目次
座間市の女性の知的障害による障害基礎年金の受給例
結果
障害基礎年金1級決定(永久認定)
年金額 966,000円
ご相談
姉が知的障害者で障害年金の手続きを依頼したいとのことでご兄弟からご相談の電話をいただきました。
病院の受診歴について簡単に伺ったところ、幼少期から病院を受診したことはなかったが、現在から8年ほど前に体調悪化のため座間市内の病院を受診しその後、断続的に病院を受診しているとのことでした。
日常生活について伺ったところ、常時家族の見守りが必要な状態であるとのことでしたので、ご面談を実施し詳しくお話を伺うこととしました。
ご面談
座間市内のご自宅に伺いご面談を実施しました。ご面談にはご本人とご相談のお電話をくださったご兄弟が出席されました。
今までの病歴について伺ったところ、幼少期から精神遅滞があり子供の頃は1人で遊ぶことが多くほとんどしゃべること無かったとのことでした。
小学校の頃もほとんどしゃべらず、小学校低学年の頃におねしょをしていたとのことでした。
中学校時は特別支援学級に通っており、自閉的で1人でトランプをして遊ぶことが多かったとのことでした。
中学校卒業後は進学はせずに家事手伝いをしていたとのことでした。この頃もあまりしゃべらず、自閉的な生活を送っていたとのことでした。
成人後も家事手伝いを行っていましたが、20代の中頃に知的障害を持つ夫とお見合い結婚をしたとのことでした。
その後も家事手伝いを継続して行っており、8年ほど前まで病院は一度も受診したことはなかったとのことでした。
その後今から8年ほど前に夫が仕事で怪我をしたことが原因となり、徘徊、無言、不眠、おねしょなどの症状が出てしまい、座間市内のクリニックを受診したとのことでした。
受診の結果、知的障害・統合失調症と診断され、その後一時入院し、退院後も家族の介助が全面的に必要な状態であったとのことでした。
国民年金保険料の納付状況について確認したところ、保険料の納付は、あまり行っておらず未納期間が長期間に渡りあるのではないかとのご兄弟のお話でした。
このため、病名が知的障害の場合には保険料を納付していない場合にも障害年金を受給できる旨をお伝えしました。
また、さかのぼりでの請求(遡及請求)は知的障害の場合には、障害認定日は、20歳の誕生日の前日となり、当時病院を受診していなかったため、さかのぼりでの請求を行うことができず事後重症請求となる旨をご説明しました。
請求手続き
診断書の依頼
診断書の作成に関しては、次回受診時にご兄弟の方から担当医師に依頼を行うとのことでしたので、ご面談時に伺った内容をもとに依頼状を作成し、診断書用紙に添付することとしました。
また、念のため保険料の納付状況について確認したところ、ご兄弟の話の通り未納期間が長く保険料の納付要件は満たしていないことが判りました。このため病名が知的障害でない場合には、障害年金が受給できないことが判明しました。
傷病名の変更
その後、出来上がった診断書の内容を確認したところ、病名は知的障害となっており、障害年金の手続きを行うことが可能となりましたが、数ヶ所修正が必要な部分がありましたので修正依頼を弊所から直接病院に行ったところ診断書作成した医師が移動しているとのことで他の医師が診断書の修正を行うこととなりました。
その後、診断書の修正ができたとのことで内容を確認したところ、知的障害となっていた傷病名が別の傷病名に変更されていました。
傷病名が知的障害以外の場合には、障害年金の受給が難しくなるだけでなく、本件の場合はご本人が国民年金の保険料をほとんど支払っていないため、今後、老齢年金もほとんど受給することができず無年金で一生、生活しなければならなくなることが予想されました。
このため、病院に直接出向き、担当医師に事情を説明しようとしたところ、1時間以上も待たされやっと出てきた担当医と最終的にはケースワーカーと3人での面談の結果、傷病名は知的障害であるとのことで面談を終了しました。
傷病名が前担当医師に無断で変更されたことも遺憾でしたが、傷病名一つで障害をお持ちの依頼者が今後一生無年金になってしまう恐れがありましたので必死で対応しました。
医師に無理やり診断書内容を変更させることはできませんし、また医師も他人の意見を聞いて診断書の内容を変更することもありません。
一方で本件の場合には前担当医の判断を無断で後任の担当医師が変更しているケースでしたので、この点を含めてご相談させていただきました。
手続きのポイント
本件の場合には、国民年金保険料がほとんど支払われていなかったため、知的障害などの20歳前傷病による障害基礎年金以外の場合には障害年金の受給ができないケースでした。
途中で傷病名の変更が行われたため、障害年金の受給が難しくなりかけましたが、担当医とケースワーカーのご協力により傷病名が知的障害となりました。
ケースワーカーは医師と比べて患者についての情報を持ってる場合も多く、また忙しい医師と比べても障害年金の手続きにおいて、力になっていただける場合が多くあります。
本件の場合も依頼者の事情を熟知したケースワーカーの協力により請求手続きを続行し年金の決定までたどり着くことができました。
さらに本件の場合には病状が重篤であり、また回復の見込みがなかったため障害基礎年金1級の永久認定となりました。
精神疾患の場合には一般的には1年から5年の範囲で有期認定となり、数年に1回診断書を提出しなければなりません。
本件のように永久認定の場合には今後診断書を提出することなく一生障害年金を受給し続けることが可能となります。
本件の依頼者の場合には保険料の納付をほとんど行っていなかったため、老齢年金が受給できないケースでしたので、本当に障害年金の受給決定が出てよかったと感じました。
※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に沿って文章の内容を作成しています。