対象傷病

統合失調症での障害年金請求のポイント

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統合失調症はその後病状により障害年金を受給することが出来る疾病(障害)です。

統合失調症による障害年金の請求には幾つかのポイントがあります。

ここでは統合失調症による障害年金の請求時のポイントを出来るだけ分かりやすくご紹介しています。

目次

統合失調症で受給できる年金

障害年金とは

障害年金は老齢年金や遺族年金と同じ公的年金です。

障害年金はご病気や障害で就労や日常生活に支障が生じた場合に国民の経済的な負担を軽減するために支給される年金です。

障害年金の種類

障害年金には、初診日の段階で学生やアルバイト、サラリーマンの配偶者(第三号被保険者)などで国民年金に加入していた場合に受給できる障害基礎年金と初診日の段階で会社員などで厚生年金に加入していた場合に受給できる障害厚生年金の2種類があります。

障害年金の受給要件

障害年金は初診日を特定し、その初診日を基準にし保険料の納付要件を満たし、「障害認定日」または「障害認定日及び現在」においてご病状が障害年金を受給できるレベルに達している場合に年金が受給することができます。

障害年金の年金額

障害基礎年金の年金額

1級・・・975,125円(月額81,260円)

2級・・・780,100円(月額65,008円)

【子の加算額】

受給権者によって生計を維持されている18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子、または20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にある子があるときは子の数に応じて年金が加算されます。

1人、2人目までの子(1人につき)・・・224,500円(月額18,708円)

3人目以降(1人につき)・・・74,800円(月額6,233円)

生計を維持されているとは生計同一要件と所得要件の二つの要件を満たす必要があります。
障害厚生年金の年金額は以下のようになります。

障害厚生年金の年金額

障害厚生年金の1級と2級は下記の金額に障害基礎年金の金額が加算されます。

1級・・・報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額(224,500円)

2級・・・報酬比例の年金額+配偶者の加給金額(224,500円)

3級・・・報酬比例の年金額 (最低保障額585,100円)

金額は令和元年8月現在のものです。

統合失調症による請求のポイント

障害認定基準によって定められた病状

統合失調症の障害認定基準

統合失調症による障害年金の請求をする場合に当該ご病気の病状が年金が支給されるレベルにある必要があります。支給されるレベルかどうかの基準として「障害認定基準・認定要領」があります。

1級

統合失調症によるものにあっては高度の残遺状態または高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害その他妄想、幻覚等の異常体験が著明なため、常時の介護が必要なもの。

2級

統合失調症によるものにあっては残遺状態または病状があるため、人格変化、思考障害その他妄想、幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの。

3級

統合失調症によるものであっては残遺状態または病状があり、人格変化の程度は著しくないが思考障害その他妄想、幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの。

以上が厚生労働省で定められている統合失調症の認定要領になりますが、あくまでも短い文章での基準ですので、すべてのケースをこの文言のみによって決定することは難しい場合があります。

統合失調症の具体的な病状判断(診断書の内容)

日常生活のどの部分が審査の対象となるかを診断書の内容から考察すると以下のような要素が審査の対象となります。

日常生活能力の判定】

(1)適切な食事・・・配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることができるかどうか。

(2)身辺の清潔保持・・・洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができるかどうか。また自室の清掃や片付けができるかどうか。

(3)金銭管理と買い物・・・金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできるかどうか。また一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできるかどうか。

(4)通院と服薬・・・規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができるかどうか。

(5)他人との意思伝達及び対人関係・・・他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行えるかどうか。

(6)身辺の安全保持 及び危機対応・・・事故等の危険から身を守る能力があるかどうか。通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて適正に対応することができるかどうか。

(7)社会性・・・銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能かどうか。また、社会生活に必要な手続きが行えるかどうか。

以上の7つの項目についてそれぞれ「できる」「概ねできるが時には助言や指導を必要とする」「助言や指導があればできる」「助言や指導してもできないもしくは行わない」の4段階で評価します。

【日常生活能力の程度】

(1)統合失調症を認めるが社会生活は普通にできる。

(2)統合失調症を認め家庭内での生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要である。
※例えば日常的な家事をこなすことはできるが状況や手順が変化したりすると困難を生じることがある。社会行動や自発的な行動が適切にできないこともある。金銭管理は概ねできる場合など。

(3)統合失調症を認め家庭内での単純な日常生活はできるが、ときに応じて援助が必要である。
※例えば習慣化した外出はできるが、家事をこなすために助言や指導を必要とする。社会的な対人交流は乏しく、自発的な行動に困難がある。金銭管理が困難な場合など。

(4)統合失調症を認め日常生活における身の回りのことも多くの援助が必要である。
※例えば著しく適性を欠く行動が見受けられる、自発的な発言が少ない、あっても発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする。金銭管理ができない場合など。

(5)統合失調症を認め身の回りのこともほとんどできないため常時の援助が必要である。
※例えば家庭内生活においても食事や身の回りのことを自発的にすることができないまた在宅の場合に通院等の外出には付き添いが必要な場合など。

上記(1)から(5)のどのカテゴリーに該当するかで統合失調症での障害年金の受給の可否が審査されます。

一般的には(1)に該当する場合には、統合失調症での障害年金の受給をすることはできません。

(2)から(4)に該当する場合には、障害年金の3級2級に該当する場合が多いと思われます。また(5)に該当する場合は障害年金の2級1級に該当する可能性があります。

統合失調症による請求と就労

精神の疾患により障害年金の請求する場合に、就労行っている場合病状が軽いと判断され、審査においてマイナスの評価となる場合があります。

就労に関しては厚生労働省のガイドライン下記の記載があります。

安定した就労が出来ているかどうかを考慮する。1年を超えて就労を継続できていたとしても、その間における就労の頻度や就労を継続するために受ける援助や配慮の状況を踏まえ、就労の実態が不安定な場合はそれを考慮する。【等級判定ガイドライン】

診断書作成上のポイント

診断書は最も重要な書類

障害年金の手続きにおいて、担当の医師が作成する診断書は、最も重要な書類といえます。

統合失調症による障害年金の手続きを行う場合、日常生活や就労のどの部分に支障が生じているのかといった点を担当医師に明確に伝える診断書に反映してもらう必要があります。

診断書裏面の注意点

診断書裏面の「日常生活能力の判定」及び「日常生活能力の程度」の欄は障害年金の受給の有無や等級の決定を大きく左右する項目ですので、病状が診断書の内容に反映されるように担当医師に現在の病状を明確に伝える必要があります。

また診断書の裏面の「現症時の就労状況」についての記載欄があります。

この欄は必ず記載しなければいけない欄ではありませんが、就労支援施設や障害者雇用で就労している場合、または一般企業で働いている場合にはその点、その他の記載事項(勤続年数、仕事の頻度、ひと月の給与、仕事の内容)について担当医師に記載してもらう必要があります。

その他入院期間がある場合はその期間、自宅で療養している場合はその状況、同居者の有無などについての必要な項目を記載する必要があります。

診断書⑪欄の記載上の注意点

また診断書⑪欄「現時の日常生活能力及び労働能力」は日常生活能力と労働能力を担当医師が判断し記載する項目となります。

この記載欄には日常生活や就労に支障が生じている場合にはそのことについて記載してもらう項目です。

就労が行えないにもかかわらず「軽労働は可」と記載されてしまったために障害年金の受給が認められなくなってしまう場合もあります。

就労が行えない場合、日常生活に支障が生じている場合にはそれぞれ「就労が行えない」「日常生活に(著しく)支障が生じている」と明確に記載してもらうことが重要です。

統合失調症での30代男性の障害基礎年金2級の受給事例

結果

障害基礎年金2級決定

年金額 780,100円

ご相談

埼玉県にお住まいの男性より現在統合失調症と診断されており、障害年金の手続きを行いたいとのことでご相談の電話をいただきました。

発病から現在までの様子についてお伺いしたところ初めて病院を受診したのが高校生の頃で、その後、断続的に受診を繰り返しているものの病状はあまり改善せず、現在は、意欲低下や幻覚・幻聴などの症状があるとのことでした。このことから、さらに詳しくお話を伺うためご面談を実施すこととしました。

ご面談

埼玉県内のご自宅までお伺いしお話を伺うこととしました。

ご面談時に発症から現在までに様子について詳しくお伺いしたところ、高校生の頃に対人恐怖とともに人影が見えるような幻覚の症状が現れるようになり最寄りの病院を受診したとのことでした。

受診の結果統合失調症と診断され、その後継続的に受診しましたが自身は家から出ることができなくなってしまったとのことでした。

その後、受診を一旦中断したものの、病状が改善しないために再び別の病院を受診したとのことでした。

その後も受診を継続しているものの、うつ状態、幻覚、幻聴、希死念慮などの症状があり、一時アルバイトをした時期もありましたが、現在は就労支援施設に通っているものの、頭の中で誰がしゃべってる感じがする等の症状があり作業がほとんどできない状態であるとのことでした。

請求手続き

初診日の特定

初診日が高校生の頃で15年以上前でしたが、初診時の病院にカルテが残っていたため、受診状況等証明書の作成依頼を行うことができました。

受診状況等証明書完成後、内容を確認したところ前医の記載があるなどの問題は特にありませんでしたので初診日の特定を行うことができました。

診断書の依頼

診断書の作成に関し、担当医師が診断書の作成に難色を示しているとのことでしたが弊所から診断書の作成依頼を行ったところ特に問題なく作成依頼を受けてもらうことができました。

依頼時に「診断書の作成に難色を示されていなかったか」と確認したところ、特にそのようなことはなく、様子を見ていただけであるとの返答でした。

医師の場合、何らかの理由で障害年金用の診断書の作成を拒んでいる場合がありますが、第三者が作成依頼を行うことで作成依頼を受けてもらえることが多くあります。

病歴就労状況等申立書及びその他の書類の作成

本件の場合発症が高校生の頃でしたので病歴就労状況等申立書も高校生の頃から現在までの様子について弊所にて作成いたしました。

ご自身で作成したという病歴就労状況等申立書を拝見しましたが、余りにも内容が薄かったため、当該申立書も参考にしながら弊所にて大幅に追記することとなりました。

その後、手続きを完了し、障害基礎年金2級の受給決定を受けることができました。

本件のポイント

本件のポイントの第1は担当医師が診断書の作成に難色を示していた点にあります。

社会保険労務士が代理で診断書の作成を再度行った場合にもならかの理由で診断書の作成を行っていただけない医師もいらっしゃいますが、本件の場合には、第三者である社労士が間に入り依頼することでスムーズに診断書の作成を行ってもらうことができました。

ポイントの第2は曲がりなりにも就労行っていた点にあります。

一方で本件の就労は就労継続支援施設での就労である点、及び就労継続支援施設での就労にも支障が生じ、支援員の援助がなければ就労を継続することができなかった点などから障害基礎年金2級の受給決定を受けることができました。

 

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