目次
障害年金と就労の関係
精神障害の場合
うつ病の場合
障害年金と就労との関係で最も問題となるのは精神障害の中でも最も申請件数の多いうつ病です。
うつ病は昨今特に申請件数が多くなっている精神疾患といえます。
職場などのストレスが原因で傷病手当金を受給していた方が職場復帰がかなわず障害年金を受給するケースが多くなっています。
うつ病と就労の関係を見た場合、就労行っている場合には、障害年金を受給することが難しくなると言わざるを得ません。
なぜなら、うつ病の場合にはその病状として意欲低下や不眠、イライラ、希死念慮、頭痛、腹痛、その他の症状がありますが主な病状は意欲の低下や抑うつ症状を挙げることができます。
うつ病の主な症状が意欲低下である以上、就労できるということは意欲低下の病状が軽減している或いは軽いと判断され障害年金の受給が認められないまたは受給が停止してしまう原因となります。
うつ病の場合には、担当の医師が作成した診断書の内容が大変重く記載されており、一般的には障害厚生年金の2級に該当するような内容であったとしても就労を行っているとの一事をもって障害年金の受給が認められない場合があります。
一方で就労継続支援(A・B型)や障害者雇用の場合には障害年金の受給が認められる場合もあります。
うつ病以外の精神疾患による障害年金と就労
うつ病以外の精神疾患としては統合失調症や知的障害、発達障害、双極性感情障害を挙げることができます。
統合失調症の場合には代表的な症状として幻聴や幻覚、被害妄想などを挙げることができます。
統合失調症の場合にはうつ病と異なり、意欲低下を伴わない場合もあるため、うつ病と比較しても就労を行いながら障害年金を受給できる可能性があると思われます。
これは幻聴や幻覚、被害妄想といった病状と就労を行うということが両立可能であるからです。
また統合失調症の場合も就労継続支援(A・B型)や障害者雇用での就労の場合には障害年金の受給が認められる場合もあります。
また、知的障害の場合にも障害者枠で就労している場合に限らず、一般雇用の場合でも、上司や同僚の援助を受けながら就労している例も多く、また障害年金を受給しながら就労している場合も多くあります。
知的障害の場合も障害を持ちながら就労するということが両立可能であると判断されるからです。
さらに発達障害の場合も知的障害と状況が似ている面もあり、就労を行いながら障害年金を受給できる場合もあります。
一方で双極性感情障害と就労の関係はうつ病と就労の関係と類似した部分があります。
双極性感情障害の病状には躁状態の病状として高額の買い物や対人関係のトラブルなどを挙げることができますが、うつ状態の病状としてはうつ病と同じように意欲の低下が主な病状といえます。
そして双極性感情障害による障害年金の請求の場合は、うつ状態での意欲の低下、抑うつ状態等の病状が審査の主な対象となりますので、双極性感情障害の場合にも就労を行っている場合にはうつ状態での病状が軽いと判断され、障害年金の受給に支障が生じる場合があります。
癌による障害年金の請求の場合
癌による障害年金の請求の場合にはその審査対象として癌の悪性度や一般的な検査結果、特殊検査の検査結果や検査時の画像の診断結果、転移の有無などが審査の対象となります。
また、それとともに病状が就労や日常生活に具体的にどのように支障が生じているかという点も審査の対象とされます。
このことから、癌による障害年金の請求において、癌と就労の関係はうつ病と就労の関係に似ている部分があります。
それは重い病気の場合であっても、就労を行っている場合には就労や日常生活に支障が生じていないものとみなされ障害年金の対象とならない場合があります。
また、化学療法などの副作用によって就労に支障が生じている場合は病状的にそれほど重くない場合でも障害年金の対象となる場合もあります。
明確な認定基準がある障害
障害年金の対象となる障害には明確な認定基準が設けられている障害があります。
例えば心疾患で人工弁を装着している場合やペースメーカー ・ICD を装着している場合には、障害厚生年金3級と認定されます。
また、人工透析療法を施行中の場合は障害年金2級に該当します。
さらに人工肛門や新膀胱を造設している場合は障害厚生年金3級に認定されます。
その他、肢体の障害や眼、聴力の障害においても明確な基準が設けられており、このように明確な基準が設けられている障害の場合にはその基準を満たしている場合には、障害年金を受給することが可能となり、就労の有無は全く問題になりません。
例えば、下肢の障害で車椅子を使用している方がフルタイムで就労している場合でも障害年金の受給に関して支障は生じません。