強迫性障害は強迫観念または強迫行為等の強迫症状のために日常生活に支障が生じてしまう疾病で、強迫神経症とも言われ神経症の一種です。
目次
強迫性障害とは
症状
強迫障害の症状には強迫観念と強迫行為の2つの中核症状があります。
強迫観念には「自分が汚れている」といった不潔恐怖、汚染恐怖、「自分が他人を害してしまうのではないか」といった他害恐怖、「とにかくしっくりこない」といった不完全恐怖などがあります。
一方、強迫行為は強迫観念に基づきその観念にとらわれることで行動に現れることをいい、不潔恐怖にとらわれることで過度に手洗いを繰り返したり他害恐怖にとらわれることで自分の行動は大丈夫かと何度も確認してしまったり、不完全恐怖にとらわれることで身の回りの整理を何度も繰り返してしまったりします。
原因
強迫性障害の原因は脳内の特定の部分の障害が原因となる場合やセロトニンやドーパミンなどの脳内伝達物質の異常などが原因ではないかと言われています。
強迫性障害による障害年金の受給は可能か
神経症による障害年金の受給
神経症による障害年金の受給は原則として認められていません。
神経症が障害年金の対象から外れる理由には以下のような理由があります。
神経症にあってはその症状が長期間持続し一見重症なものであっても原則として認定の対象とならない。 厚生労働省障害認定基準
障害認定基準には上記のような規定があり、神経症は障害認定の対象とされていません。
神経症が障害年金の対象外とされる実質的な理由は以下のものを挙げる事が出来ます。
①神経症はうつ病や統合失調症などの精神病と比べ一般的に病状が軽いと看做されている点
②神経症の場合は自らの意志で治療を行い病状を改善させる事が出来ると言う点
③神経症の患者にある神経症の症状が現れることへの一種の心理的現実的満足(疾病利得)
例外的に障害年金の受給が認められる場合
精神病の病態を示している場合
強迫性障害が精神病と同様の病態を示している場合はその旨と病態を示している傷病のICD-10コードを診断書の備考欄(⑬欄)に記載してもらうことで障害年金の対象となる場合があります。
この場合は備考欄に「うつ病の病態を示しており日常生活に著しい支障が生じている」等明示してもらうとともに必ずICD-10コードを記載してもらう必要があります。
ただこのように記載してもらった場合でも受給が認められない場合もあり受給の可否はケースバイケースといえます。
うつ病などの疾病が併発している場合
強迫性障害以外にうつ病などのもともと障害年金の対象となる疾病が併発している場合は診断書の①「障害の原因となった傷病名」欄に「うつ病・強迫性障害」と併記してもらうことで障害年金を受給できる場合があります。
もともとうつ病などの障害年金の対象傷病の場合
強迫性障害の症状である強迫観念や強迫行為はうつ病などの他の疾病の場合にもみられる症状であるため、担当医師に再確認することで傷病名が変更される場合があります。
このため障害年金の手続きを開始する場合は担当医師に傷病名について今一度確認しうつ病や統合失調症などの障害年金の対象となる疾病の場合には当該疾病名を診断書に記載してもらうことで障害年金を受給できる場合があります。