目次
横浜市港南区の女性の知的障害による障害基礎年金2級の受給事例
結果
障害基礎年金2級決定
年金額 780,100円
ご相談
障害年金の受給手続きについて港南区のご親戚からご本人の代理でご相談のお電話をいただきました。
知的障害者であるが出生からずっと病院を受診したことはなく最近になり障害年金の手続きに必要であるということが判り港南区内の病院を受診しているとのことでした。
病状について伺ったところ現在はスーパーの惣菜係としてパートを行っているものの、自分の食事の支度もできず入浴も1人でできず、下着を替えることも1人ではできないとのことでした。
このことから詳細にお話を伺うためご面談を実施することとしました。
ご面談
出生から小学校入学まで
ご本人に代わりご連絡をいただいたご親戚とのご面談となりました。
出生から現在までの様子を伺ったところ出生当時動きが鈍く口を開けっぱなしでいる状態だったとのことでした。
小学校入学後の様子
生まれた時から知的障害者で小学校入学から特別学級に入れられたとのことでした。
小学校時は簡単な計算もできず読書は何とかできる程度のレベルだったとのことでした。
途中からいじめを受けて不登校となってしまったとのことで、中学入学後は特殊学級と普通学級の両方に通学するようになったとのことでした。
勉強にはついていけず簡単な計算ができない状態であったとのことでした。
また体育祭の練習でも内容が理解できないため、周りについていけず外から見ているような状態であったとのことでした。
中学校入学以降の様子
また年齢相応の話ができず成績は悪く中学校でも半分近くは学校に通わなかったとのことで、その後高校には進学せずに家にいることが多かったとのことでした。
また一時アルバイトをするもの長続きしなかったとのことでした。
現在は、スーパーの惣菜係としてパートを続けているものの、上司や同僚の指示やサポートのもと就労行っており、自分の食事の支度や入浴も一人ではできず、下着の替えも自身ではできないとのことでした。
このことから知的障害の場合には、国民年金の保険料を支払っていない場合でも年金が受給できる旨をご説明しました。
また、診断書の作成依頼について伺ったところ現在受診している病院の担当医が障害年金の診断書の作成について了解しているとのことでした。
請求手続き
診断書の作成依頼
診断書の作成に先立ち、中学校時の担任の先生にお話を伺うことができたことから、お電話ではありましたが、当時の様子を伺い病歴就労状況等申立書の作成及び診断書の作成依頼に反映させることとしました。
その後、現在の病状記載した診断書の作成に当たり、ご面談時に伺った内容をもとに弊社にて依頼状を作成し、診断書用紙に添付することとしました。
知的障害による障害年金の請求の場合は診断書に現在の病状を正しく反映する必要があります。
一方で担当医師は診断の合間を縫って診断書の作成を行うため、記載漏れや誤った記載をする可能性があるだけでなく、担当医師といえども患者の現在の病状を正しく把握してない場合があることから、事前に作成した依頼状を添付することでこのような事態を防ぐことが可能となります。
診断書完成後の確認と手続きの完了
その後完成した診断書の内容を確認したところ、臨床検査の項目に一部記載漏れがありましたがその他の部分に関しては、依頼状に必要事項を記載したこともあり、記載ミスや記載漏れはありませんでした。
また病状に関しても現在の病状を反映したものとなっていました。
その後、病歴就労状況等申立書をご面談時に伺った内容をもとに弊所にて作成しました。
知的障害の場合には出生時から現在までの病歴、就労状況、日常生活状況、医師から指示された内容などについて記載する必要があることから出生時から現在までの様子を過不足なく記載し、その他の必要書類とともに提出することで手続きを完了し、数ヶ月後に障害基礎年金2級の受給決定を受けることができました。
請求手続きのポイント
知的障害による手続きの特徴
知的障害による障害年金の請求の場合は初診日が出生日となるため受診状況等証明書(初診日の証明書)は不要となります。このため、診断書の初診日の欄に誕生日を記載することで初診日を特定した形となります。
また初診日が出生日であるため、二十歳前傷病による障害基礎年金として国民年金保険料の納付要件を問われることもありません。このことから、二十歳以降の国民年金保険料の未納期間が長期間に及ぶ場合にも障害年金を受給できる可能性があります。
IQ(知能指数)について
さらに本件の場合には診断書の作成過程において、臨床検査の項目に記載漏れがありました。
臨床検査の項目は心理テスト・認知検査、知能障害の場合は知能指数・精神年齢を記載する項目となっています。
この項目は赤字で記載されており、必ず記載しなければならない項目となっています。
本件の場合には診断書の作成終了の段階では空欄になっており、この点について担当医師に確認したところ、「本人の状態から知能指数の検査を行うことが難しかった」とのことでした。
このことから、担当医師に当該項目は必須項目のため医師の判断により精神年齢を記載してもらうように依頼しました。
精神年齢や IQ (知能指数)は障害年金の審査において一つの資料となります。
一方で、障害年金の審査や等級の認定にあたって知能指数だけで審査・認定は行われず障害がどれだけ就労や日常生活に支障を生じさせているのかといった視点で総合的に判断され IQ (知能指数)のみでは判断されることありません。
知的障害と就労
また本件の場合、スーパーの惣菜係として基本的にフルタイムで就労していましたが、精神障害の場合はご病気の種類によっては就労を行うことが障害年金の受給にマイナスに働く場合もあります。
一方で知的障害の場合には就労を行っている場合でも仕事の種類、内容、就労状況、職場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを踏まえて総合的に判断され就労を行っていることのみをもって障害年金が受給できなくなるということはありません。
※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に沿って文書の内容を作成しています。