目次
神奈川県茅ケ崎市の男性の発達障害・統合失調症による障害基礎年金2級の受給例
結果
障害基礎年金2級決定
年金額 780,100円
ご相談
現在、発達障害・統合失調症と診断され受診中であるとのことで、神奈川県茅ケ崎市からご本人のお母様のご相談のお電話をいただきました。
障害年金の手続きを行いたいが、できれば手続きの代行を依頼したいとのことでした。
発病から初診日などの様子を簡単に伺ったところ、1歳の頃に熱性痙攣があり幼少期は人に叱られると緘黙することが多かったとのことでした。
その後、5歳の頃に幼稚園で怪我をし病院を受診した際に自閉症・発達障害の診断を受けたとのことでした。
初診時の病院について伺ったところ病院は現在もあるものの、カルテは残っていないことが確認済みであるとのことでした。
このことから、ご面談を実施しさらに詳しくお話を伺うこととしました。
ご面談
幼少期の様子
神奈川県茅ケ崎市内のご自宅に伺いお話を伺うこととしました。
幼少期から現在までの様子を伺ったところ、1歳の頃に熱痙攣があったものの幼少期は幼稚園に通い、人に叱られた時に緘黙することが多かったとのことでした。
その後、5歳の頃に幼稚園で遊んでる際に怪我をし病院を受診し入院した際に自閉症・発達障害と診断を受けたとのことでした。
その後現在から8年ほど前までは病院を一切受診していないとのことでした。
小学校入学後の様子
小学校低学年の時は特殊学級がなかったため普通学級に通っていましたが、学校生活には馴染めず不登校になってしまったとのことでした。
また、外で活発に遊ぶこともなく友人と遊ぶことも少なく成績は良くなかったとのことでした。
中学・高校時の病状
中学校時も普通学級に通ったものの途中の一時期不登校があったとのことでした。
その後、高校にも入学したものの高校生活に馴染めず1年で中退してしまったとのことでした。
高校中退後、短期のアルバイトを行ったものの長続きせず、その後閉居状態になってしまったとのことでした。
その後、落ち武者や虫が見えるなどと言うようになり独り言を言う回数が増えたとのことでした。
高校中退後の病状
またストレスがたまると上半身裸になり家を出て行ってしまうこともあるとのことでした。
今から8年ほど前に大声で叫んだり徘徊すようになったため茅ケ崎市内の病院を受診したとのことでした。
受診の結果、うつ病と診断されさらに自閉症の検査をすると言われたため、検査を嫌い受診を中断したとのことでした。
その後も就労を行うことはなく、上半身裸で路上に立っていたところを警察に保護され、医療保護入院になってしまったとのことでした(発達障害・統合失調症と診断を受ける)。
入院を機に転院し1ヶ月に1回受診し投薬治療を継続しているものの、幻聴、対人コミュニケーション不良、不眠などの症状があり体調不良のため病院を受診できないこともあるとのことでした。
初診時の再確認と診断書の依頼について
初診時の病院について伺ったところ、やはり病院は残っているもののカルテは残っていないとのことでした。
このことから、三親等内の親族以外の当時の事情を知っている方、2人に当時の事情を申立書に記載してもらうことで初診日の証明書の代わりとなる旨をご説明しました(初診日に関する第三者の申立書)。
また、現在の病状を記載した診断書に関しては、次回受診時にご本人とお母様が病院へ行き担当医師に診断書の作成依頼を行うとのことでした。
このため面談時に伺った内容をもとに弊所にて依頼状を作成し、診断書用紙に添付することとしました。
請求手続き
初診日に関する第三者の申立書
初診時に関する資料が何もなかったため、初診日に関する第三者の申立書(第三者証明)の作成を当時の事情をご存知の方2人に依頼することとなりました。
診断書の作成依頼状
また、ご面談時に伺った内容によると現在のご病状がかなり悪化しているとのことでしたので伺った内容をもとに日常生活や就労にいかに支障が生じているのかといった点について担当医師宛の依頼状を作成しました。
その後、診断書が完成したため内容を確認したところ、数ヶ所記載内容の誤っている部分があったため、弊所から修正依頼を行ったところ、「不十分な部分について担当医師が分かるように指摘して欲しい」とのことでした。
このため修正の必要な部分が分かるように書面にし修正依頼を行うこととしました。
必要書類の作成と修正
また初診日に関する第三者の申立書に関しては作成段階で適切な記載内容になるようにご説明しましたが、残念ながら完成した申立書の内容が不十分でした。
このため、さらにご協力をお願いし当時の事情がよく分かるように追記していただくこととしました。
また病歴就労状況等申立書に関しては病名が発達障害・統合失調症であったため、出生から現在に至るまでをご面談時に伺った内容もとに過不足なく適切に作成しました。
また、その他の必要書類を作成し、提出することで手続きを完了し、数ヶ月後に障害基礎年金2級の決定を受けることができました。
請求手続きのポイント
初診日の資料が何もない場合
本件の場合、初診日が現在から30年以上も前の幼少期にあったために初診日の記録が何もありませんでした。
このため、初診日に関する第三者の申立書を当時の事情をご存知の三親等内の親族以外の方に作成してもらうことで初診日の証明を行うことが可能となりました。
初診日が二十歳前にある場合には原則として初診日に関する第三者の申立書を提出することで初診日を証明したとみなされます(現在では初診日が二十歳以後にある場合でも初診日に関する第三者の申立書を提出することで初診日の証明とすることが一部例外を除き認められました)。
一方で初診日に関する第三者の申立書はカルテに比べ確実な証明方法と言えないため、途中で申立書を作成した第三者に電話や書面での確認が入る場合があります。
一方で本件の場合には第三者に特に確認は入りませんでした。
初診日に関する第三者の申立書の作成上の注意点
途中で事務センターから確認が入る理由は様々ですが第三者に確認が入る場合には請求手続きが途中で中断することから決定が出るまで通常よりも時間がかかってしまう場合があります。
このことから、初診日に関する第三者の申立書を第三者に作成してもらう場合にはできるだけ当時の様子を思い出してもらい、病院名や日付、病名などについて詳細に記載してもらうことが重要です。
発達障害と統合失調症の関係
本件の傷病名は発達障害・統合失調症となっていました。
発達障害は、生来的な病気であるため発達障害に罹った後に統合失調症を併発した形となります。発達障害と統合失調症の関係は厚生労働省年金局の見解によると発達障害の病態として統合失調症が出現している場合には同一の疾患とみなされ、発達障害の病態として統合失調症が出現していない場合には別々の病気とみなされるとのことでした。
本件の場合には5歳の時の受診が初診日と認められていることから発達障害と統合失調症は、同一の疾病とみなされました。
発達障害の病歴就労状況等申立書の作成
発達障害は生来的な病気ではありますが知的障害と異なり初めて病院を受診した日が初診日となります。
一方で病歴就労状況等申立書を作成する場合には発達障害の症状が出て初めて病院を受診した頃から作成するのではなく出生時から作成する必要があります。
発達障害の初診日が原則通り初めて病院を受診した日となることから症状が出たときから病歴就労状況等申立書を作成すれば足りるように思われますが、出生時から記載されていない場合には手続きが途中で止まったり、書き直しの対象となる場合がありますので注意が必要です。
※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に則り文章の内容を作成しています。