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病歴・就労状況等申立書の書き方

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病歴・就労状況等申立書は障害年金の請求をする上で必ず提出しなければならない書類です。

一方で、病歴・就労状況等申立書を自身で作成する場合には何をどのように書いてよいか分からない場合が多く、作成者の負担も大きいものとなります。

ここでは、病歴・就労状況等申立書の書き方、作成上の注意点についてご説明します。

目次

病歴・就労状況等申立書とは

病歴・就労状況等申立書とは障害年金の請求時に添付しなければならない書類で、障害年金を受給するために必要な書類の中で診断書に次いで重要な書類といえます。

病歴・就労状況等申立書は受診状況等証明書や診断書が一定の限定された期間についての病状が記載される書面であるのに対して、発病から(傷病によっては出生から)現在までの病歴と就労状況について網羅的に記載された書面であるということができます。

このことから、受診状況等証明書や診断書が病状を表す「点」であるのに対して、それをつなぐ「線」の役割を果たすのがこの病歴・就労状況等申立書と言えます。

病歴・就労状況等申立書の書き方

傷病名

傷病名については、担当医師が記載した診断書の傷病名と同じ病名を書くようにしましょう。

そのため、この部分は空欄にしておいて診断書が出来上がった段階で記入するのも良いかもしれません。

精神の障害の場合には傷病名が「うつ病・パニック障害」などのように複数の病名の記載になる場合がありますが、このような記載になっても構いません。

一方で、傷病が複数にわたる場合には、病歴・就労状況等申立書も複数枚記載しなければなりません。例えば、糖尿病性網膜症と糖尿病性腎症が併発している場合には、それぞれの病気に関しての申立書を記載しなければなりません。

規準としては診断書が複数枚となる場合は病歴・就労状況等申立書も複数枚となると考えればよいと思います。

発病日

発病日に関しては具体的に何年何月何日と記載することは難しい場合がほとんどですので、何年何月頃と記載することで十分であると思われます。

また場合によっては何年頃という記載でも問題がない場合もあります。それは現在の障害年金の手続きにおいては、発病日ではなく初診日を基準として手続きが進むという特徴があるからです。

また知的障害や発達障害、脳性麻痺のように先天性の疾患の場合には出生の時からご病気を持っている(発症している)といえますので出生日を発症日として記載します。

初診日

初診日とは初めて医師、歯科医師の診断を受けた日を言います。病名が決定した日ではありませんので注意が必要です。

例えば不眠症で最寄りの内科を受診し精神安定剤を処方された後に心療内科に転院しうつ病と診断された場合は不眠症で内科を受診した日が初診日となりますのでその日を初診日の欄に記載しなければなりません。

また初診日に関しても受診状況等証明書や診断書に記載された日付と同じ日付になるようにしましょう。受診状況等証明書や診断書の初診日と違う日付を記載した場合には、審査の途中で修正しなければならない場合もあるからです。

記載欄

全ての欄を使用する必要はありません

記載欄は1~5番までの五つの欄がありますが、すべての欄を使用しなければならないわけではありません。

このことから、発病から現在までが短期間の場合にはすべてを使わずに終了する場合もあります。また一つの欄は最大でも5年間としそれ以上の期間に関しては別の欄に記載するようにしましょう。

先天性の疾患の場合

先天性の疾患の場合には、生まれた時から現在までのすべての期間について記載しなければなりません。知的障害脳性麻痺など手続き上、先天性の疾患と認められている病気はもとより、発達障害のように初診日が一般原則通り初めて病院を受診した日となるご病気であっても生まれた時から記載しなければなりません。

また令和2年10月より生来性の知的障害の場合は出生日から現在までのの状況を特に大きな変化が生じた場合を中心に出生から現在までの状況を一括して最初の一覧に記載することが出来ます。

【記載例・精神】『出生時は特に問題なく産まれました。幼稚園に入園するまでの間は1人遊びが多く、おとなしい性格でした。幼稚園入園後も1人で遊ぶことが多く他の園児にお遊戯や歌の練習でついて行けず先生に面倒みてもらうことがありまた幼稚園を脱走してしまい周囲に迷惑をかけてしまうことがありました。』

受診していない期間

また受診していない期間がある場合は受診している期間と受診していない期間は別の欄に記載するようにしましょう。受診していない期間について記載しない方もいますが、必ず記載するようにしましょう。

その際には受診していない期間の受診していなかった理由や就労状況、日常生活の状況、病状について記載するようにしましょう。

【記載例・精神】『この期間は病状は一進一退でしたが、自身に病識がなくまた受診しても効果が上がらないのではないかと考え、受診を中断していました。一方体調的にはすぐれなかったため就労は行わずにいました。』

転院している場合

転院している場合は基本的には欄を変えて記載します。各欄の日付は間隔が開かない方がよいのですが前医の受診と転院後の受診の間が1ヶ月以内の場合は多少の期間が開いてしまっても許容されます。

例えば1欄が「平成29年1月10日~平成30年4月10日」と記載しその後転院し2欄が「平成30年5月7日~平成30年9月10日」となるような場合です。

【記載例・精神】『その後も受診を継続していましたが、飲み薬が徐々に増加し、医師と治療方針について意見が合わなくなったため通院の便の良い○○クリニックに転院しました。』

記載内容

申立書の注意事項にも書いてありますが、受診内容としては通院期間、受診回数、入院期間、治療経過、医師から指示された内容、転院、受診中止の理由、日常生活状況、就労状況について記載する必要があります。

入院期間がある場合は入院期間を一つの欄に記載する方が読み手にとっては読みやすいかもしれませんが、必ずしも入院期間を別蘭に記載する必要はありません。

また入院期間がある場合や現在入院している場合には、障害年金を受給しやすくなる傾向にありますので、入院期間がある場合には必ず記載するようにしましょう。

病歴・就労状況等申立書はそのタイトル通り就労状況については必ず記載しなければなりません。

就労状況については、厚生年金保険のデータとしてどの会社に勤めていたのかについて日本年金機構に残っていますので整合が取れるように記載しなければなりません。

就労期間について記憶が定かでない場合には年金事務所で就労についてのデータをもらうことができます。

記載漏れなどがある場合には、審査の過程で「返戻」となり就労状況についての再確認が行われる場合があります。

遡及請求(さかのぼりでの請求)の場合には、障害認定日から現在までの間で就労を行っている場合はその期間は病状が軽かったと判断され、遡及請求が認められないことがあります。
※肢体の障害のように就労を行っても審査に影響がないが場合もあります。車いすを使用してフルタイムで働かれている方も多くいらっしゃいますがこのような場合は障害年金の受給に影響しません。

また自営業の場合で就労に支障が生じていた場合には「仕事の大半を従業員に任せていた」「自身ではほとんど仕事が出来なかった」のように記載します。

病状に関しては、診断書を作成した医師は生活をともにしているわけではありませんので診断書の記載内容が不十分となる場合も時としてあります。

このため、病歴・就労状況等申立書は、唯一ご自身の日常生活について記載できる書面ですので、できるだけ日常生活に支障が生じていること(出来ないこと)、就労に支障が生じていること(いたこと)、休職していたこと、退職したことを記載するようにしましょう。

また、医療機関名に関しては、病院名だけではなく出来れば精神科や心療内科などの受診科についても記載するようにしましょう。

受診回数に関しては「月に1回受診していた」「2週間に1回受診していた」のように記載すれば足ります。

自覚症状については日常生活や就労にどのように支障が生じていたかについて記載します。

【記載例・精神】『午前中は意欲が低下していたためベットから起きることが出来ず、夕方頃になってからようやく活動できる状態でした。不眠症も改善せず、夜中に何度も起きてしまうことや夜ベッド入ってもなかなか寝付けないことが多くありました。』

医師から指示された事項については仕事を休んだ方が良いとアドバイスされたこと、薬の分量を減量したほうが良いといわれたこと、できるだけ運動をした方か良いと言われたこと、運動はしない方が良いと言われたこと、入院を勧められたこと、食生活についての注意点、服薬についての注意点等について記載します。

【記載例・精神】『就労を継続していましたが、担当医師に一旦仕事を休んで休養した方が良いとアドバイスをもらったため、この頃より休職することとなりました。その後自宅療養を継続したものの病状はあまり改善せず、担当医師もいろいろな薬を処方してくれましたが、薬の量が増える一方で、あまり効果はありませんでした。』

【記載例・脳梗塞】『リハビリを目的とした入院が終了し退院後、職場復帰となりました。一方で、左半身に麻痺が残っていたため、発病前と同じ仕事ができなかったため会社の配慮であまり動かなくても済む部署へと移動となりましたが最低限動かなければならない場合もあり、職場で転倒してしまうこともありました。』

障害年金の手続きと関係ない記載はしない

障害年金の手続きを行っている場合、「経済的に困窮している」等の記載をしてしまう方がいらっしゃいますが、障害年金の手続きと関係のない記載を行ってもマイナスにはなってもプラスになることありませんので経済的事情などは記載しないようにしましょう。

※経済的事情によりやむを得ず就労していた場合などの場合は記載した方がよいでしょう。

裏面の記載

障害認定日頃の状況と現在の状況

用紙の上半分に「認定日の頃の状況」、下半分に「現在の状況」を記入するようになっていますが、事後重症請求(請求月の翌月分の年金から請求する場合)の場合には半分から上の「認定日の頃の状況」については記載する必要がありません。

逆に遡及請求(さかのぼりでの請求)や障害認定日請求を行う場合には上半分の「認定日の頃の状況」についても記載しなければなりません。

一方で事後重症請求を行う場合は上半分は不要となりますので斜線を引くと読み手が分かりやすいかもしれません。

就労状況の欄

【職種】仕事の内容を簡潔に記載します。社名を書くよりも「コーヒーショップでの接客業」「建設会社の事務」のように内容が分かるように記載します。

【通勤方法】通勤方法は「電車」「バス」「徒歩」のように記載し出勤に数についても事実を記載します。

遡りでの請求の場合は障害認定日当時の就労状況が審査の対象となりますので誤りが内容に注意する必要があります。

【仕事中や仕事を終わった時の調子について】仕事中に支障が生じている部分や仕事が終わった後に日常生活で支障が生じている部分(疲労が残り日常生活に支障が生じている等)について記載します。

日常生活状況の欄

【就労していない場合】就労していない場合にはその理由をア~オまでのどれかを〇で囲むようになっていますが、複数に当てはまる場合には複数に〇をすることも可能です。

【日常生活の制限について】10項目の日常生活について4段階でできるかどうかチェックします。原則として診断書と整合性を保つように記載しますが多少診断書と齟齬が生じても問題はありませんので自身で感じたままに記載するようにします。

また、日常生活状況の欄で「その他日常生活で不便で感じていることがありましたら記載してください」の欄に関しては、記載事項が多い場合には、別紙に記載しても構いません。

障害者手帳の欄

障害者手帳を受けているかどうかについて記載します。申請中の場合は事後的に手帳の写し提出が求められる場合があります。

障害者手帳の有無は審査の一要素ですが原則として障害年金の手続きとは別の手続きとなりますので障害者手帳と障害年金の等級は必ずしも一致しません。

自分で書くことはマイナス要因となるでしょうか

文章を書く男性

 

日本年金機構のホームページでは、病歴・就労状況等申立書の用紙をダウンロードすることができます。

また、Office用のダウンロードもありますので、Office用でダウンロードすれば、ご自身のパソコンで作成することもできます。

ここで、「手書きで記載できるくらいの病状であれば元気だと判断され障害年金が受給できない。」「パソコンが操れるぐらい元気であれば障害年金は受給できない。」といった意見がありますが、どちらも当てはまらないのではないかと考えます。

審査する側からすれば病歴・就労状況等申立書は審査の重要な資料であり、最も重要なことは資料の内容が的確に記載されているかどうかであり、本人が手書きで書いているから元気であるとかパソコンを操れるから元気であるなどということは問題外なのではないかと思われます。

一番大事なことは求められている内容を的確に記載することです。不十分な内容を記載し書き直しを指示されるよりも的確に求められている内容を記載し速やかに年金を受給することが最も重要なことです。

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