障害年金には一時金の制度があります。正確には障害手当金と言い障害厚生年金の3級に満たない一定の障害状態にある場合に受給が可能となります。
目次
障害年金の一時金とは
障害年金の一時金とは障害手当金のことを指します。
障害年金は原則として2ヶ月に1回2ヶ月分が支給される年金の形をとります。
一方で障害厚生年金3級(最も低い等級)よりも障害の程度が軽い一定の障害の場合に一時金の形で支給が行われる場合があります。
一時金の受給要件
障害年金の一時金を受給するためには一定の受給要件を満たす必要があります。
初診日において厚生年金に加入していること
一時金を受給するには、初診日において厚生年金に加入している必要があります。
初診日とは当該ご病気によって初めて医師または歯科医師の診断を受けた日を言います。
この日に会社員などで厚生年金に加入していた場合には一時金を受給できる可能性があります。
初診日から5年以内に傷病が治った(症状が固定した)こと
初診日から5年以内に傷病が治った(症状固定)ことが一時金を受給できる要件となります。
治ったとは病気が全快したという意味ではなく、症状が固定しこれ以上治療しても治療の効果がないという状態を言います。
肢体の障害で肢体を切断した場合や視覚の障害で視力が回復する見込みがない場合、聴覚の障害で聴覚が回復する見込みがない場合、脳梗塞で肢体の麻痺が回復する見込みがない場合などがこれに当たります。
一方で精神のご病気などの場合には治った(症状固定)という概念がありませんので一時金を受給することはできません。
治った日から5年以内に請求する
その治った日(症状が固定したと医師から判断された日)から5年以内に請求する必要があります。
請求する方法は通常の障害年金と同じ方法で請求することになります。
治った日から5年以内に請求する必要がありますので一時金の制度を知らず5年以上経過してしまった場合には一時金を受給することはできません。
保険料の納付要件を満たしていること
障害年金の受給要件と同じ保険料の納付要件が一時金にもあります。
保険料の納付要件は初診日のある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の保険料を支払っているか、直近の1年間に保険料の未納がない場合に保険料の納付要件を満たすことになります。
一時金(障害手当金)の障害等級に該当する病状であること
障害年金には、1級~3級と一時金(障害手当金)の4段階の等級があります。このことから、一時金を受給するためには一時金(障害手当金)の等級に該当する病状である必要があります。
一時金の金額
一時金(障害手当金)は年金と異なり一時にまとまった給付を受ける形となります。
金額は障害厚生年金の額の規定の例により計算した額の2倍の金額となります。
厚生年金の額の規定の例により計算した額とは報酬比例の年金額を言い平均標準報酬月額及び平均標準報酬額によって計算された額を言います。
一時金(障害手当金)には最低保障額があり平成29年度の額は116万9,000円とされています。
一時金受給の注意点
一時金(障害手当金)を受給するためには、初診日から5年以内に傷病が治った場合で、治った日から5年以内に請求する必要があります。
一時金を受給できる可能性があるにもかかわらず治った日から5年が経過してしまった場合には受給できなくなってしまいますので注意が必要です。
また、傷病が「治っていない場合」には一時金(障害手当金)の等級に該当する病状であっても障害厚生年金3級が受給できる場合があります。
傷病が治らないで身体の機能または精神もしくは神経系統に労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有する者であって厚生労働大臣が定めるものは障害厚生年金3級と認定する 国民年金厚生年金障害認定基準
上記の場合には一般の障害厚生年金の請求手続きを行うことで障害厚生年金3級を受給することができます。