用紙を用いる必要があります。

肺がんの場合には呼吸器疾患の障害用の診断書(第120号の5)

咽頭癌・舌癌の場合には咀嚼・嚥下・言語機能の障害用の診断書(第120号の2)

腎臓癌・肝臓がんの場合には腎疾患肝・肝臓疾患の障害用の診断書(第120号の6)

胃がんその他消化器系のがんの場合にはその他の障害用の診断書(第120号の7)

転移などにより上肢・下肢の障害が生じた場合には肢体の障害用の診断書(第120号の3)

心臓その他循環器に疾患が生じた場合には、循環器疾患の障害用の診断書(第120号の6)

その他目に障害が現れた場合には、目の障害用の診断書(様式第120号の1)また聴覚や鼻腔機能に障害が生じた場合には聴覚・鼻腔機能の障害用の診断書(様式第120号の2)をそれぞれ用います。

診断書依頼時の注意点

癌(がん)による障害年金の手続きにおいて担当医師が作成する診断書は最も重要な書類の一つです。このことから、診断書の作成依頼を行う場合には、現在の病状を診断書の内容に反映してもらう必要があります。

特に日常生活や就労に支障が生じている場合にはどのように支障が生じているのかを担当医師に明確に伝え、診断書の内容に反映してもらう必要があります。

特に一般状態区分表のア~オのどの部分に〇が入るかで年金の受給の可否及び等級が決定され場合がありますので注意が必要です。

診断書に空欄がある場合や記載内容が簡潔に記載されている場合、病状が軽いと判断される場合もあります。

埼玉県の50代の男性のがんによる障害厚生年金2級の受給事例

結果

障害厚生年金2級決定

年金額 181万9,900円

さかのぼり額 363万9,000円

ご相談

現在、 S 状結腸がんと診断され抗がん剤治療を行っているとのことで奥様からご相談の電話をいただきました。

就労が行えない状態のため障害年金の手続きをしたいが、ご自身では難しいため手続きの代行を依頼したいとのことでした。

初診時の状況について伺ったところ、現在より4年ほど前にお腹の調子が悪く、下痢が続くため最寄の病院を受診したとのことでした。

保険料の納付状況について伺ったところ、「会社員を継続して行っていたため保険料の未納はないと思う」とのことでした。このため、ご面談を実施し詳しくお話を伺うこととしました。

ご面談

保険料の不要件の確認

ご面談に先立ち、弊社にて保険料の納付状況をについて確認したところ、奥様のお話の通り保険料の未納などはなく、保険料の納付要件は満たされていました。

発病から手術まで

発症から現在までのご病気の経過について伺ったところ、今から4年ほど前にお腹の調子が悪く、下痢が続くため最寄の病院を受診したとのことでした。

受診後大腸内視鏡検査を行い、 S 状結腸がんの診断を受け転院となりました。

転院後、S 状結腸がんの切除手術を受けることとなり10日間ほど入院し、 S 状結腸及びリンパ節を切除しました。

化学療法の実施

その後、補助化学療法のため入院しカテーテル設置施術も行いました。

その後化学療法目的で入院し、抗がん剤治療を行いましたが抗がん剤治療のための点滴ポートのため重いものが持てなくなり、就労を行うことができなくなりました。

その後、手足のしびれ、吐き気、食欲不振、倦怠感があり休職することとなりました。

その後赤血球が足りないため、抗がん剤治療が一時継続できなくなったため白血球を増やす注射をしました。

そして現在から2年ほど前に抗がん剤の治療クールが完了しましたが手足のしびれ、味覚障害が残ったままであり病状が悪化し日常生活や就労にも支障が生じました。

その後再び抗がん剤治療が開始されましたが頭痛、食欲不振、味覚障害、手足のしびれ、全身疲労、全身倦怠があり、就労を行うことは出来ませんでした。

腹膜播種と判明

その肝臓部位手術を開始しましたが腹膜播種と判り手術では取ることができませんでした。

そのため、抗がん剤治療を現在も続けているとのことでした。

また、障害認定日(初診日から1年6ヶ月後の日)以後3ヶ月以内の受診状況について伺ったところ、施術後継続して同じ病院を受診しているとのことでしたので、当時の診断書及び現在の病状を記載した診断書の二通を提出することで遡りでの請求が可能となる旨をご説明しました。

請求手続き

がんによる障害年金の請求においては、診断書の内容が障害年金の受給を左右すると言っても過言ではありません。

このことから、担当医師に診断書の作成を依頼するに当たり、ご面談時に伺った内容をもとに弊所で作成した依頼状を診断書用紙に添付することとしました。

担当医師は忙しい合間を縫って診断書の作成を行うため、患者の細かい日常生活等について適切に診断書の内容に反映できない場合もあります。

このため、日常生活や就労についてどのように支障が生じているのかといった点について記載した依頼状を添付することで、現在の病状を担当医師が作成する診断書の内容に反映することが可能となります。

その後、完成した障害認定日当時の診断書と現在の病状を記載した診断書の内容を確認し、現在の病状を記載した診断書の内容に一部修正が必要な部分がありましたので、弊所から直接病院に修正依頼を行いました。

また、病歴就労状況等申立書をご面談時に伺った内容及び奥様から受け取った資料をもとに作成し、その他の必要書類とともに提出することで手続きを完了し、数ヶ月後に障害厚生年金2級のさかのぼりでの受給決定を受けることができました。

請求手続きのポイント

障害認定日から現在まで同一の病院を受診し、またその間病状が就労ができないほど悪化していたことから、さかのぼりでの請求を行うことが可能となりました。

またがんによる障害年金の請求の場合はご病気の重症度以外に化学療法による副作用や予後なども審査の対象となり、化学療法により日常生活や就労に支障が生じている場合も障害年金を受給することが可能となります。

本件の場合もご病気の深刻度もさることながら、化学療法による副作用により日常生活に著しい支障が生じていたため、障害厚生年金2級の受給を受けることが可能となりました。

※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に沿って文章の内容を作成しています。

まとめ

・癌(がん)による障害年金を申請する場合その審査は一般的な基準に従い、就労に支障が生じている場合または日常生活に支障が生じている場合に障害年金を受給できる可能性があります。

・癌(がん)の場合にはがんによる障害のほか抗がん剤などの化学療法による影響による障害もその審査の対象となります。

・担当医師が作成する診断書は、障害年金の手続きにおいて最も重要な書類の一つとなりますので、診断書の作成を依頼する場合には、現在の病状が日常生活や就労でどのような支障が生じているのかといった点について、担当医師に明確に伝え診断書の内容に反映してもらう必要があります。

 

 

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