潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症を起こし血便、下痢などの症状が出る傷病で国の難病に指定されています。
一方で潰瘍性大腸炎での障害年金の受給は現在では良いお薬が出来たこともあり審査が大変厳しくなっており潰瘍性大腸炎の入院中に請求しましても受給できない場合があります。
このため潰瘍性大腸炎ではなく併発しているうつ病等の精神のご病気で障害年金の請求をされる方も増加しています。
目次
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜が何らかの理由で炎症を起こしそのことによってびらんや潰瘍となる病気です。
全国に18万人の患者さんがおり、また発症年齢は様々で若年層から中高年まで発症しますが男性は20代前半、女性は20代後半に多く発症すると言われています。
症状
潰瘍性大腸炎の症状は血便、下痢、腹痛などで症状が悪化すると貧血を起こしたり、体重が減少してしまったりする場合もあります。
潰瘍性大腸炎には一旦症状が改善した後に再び病状が悪化してしまう再燃緩解型や病状がなかなか改善しない慢性持続型があります。
原因
潰瘍性大腸炎は異常な免疫反応による大腸粘膜の攻撃が原因とされていますが、その他体質遺伝、食生活、腸内ウイルス、ストレスが原因(誘因)ではないかと言われています。
潰瘍性大腸炎による障害年金の受給
初診日の特定
潰瘍性大腸炎により障害年金を受給するためには他のご病気と同じように初診日を特定する必要があります。
潰瘍性大腸炎の場合には時として病名が確定するまでに時間がかかったり、病院をいくつも受診してしまう場合もあります。
この場合には、初診日から長期間が経過してしまい、カルテの保存期間(5年)を過ぎてしまう場合もあります。
潰瘍性大腸炎の初診日が病名が確定した日ではなく、症状が出て初めて病院を受診した日となります。
このため初めて受診した病院に受診状況等証明書(初診日の証明書)を作成してもらうことで初診日の特定を行うことができます。
また初診から現在まで同じ病院を受診している場合には受診状況等証明書は不要となり診断書の初診日の欄に日付を記載してもらうことで足ります。
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
初診日に加入していた年金により、初診日に国民年金に加入していた場合には国民年金から障害基礎年金、サラリーマンなどで厚生年金に加入していた場合には厚生年金から障害厚生年金が支給されます。
障害厚生年金には3級がありますので「労働に支障が生じている」程度の病状の場合にも障害年金を受給できる可能性があります。
一方で、障害基礎年金には3級がなく2級からの支給となりますので「労働に支障が生じかつ日常生活にも著しい支障が生じている」場合でなければ障害年金を受給することができません。
障害認定基準に該当する病状
障害年金を受給するためには障害認定日または現在の病状が以下の障害認定基準に該当している必要があります。
1級・・・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。
この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである
2級・・・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加える等を必要とする程度のものとする。
この日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で労働により収入を得ることができない程度のものである。
3級・・・労働が著しい制限を受けるかまたは労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
また「傷病が治らないもの」にあっては労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする 国民年金法施行令・厚生年金法施行令別表より
最も重要な診断書の内容
担当医師への診断書の依頼
障害年金の手続きの中で担当医師が作成する診断書は、最も重要な書類といえます。
一方で、担当医師は診断や治療がメインの仕事となり、診断書の作成はこれらのメインの業務の合間を縫って行われます。
また、担当医師は患者と一緒に生活をしているわけではありませんので患者の病状について必ずしもすべて理解しているわけではありません。
これらの理由から、担当医師に診断書の作成を依頼する際は、現在の病状を明確に理解してもらうため現在の病状をメモ書きにして渡すなどの工夫が必要です。
診断書作成にあたっての注意点
潰瘍性大腸炎による障害年金の請求に使用する診断書は、「その他の障害用・様式第120号の7」の用紙を用います。
診断書の内容に関し⑫欄の「一般状態区分表のア~オの記載」欄は特に重要です。
なぜなら、障害認定日または現在の患者の病状を簡潔かつ客観的に診断書の内容に表現する部分がこの記載箇所しかないからです。
このことから診断書の一般状態区分表のチェックが潰瘍性大腸炎による障害年金の受給の可否を大きく左右すると言っても過言ではありません。
また⑮欄の自覚症状及び他覚症状の欄について現在の病状について詳細に記載してもらう必要があります。更に⑯欄「現症時の日常生活活動能力を及び労働能力」の欄も重要ですので日常生活や就労が潰瘍性大腸炎の症状(下痢、血便、腹痛など)によっていかに支障が生じているのかについて記載してもらう必要があります。
潰瘍性大腸炎以外のご病気
初めに申し上げましたように潰瘍性大腸炎での障害年金の受給は大変厳しいものとなっております。
このため最近の傾向といたしまして潰瘍性大腸炎での請求ではなくそれに伴いますうつ病等の精神のご病気での障害年金に請求が増えています。
担当医も潰瘍性大腸炎での請求は難しいので精神の病気での請求を勧められる場合があります。