国民年金保険料には保険料の免除の制度があります。
免除制度には法定免除と申請免除、学生納付特例、若年者納付猶予などの制度がありますが、障害年金の受給が決定した場合は法定免除によって国民年金保険料が免除されます。
目次
国民年金保険料の法定免除
法定免除の対象
国民年金保険料の法定免除の対象になるのは障害基礎年金または障害厚生年金の1級または2級に該当する年金の受給が決定した第1号被保険者(自営業者、学生等)です。
このことから、障害厚生年金3級や障害手当金の場合には法定免除の対象とはなりません。
国民年金保険料の法定免除が適用された場合には国民年金保険料を支払う必要がありません。
現在の国民年金保険料は16,490円(平成29年10月現在)ですのでこの金額を支払わなくてもよくなることは大きいです。
老齢基礎年金額が半額に
しかし注意しなければいけないことは国民年金保険料が法定免除になった期間は老齢基礎年金が半額になってしまうということです。
このことから永久認定で障害が今後の回復する見込みがない場合には65歳以降も障害基礎年金を受給し続けることができますので法定免除を行う方が有利といえます(65歳以降は障害基礎年金と老齢基礎年金のどちらかを選択で受給)。
一方で今後障害が回復する見込みがあり、65歳以降に老齢基礎年金を受給する可能性がある場合には法定免除を行った期間は老齢基礎年金が半額になってしまいますので注意が必要です。
3級以上に該当しなくなってから3年経過した場合
また厚生年金保険法に規定する障害等級3級以上の障害の状態に該当しなくなった日から起算して3級以上の障害の状態に該当することなく3年を経過した障害基礎年金、障害厚生年金の受給権者は法定免除の対象から除外されます。
言い換えれば障害年金の1級または2級の受給権者であった場合は3級になった場合にも継続して法定免除の対象となります。
法定免除の期間
法定免除となる期間は障害年金の受給が決定した月の前月から法定免除の対象とならなくなった月までが免除の対象となります。
さかのぼりでの請求(遡及請求)の場合
保険料は遡りで全額が還付
障害年金のさかのぼりでの請求(遡及請求)が認められ過去にさかのぼって年金が支給される場合があります。
この場合、5年を超える分は時効によって消滅し受給することができません。
一方で、国民年金保険料の法定免除も認定日までさかのぼりで免除され還付請求を行うことで年金が戻ってきます。
障害年金の場合は最大でも5年分のみの支給となりますが、国民年金保険料の法定免除に伴う還付の場合には全額が還付の対象とされます。
例えば、障害認定日が20年前の場合、障害年金は5年分のみさかのぼりで請求することができますが国民年金保険料は20年分すべて還付請求することができ、高額の年金保険料が戻ってくる場合があります。
追納も出来る
法定免除を行った場合にも国民年金保険料は10年間さかのぼって追納することができますので、病状が途中で回復し、65歳以降に老齢基礎年金を受給する可能性が高まった場合には、国民年金保険料を追納することで老齢基礎年金の減額を回避することもできます。
免除対象は第1号被保険者のみ
第1号被保険者とは自営業者や学生等のことをいいます。
法定免除の対象となるのはこの第1号被保険者のみになりますので、現在サラリーマンで第2号被保険者の場合や第3号被保険者(サラリーマンの配偶者)の場合には、障害年金の2級以上が決定した場合にも法定免除の対象にはなりません。
法定免除の手続き
国民年金保険料の法定免除の手続きを行う場合は市区町村役場の国民年金課窓口で「国民年金保険料免除事由該当届」を記載して提出することで行うことができます。
まとめ
国民年金保険料は障害年金の2級以上に該当した場合、法定免除の対象となります。
保険料が免除となった場合にはその期間は老齢基礎年金が半額となります。
このことから、永久認定など病状が今後変わらない場合には法定免除の手続きを行った方が有利になります。
一方で、今後、ご病状が改善し65歳以降に老齢基礎年金を受給する可能性がある場合には、国民年金保険料を払い続けたほうが良い場合もあります。
また、法定免除の対象となるのは第1号被保険者(自営業、学生等)のため第2号被保険者(サラリーマン)、第3号被保険者の期間は法定免除の対象となりません。
さらに、さかのぼりで障害年金の受給が決定した場合には、国民年金保険料もさかのぼりで法定免除の対象となり、年金の場合は5年間のみの受給(時効)ですが、国民年金保険料の法定免除をさかのぼりで申請を行った場合5年間を超えて全額が還付されます。