目次
葛飾区の男性の統合失調症による障害基礎年金の受給事例
結果
障害基礎年金2級決定
年金額 794,500円
さかのぼり額 418万800円
ご相談
葛飾区の男性から現在2ヶ月に1回病院を受診しており、統合失調症と診断されているとのことでした。
障害年金の手続きを行いたいが、ご自身で難しいため手続きの代行を依頼したいとのことでご相談のお電話をいただきました。
現在の病状は自分への悪口などが聴こえる幻聴、意欲低下、強迫観念があり、仕事ができず自宅で横になっている時間が長くなっているとのことでした。
初診日について伺ったところ、現在から10年ほど前に葛飾区内のクリニックを受診したとのことでした。
保険料の納付要件について確認したところ、「確認したことがないが未納期間があるかもしれない」とのことでした。
このことから一度ご面談を実施し詳しくお話を伺うこととしました。
またご面談を行う前提として保険料の納付状況について弊所にて確認することといたしました。
ご面談
ご面談に先立ち保険料の納付状況についてご本人の代理で確認したところ、国民年金保険の未納期間がかなりの期間あり年金事務所の窓口でも計算にかなりの時間がかかりましたが、ご本人がおっしゃってる初診日が正確であれば辛うじて保険料の3分の2の要件(保険料納付要件)を満たしていることが確認できました。
ご面談時に初診日について再確認を行ったところ、ご自身で初診時の病院に確認をされておりカルテが残っており、現在から10年ほど前に初診の記載があるとのことでした。
そこで、初診時から現在までの病状、就労状況等について詳しくお話を伺ったところ、今から10年ほど前に夜間に幻聴が生じパニックとなり、最寄りのクリニックを受診し抑うつ状態と診断されたとのことでした。
受診後入院を勧められたため、都内の大きい病院に転院することとなり転院し1ヶ月ほど入院したとのことでした。
退院後は月1回受診し投薬治療を継続しましたが、幻聴、意欲低下、不安感が改善されませんでした。
また、この期間は体調不良のため就労はできなかったとのことでした。
その後数年間投薬治療を継続したが再び病状が悪化したため、転院となり入院しました。
1ヶ月ほど入院し退院しましたが、病状は一進一退であまり改善しなかったとのことでした。
現在の病状は、エレベーターを待っていると床が揺れるような感覚がありまった悪口を言われるような幻聴、意欲低下などが改善されず就労もできず一日横になっているとのことでした。
障害年金の手続きにおいては、初診日から1年6ヶ月後の日以後3ヶ月以内の診断書が入手できれば さかのぼりでの請求が可能である旨をお伝えし、認定日時点で受診した病院には弊所から確認を入れることとなりました。
請求手続き
障害認定日時点(初診日から1年6ヶ月の日以後3ヶ月以内)に受診したと思われる病院に確認したところ、詳細はご本人にしかお話ができないとの回答をもらいました。
ただ手応えとしてはカルテが残っており、当時の診断書も入手できるのではないかと思われました。
このため、ご本人にその旨を伝え病院に確認していただいたところカルテが残っており、障害認定日時点の診断書の作成も可能であることが判りました。
このため弊所から直接病院に診断書用紙と弊所からの依頼状を送付することで障害認定日時点の診断書を作成してもらうこととなりました。
また、現在受診している病院に関してはご本人が「次回受診時に診断書の作成依頼をする」とのことでしたので、ご面談時に伺った内容をもとに弊所にて診断書の依頼状を作成しご本人が持参することとなりました。
完成した受診状況等証明書及び認定日時点の診断書、現在の診断書の3通の内容を確認したところ、受診状況等証明書及び障害認定日時点の診断書に関しては問題がありませんでした。
一方で現在受診している病院の診断書に関しては内容的に矛盾している部分がありましたので修正依頼を直接病院に行うこととしました。
また、初診時の病名が抑うつ状態で現在の病名が統合失調症でしたが両者の間には相当因果関係があるため、抑うつ状態と病名に記載された受診状況等証明書も内容的に誤りはなく請求手続きを行うことができました。
その後、ご面談時に伺った内容をもとに弊所にて病歴・就労状況等申立書、その他の書類を作成し手続きを完了しました。
病歴就労状況等申立書に関しては、障害認定日請求を行うため、特に障害認定日前後の様子を詳細に記載しました。
また、障害認定日から現在までの病状及び就労ができていないことについて明確に記載しました。
請求手続きのポイント
障害認定日時点に受診した病院のカルテが残っていたため、さかのぼりでの請求(遡及請求)を行うことが可能となりました。
さかのぼりでの請求を行い、過去の分の年金を受給するためには障害認定日の時点から現在までの病状が一定のレベルに達している必要があります。
このため、障害障害認定日から現在までの間に就労行っている場合にはさかのぼり請求が認められない場合が精神の病気の場合にはあります。
本件の場合には認定日から現在に至るまで継続して就労が行えない状態でしたのでさかのぼりでの請求が認められました。
また、さかのぼりで請求を行う場合、数年から10数年の期間さかのぼる場合もありますが、受給できる年金は、5年分となり5年以上前の分は時効により消滅することになります。
また、担当医師が作成する診断書は障害年金の手続きにおいて最も重要な書類の一つです。
一方で診断書の内容が矛盾している内容を含んでいる場合には、障害年金の手続きが途中で中断してしまう恐れがあります。
このため、提出する前に十分に確認する必要があります。
本件の場合、診断書の内容に最新の病状について記載があるにもかかわらず聴取日が古いものとなっていたため、この部分について修正依頼を行いました。
例えば、現在(最新)の病状について記載があるにもかかわらず聴取日が3年前の日付になっている場合には診断書の内容に矛盾があると言えます。
また本件の場合は5年分のさかのぼりで障害年金を受給できまた、今後病状も見込めないとのことで国民年金保険料の法定免除をさかのぼりで行い8年分以上の国民年金保険料が返却されました。
このため、障害年金のさかのぼりでの受給とあわせて、かなりの額が一時金として支払われる形となりました。
国民年金保険料のさかのぼりでの免除については、老齢基礎年金の額に影響を与えるため今後病状が回復するかどうかを検討し、病状が回復する可能性が少ない場合には国民年金保険料をさかのぼりで返却してもらうことも良いのではないかと思います。
※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に則り、文章の内容を作成しています。