ペースメーカーを造設したことで障害年金を請求する場合にも一般的な障害年金を受給するための要件を満たさなければいけません。
障害年金を受給するための一般的な要件としては初診日を特定するということの他に保険料の納付要件を満たしていることがあります。
またこの他に障害年金を受給するための要件の一つに障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過後の日)に一定の障害のレベルにあること。または、障害認定日から1年以上経過している場合には、障害認定日と現在の両方において一定の障害のレベルにあることが必要です。
目次
障害年金を受給するための一般的な要件
初診日の特定
ペースメーカーを造設したために障害年金を請求する場合にも他の疾病と同じように一定の要件を満たさなければいけません。大きな要件としてはまずペースメーカーを造設しなければならなくなった病気で初めて病院へ受診した日(初診日)を特定しなければいけません。
保険料の納付要件を満たしている
次に、初診日を基準として初診日の前日までに初診日がある月の前々月までに国民年金の保険料を一定量(直近の1年間滞納がないか全体の3分の2以上の保険料を払っている。)支払っている。
一定の障害の状態にある
障害認定日においてまたは障害認定日から1年以上経っている場合には、障害認定日と現在において一定の障害の状態にあることが必要です。
認定日の特例
障害認定日とは障害の程度認定する日のことをいいます。原則として初診日から1年6ヶ月後の日のことをいいます。一方で、障害認定日に関してはいくつかの特例が設けられています。心臓ペースメーカーや人工弁を装着した場合は、初診日から1年6ヶ月を経過していない場合でも心臓ペースメーカーまたは人工弁を装着した日が障害認定日として扱われます。
このため、仮に初診日から6ヶ月後にペースメーカーを装着した場合には1年6ヶ月経過していなくてもペースメーカーを装着した日が認定日となります。
また一方で、1年6ヶ月を経過した後にペースメーカーを装着した場合には、障害認定日は、原則通り初診日から1年6ヶ月経過した日となります。
心疾患の場合の障害の程度
心疾患の場合も他の傷病と同じように障害の認定基準が定められています。
1級
身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の要件ずること不能ならしめる程度のもの。国民年金令別表
2級
身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日長生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。国民年金令別表
3級
身体の機能に労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有する者。厚生年金令別表第一
認定基準には心疾患の場合にも一定の基準が設けられています。大まかにいえば他の疾病と同じように常時介助が必要な場合には1級、日常生活に著しい支障が生じている場合には2級、就労に支障が生じている場合には3級と認定されます。
心臓ペースメーカーを造設している場合の特例
一般的な障害認定基準のほかに難治性不整脈の場合に心臓ペースメーカーまたは ICD を装着した場合には3級に認定するという基準があります。
このため、たとえ一般的な上記の基準に達していなかったとしても心臓ペースメーカーを造設している場合には直ちに障害厚生年金3級に認定されます。
年金事務所や市区町村役場などに確認した場合、「たとえ心臓ペースメーカーを造設されていてもご病状が3級のレベルに達していない場合には年金は受給できません。」と回答される場合がありますが、それは誤りであり、心臓ペースメーカーまたは ICDを装着した場合には直ちに障害厚生年金3級に認定されます。
3級の障害年金とは
3級の障害年金は、障害厚生年金にのみ認められるもので、障害基礎年金(初診日に国民年金に加入していた場合)には認められていません。なぜなら、障害基礎年金には、1級と2級しかないからです。
このため、ペースメーカーを造設し障害年金3級に該当する場合でもそれは初診日に厚生年金に加入していた場合にのみ障害年金(障害厚生年金)を受給できるということで初診日が国民年金の場合には、少なくとも心臓ペースメーカーを造設しているということだけでは障害年金は受給できないということです(もちろん他のご病状と合わせて障害基礎年金2級に該当する場合はあります)。
まとめ
心臓ペースメーカーを造設した場合には、初診日から1年6ヶ月経過していなくても心臓ペースメーカーを造設した日が認定日として扱われるという特例があります。
さらに、心臓ペースメーカーまたは ICDを装着した場合にはそのことのみによって障害年金3級に該当するという特例があります。
以上のように心臓ペースメーカーを造設した場合には二つの特例が認められていますが、この場合には、障害年金3級に該当するということですので、初診日に厚生年金に加入していた場合にのみ障害厚生年金として3級の年金が受給できるということで初診日に加入した年金が国民年金の場合には、障害基礎年金が2級までしかないという関係で年金を受給できない場合があります。