目次
関節リウマチでの障害年金受給のポイント
関節リウマチでも障害年金を受給できます
障害年金は、一部認定基準で定められている場合以外は日常生活や就労にどれだけ支障が生じているかという観点から受給の可否が決定されます。
このため、関節リウマチであっても脚や手に障害があり、日常生活や就労に支障が生じていれば障害年金を受給できる場合があります。
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
関節リウマチは、痛みや炎症のために手や脚の動きに支障が生じてしまう病気です。
一般的に脚の障害の場合は常時杖を使用しなければ歩けなくなった状態が3級、車椅子を使用するようになったら2級と大まかに判断することができます。
このため、障害基礎年金の場合には1級と2級しかありませんので関節リウマチで脚に障害があり、杖を使わなければ歩けないような状態であっても障害年金を受給できない場合があります。
また、脚だけではなく、手の動作に関しても障害がある場合は2級に該当する場合もあります。
一方で障害厚生年金には3級もありますので、脚のみの障害の場合でも、杖を使わなければ歩行が難しくなったような病状であれば障害厚生年金3級に該当する場合もあります。
手や脚の障害の程度
脚の障害
脚の障害に関しては日常生活の動作において片足で立つ、座る、深くお辞儀をする、屋内で歩く、屋外で歩く、立ち上がる、階段を上る、階段を下りる、目をつぶった状態で立ち上がり状態を保持できるかどうか、目を開けた状態で直線の10メートルの歩行ができるかどうかなどの項目で判断されます。
これらの項目において1人でうまくできる、1人でできてもやや不自由、1人できるが非常に不自由、1人で全くできないの4段階で判断されます。
手の障害
手の障害に関しては日常生活の動作においてつまむ、握る、タオルを絞る、紐を結ぶ、さじで食事をする、顔を洗う用便の処置をする、上着の着脱、ズボンの着脱、靴下を履く等の動作が1人でできるかどうかで判断されます。
診断書の作成依頼について
障害年金の請求において診断書最も重要な書類です。一方で、担当医師は忙しい中、診断書の作成を行うため記載漏れや誤った記載をしてしまう可能性もあります。
また、担当医師は長時間ご本人と生活をともにしているご家族とは異なり、必ずしもご本人の病状を正確に把握していない場合があります。
このことから、診断書の作成依頼を行う場合には依頼を行う段階で現在の病状を明確に担当医師に伝える必要があります。
ご自身で手続きを行う場合には、事前に現在の病状をご自身でまとめおくことや或いはメモ書きを担当医師に渡すなどの方法が有効です。
横浜市金沢区の40代女性の関節リウマチでの障害基礎年金2級の受給事例
結果
障害基礎年金2級決定
年金額 780,100円
ご相談
横浜市金沢区の女性より現在関節リウマチと診断されているとのことで、障害年金の手続きの代行を依頼したいとのご相談のお電話をいただきました。
現在のご病状について伺ったところ、現在は全身の倦怠感や痛みがあり特に筋肉や大腿骨、膝、首、親指に痛みがあり、痛み止めの注射を行っているとのことでした。
初診日について伺ったところ、現在より8年ほど前に発熱及び身体の痛みがあったため、風邪をひいたのではないかと考え最寄りの病院を受診したとのことでした。
また保険料の納付状況について伺ったところ、「ご主人様の第三号被保険者として国民年金に加入しており、保険料の未納はないと思う」とのことでした。このことからご面談を実施しさらに詳しくお話を伺うこととしました。
ご面談
横浜市金沢区内のご自宅に伺いご面談を実施することとしました。
発病から現在までの様子を伺ったところ、今から8年ほど前に体に痛みがあり、風邪でもひいたのではないかと考え最寄りの病院を受診したとのことでした。
受診後も症状は改善しなかったため転院したとのことでした。
転院の結果、関節リウマチと診断され投薬治療を開始したとのことでした。
その後、月に1回受診し投薬治療を継続したものの病状は改善せず、手や足に痛みが生じるようになり、歩行に支障が生じるようになったとのことでした。
その後も投薬治療を継続しているものの、病状は改善せず、現在は全身の倦怠と痛み、大腿骨、膝、首、親指などに痛みがあり、歩行や日常生活での動作にも支障が生じているとのことでした。
初診時の病院について伺ったところ病院は現在も存在しており、またカルテが残っていることをご自身で確認されていました。
また障害認定日(初診日から1年6ヶ月後の日)当時の受診及び病状について伺ったところ、現在の病院を継続して受診しており、病状は現在よりも幾分軽かったとのことでしたがご本人の希望により障害認定日当時の診断書及び現在の診断書の作成依頼を行い、さかのぼりでの請求(遡及請求)を行うこととなりました。
請求手続き
障害年金の手続きにおいて診断書は最も重要な書類といえます。
これは、関節リウマチによる障害年金の手続きにおいても同様であるため、診断書の内容を現在の病状を的確に反映したものとするため、ご面談時に伺った内容をもとに依頼状を作成し、担当医師に病状を明確に伝えるようにしました。
また、病歴就労状況等申立書の作成に関してもご面談時に伺った内容をもとに発症時から現在までの様子を過不足なく弊所にて記載しました。
その後完成した診断書の内容を弊所にて確認したところ、数ヶ所の記載漏れ及び病状の点で現状よりも軽く記載されている部分がありました。
このことから、弊所から直接病院に確認したところ、記載漏れ及び病状が軽く記載されてる部分についてはご本人が診断書を持参すれば修正するとの回答でした。
このことからこの旨をご本人にお伝えし診断書の修正を行っていただくこととしました。
診断書の修正終了後、必要書類とともに提出することで手続きを完了し、障害基礎年金2級の受給決定を受けることができました。
請求手続きのポイント
本件の場合、障害認定日以降3ヶ月以内の病状記載した診断書と現在の病状を記載した診断書の二通を提出することでさかのぼりでの請求(遡及請求)を行いましたがさかのぼりでの請求(遡及請求)は認められず事後重症請求のみが認められました。
さかのぼりでの請求(遡及請求)の場合には障害認定日当時の病状及び現在の病状がともに障害等級に該当するような病状である場合に認められます。
本件の場合には、障害認定日当時の病状が軽かったためにさかのぼりでは請求(遡及請求)は認められませんでした。
一方で、現在の病状を記載した診断書に関しては、最初に診断書が出来上がった段階では診断書のいくつかの箇所に現在の病状よりも軽く記載されている部分がありました。
このことから、担当医師に修正依頼を行ったところ、本人が診断書を持参することで修正依頼に応じてもらうことが可能となりました。
担当医師は自身が作成した診断書の内容を変更しない場合が多いと思われます。
一方で本件の場合は患者が診断書を持参することで患者の意見を受け入れ、部分的に診断書の内容を変更してもらうことで可能となり結果として障害基礎年金2級の受給につなげることができました。
※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に則り文章の内容を作成しています。
まとめ
関節リウマチでの障害年金の受給の可否は手や脚の動作が日常生活にどれだけ支障が生じているかという観点から判断されます。
また、障害基礎年金においては1級と2級しかありませんので、脚の障害において杖を使って歩行ができる程度の場合には障害基礎年金2級に該当しない場合があります。
一方で手にも障害がある場合には脚の障害と含めて障害基礎年金2級に該当する場合があります。