線維筋痛症は身体の広い範囲での「痛み(疼痛)」と「こわばり」が生じる病気で全国に200万人の患者がいると言われています。
線維筋痛症も病状により障害年金の対象になります。線維筋痛症による障害年金請求のポイントについてご説明いたします。
目次
線維筋痛症とは
症状
線維筋痛症は身体の広範囲に激しい「疼痛」、「こわばり」が生じます。
中年以降(30代以降)の女性が多く発症する病気で疲労感、倦怠感、不眠、抑うつ気分、自律神経の症状(過敏性腸症候群)などの症状(副症状)を伴い、これらの症状が長期間継続するため日常生活の質が著しく低下してしまいます。
原因
線維筋痛症の原因は分かっていません。激しい痛みがあるにもかかわらずその部分に異常が認められないのが線維筋痛症の特徴です。
先天的な要因やストレス、セロトニンやノルアドネラリン、ドーパミンなどの脳内物質の機能不全などが原因なのではないかと言われています。
線維筋痛症による障害年金の手続き
障害認定基準
線維筋痛症により障害年金を受給するためには病状が下記の障害認定基準に該当する場合でなければなりません。
1級・・・痛みやこわばり、その他付随する症状の為のために日常生活が自分で行うことが出来ず常時介助が必要な場合
2級・・・痛みやこわばり、その他付随する症状の為のために日常生活が著しい制限を受け労働により収入を得る事が出来ない程度のもの
3級・・・痛みやこわばり、その他付随する症状の為労働に著しい支障が生じている
※3級は障害厚生年金のみにあり障害基礎年金にはありません。このため初診日に国民年金に加入していた場合には2級以上に該当する場合にのみ障害年金(障害基礎年金)の対象となります。
初診日の特定
線維筋痛症の病気の特徴が痛みやこわばりの原因が分からないという点にあります。このことから、長期間にわたり受診を継続したりまた何か所も病院を受診するケースがあります。
このため、初めて病院に受診した日(初診日)から長期間が経過してしまい、カルテが廃棄されたり病院自体が廃院してしまったりして初診日の特定が難しくなる場合があります。
線維筋痛症による障害年金の手続きにおける初診日とは線維筋痛症と診断された日ではなく何らかの症状(痛み)が出て病院を初めて受診した日となります。
カルテがない場合や病院が廃院してしまっている場合には出来るだけ初診以降の古い受診病院の受診状況等証明書を取得し初診日の特定を行うかその他客観的な資料を収集し初診日の特定を行う必要があります。
診断書の作成
線維筋痛症のよる障害年金の手続きにおいて担当医師が作成する診断書は他の傷病と同じく最も重要な書類と言えます。
診断書の作成を担当医師に依頼する場合にはできるだけ現状(病状)を担当医師に伝え現状(病状)が診断書に反映される工夫が必要です。
線維筋痛症による障害年金に使用する診断書は「肢体の障害用の診断書(様式120号の3)」になります。
診断書の記載の内⑭⑮⑯の欄をそれぞれ記載するとともに⑱「日常生活における動作の障害の程度」欄については痛みやこわばりの為に動作が難しくなっている個所を正確に記載する必要があります。
⑳欄の補助用具の使用状況についても補助用具を使用している場合には必ず記載し、常時使用している場合はその点、屋外と屋内で使用状況が異なる場合はその点についても記載する必要があります。
また㉑「現症時の日常生活活動能力を及び労働能力」欄については補助具を使用しない状態でいかに日常生活や就労に支障が生じているかについて記載する必要があります。
さらに㉒「予後」欄についても今後の病気の回復予測について記載し回復見込みが少ない場合は「不良」と記載します。
線維筋痛症の重症度分類試案
ステージⅠ | 米国リュウマチ学会診断基準の18ヶ所の圧痛点の内11ヶ所以上で痛みが日常生活に重大な影響を及ぼさない。 |
ステージⅡ | 手足の指など末端部に痛みが広がり不眠、、不安感、うつ状態が続く。日常生活が困難 |
ステージⅢ | 激しい痛みが持続し爪や髪への刺激、温度湿度変化など軽微な刺激で激しい痛みが全身に広がる。自力での生活は困難 |
ステージⅣ | 痛みのため自力で体を動かせず、ほとんど寝たきりの状態に陥る。自分の体重による痛みで長時間同じ姿勢で寝たり座ったりできない。 |
ステージⅤ | 激しい全身の痛みとともに暴行や直腸の障害口の乾き目の感想を。尿路感染など全身の症状が出る。普通の日常生活は不可能。 |
重症度分類試案の内、ステージⅡ・Ⅲに該当する場合は障害年金3級、ステージⅢ・Ⅳに該当する場合は障害年金2級、ステージⅤに該当する場合は障害年金1級に認定される可能性があります。
重症度分類試案のステージは診断書の⑨欄に必ず記載しなければなりませんのでされていない場合は医師に追記を依頼するようにしましょう。
まとめ
線維筋痛症は痛みやこわばりのために日常生活や就労に支障が生じてしまうご病気です。
このため障害年金を受給するためにはこれらの症状のために就労や日常生活にどれだけ支障が生じているのかといった点について担当医師に診断書に正確に記載してもらい請求時に提出する必要があります。
痛みやこわばり等の症状により日常生活が著しい制限を受け、家族などの介助が不可欠となっている場合は障害年金2級、労働が著しい制限を設けている場合には障害年金3級に該当する可能性があります。