診断書

知的障害による障害年金の診断書について

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知的障害は、要件を満たすことによって障害年金を受給することができる障害です。

一方で、障害年金の手続きにおいて担当医師が作成する診断書は最も重要な書類といえ、知的障害により手続きを行う場合も診断書の作成依頼については十分注意する必要があります。

目次

知的障害による障害年金の請求における診断書の注意点

診断書用紙

知的障害による障害年金を請求する場合の診断書は、精神の障害用(様式第120号の4)の診断書用紙を用いなければなりません。

傷病の発生年月日及び初診日

精神の障害用の診断書には傷病の発生年月日(②欄)及び初めて医師の診療を受けた日(③欄)がありますがいずれの日付も誕生日(生まれた日)を記載しなければなりません。

初診日とは当該ご病気の症状が出て初めて医師(歯科医師)の診断を受けた日を言います。

知的障害の場合には生来的なご病気のため傷病の発生年月日は生まれた日となりその日に病院を受診していない場合でも便宜的にその日が初診日と扱われます。

医師の中には傷病の発生年月日や初めて医師の診療を受けた日(初診日)が生まれた日となることに異論を唱える方もいらっしゃいますが障害年金の手続きにおいては便宜的にこのような扱いがなされています。

また、知的障害以外の疾病では初診日の受診をカルテに基づいて証明する必要がありますが、知的障害の場合にはこのようなカルテに基ずく証明は必要はありません。

障害の状態

「ア」現在の病状、「イ」障害の状態

精神の障害用の診断書の「⑩欄」には「障害の状態」の記載欄があります。

この記載欄の「ア」のⅦには知的障害の程度の記載欄がありますので「軽度」~「最重度」のどれかに〇をする必要があります。

当該記載欄は文字も小さく見過ごされがちですが審査に当たってはしっかりと確認される事項ですので現状を反映した場所に〇をしてもらう必要があります。

また「イ」欄は障害の状態について記載する欄ですが出生から現在までの様子について記載してもらう必要があります。

障害年金の手続きにおける診断書の記載に空欄がある場合や記載が簡潔に終了している場合には症状が軽いと判断され審査に不利益となる場合がありますので注意が必要です。

このことから、診断書に必要事項を記載する場合にはできるだけ現在の病状を詳細に記載してもらう必要があります。

日常生活能力の判定及び日常生活能力の程度

診断書裏面の「日常生活能力の判定」及び「日常生活能力の程度」の記載欄は診断書の記載欄の中でも最も重要な部分といえます。

「日常生活能力の判定」は以下の事項について病状が判断されます。

(1)適切な食事・・・配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることができるかどうか。

(2)身辺の清潔保持・・・洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができるかどうか。また自室の清掃や片付けができるかどうか。

(3)金銭管理と買い物・・・金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできるかどうか。また一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできるかどうか。

(4)通院と服薬・・・規則的に通院や服薬を行い、病状等を主治医に伝えることができるかどうか。

(5)他人との意思伝達及び対人関係・・・他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行えるかどうか。

(6)身辺の安全保持 及び危機対応・・・事故等の危険から身を守る能力があるかどうか。通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて適正に対応することができるかどうか。

(7)社会性・・・銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用が一人で可能かどうか。また、社会生活に必要な手続きが行えるかどうか。

以上の7つの項目についてそれぞれ「できる」「概ねできるが時には助言や指導を必要とする」「助言や指導があればできる」「助言や指導してもできないもしくは行わない」の4段階で評価します。

これらの項目の判断についても一つ一つの判断がそれぞれ障害年金の審査に大きく影響を与えますので、できるだけ現状を反映した部分にチェックが入るように担当医師に現在の病状を明確に伝える必要があります。

「日常生活能力の程度」の記載欄には「精神障害」の欄と「知的障害」の記載欄があります。

知的障害による障害年金の請求においては、「知的障害」の記載欄を使用しなければいけません。

「日常生活能力の程度」の欄も(1)~(5)の5段階で評価を行います。

(1)知的障害を認めるが社会生活は普通にできる。

(2)知的障害を認め家庭内での日常生活は普通にできるが社会生活には援助が必要である。
※例えば簡単な漢字は読み書きができ、会話も意思の疎通が可能であるが、抽象的なことは難しい。身辺生活は一人でできる程度。

(3)知的障害を認め家庭内での単純な日常生活はできるが、ときに応じて援助が必要である。
※例えば、ごく簡単な読み書きや計算はでき助言などがあれば作業は可能である。具体的指示であれば理解ができ、身辺生活についても概ね一人でできる程度。

(4)知的障害を認め日常生活における身の回りのことも多くの援助が必要である。
※例えば簡単な文字や数字は理解でき保護的環境であれば単純作業は可能である。習慣化していることであれば言葉での指示を理解し身辺生活についても部分的にできる程度

(5)知的障害を認め身の回りのこともほとんどできないため常時の援助が必要である。
※例えば、文字や数の理解力がほとんどなく、簡単な手伝いもできない。言葉による意思の疎通がほとんど不可能であり、身辺生活の処理も一人ではできない程度

一般的には(1)の場合は障害年金の受給を受けることはできません。

(2)の場合は障害年金3級に該当する場合があります。知的障害の場合には、20歳前傷病による障害基礎年金として障害基礎年金の受給となります。

このため障害基礎年金には3級がありません(1級と2級のみ)ので日常生活能力の程度の判定で(2)にチェックが入った場合は障害年金の受給が難しくなる場合があります。

(3)(4)の場合が障害年金2級に該当する場合があります。

(5)の場合は障害年金2級または障害年金1級に該当する場合があります。

エ-現症時の就労状況

精神の障害による障害年金の請求において就労を行ってる場合には障害年金の受給が難しくなる場合があります。

特にうつ病や統合失調症の場合にはご病気の特徴が意欲低下などであり就労が行えないことが多いため、就労が行えるということは病状が軽いと判断される場合があります。

一方で知的障害の場合には、職場で上司や同僚の援助を受けながら就労を行っている場合には、障害年金の受給に影響を及ぼさない場合もあります。

また障害者枠で就労行っている場合にも障害年金の受給に影響を及ぼさないことが多くあります。

このことから、「現時の就労状況」の欄には障害者雇用で就労している場合にはその点、職場での援助の状況や仕事内容(単純作業など)について記載する必要があります。

さらに、勤続年数や仕事の頻度(出勤日数)ひと月の給与についても漏らさず記載します。

カ-臨床検査(知能指数、精神年齢)

知能指数または精神年齢の記載は必ず行わなければならない記載項目です。

知能指数の記載についは場合により医師に「記載を行えない」と言われる場合がありますがその場合は医師の判断する精神年齢を記載してもらうことで足ります。

知能指数は知的障害により障害年金を請求する場合の一つの基準となりますが、知能指数の数値のみによって判断されることはなく、日常生活や就労にどれだけ支障が生じているのかという観点から総合的に審査は行われます。

知的障害の障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく日常生活の様々な場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する。    障害認定要領

年金事務所の説明で療育手帳の判定がB2の場合は受給できない等の案内をされる場合がありますがそのようなことはありません。

現症時の日常生活能力及び労働能力

知的障害を含めた精神の障害により障害年金の請求においては、障害により日常生活や労働にいかに支障が生じているのかといった観点から審査が行われます。

このことから、知的障害により就労や日常生活に支障が生じている場合には当該欄に明確に記載してもらう必要があります。

「軽労働は可」といったあいまいな記載の場合は障害年金の受給が認められなくなるなど審査に大きく影響してしまう場合があります。

このことから、「他人の援助がなければ就労は行えない」等明確に記載してもらう必要があります。

予後

知的障害の場合には今後現在の病状が変わる可能性は大きくありませんのでその点について簡潔に記載してもらう必要があります。

知的障害による障害年金の請求時のその他の注意点

病歴就労状況等申立書の作成

診断書とともに重要な書類

病歴就労状況等申立書は障害年金の手続きにおいて、診断書とともに重要な書類といえます。

知的障害により障害年金を請求する場合には病歴就労状況等申立書の作成についていくつかの注意点があります。

記載する期間

はじめに一般的なご病気の場合には、病歴就労状況等申立書は発病時から現在までの様子について記載します。

一方で知的障害の場合には初診日が生まれた日となりますので生まれた日から現在までの様子について記載しなければなりません。

このため記載内容が長期間に及ぶ可能性もありますが、3年から5年の範囲に分けて記載します。

特に幼少期から学生時代に関しては出生から幼稚園まで、小学校低学年、小学校高学年、中学校、高校の各期間に分けて記載します(特別支援学校、支援学級に通学していた場合はそのことについても記載します)。

病院を受診していた期間については、通院期間、受診回数や医師の判断、通院していない期間については受診を中断した理由、日常生活状況、就労状況について記載します。

知的障害の場合には就労を行う際に上司や同僚の援助を受けている場合がありますので、どのような援助を受けていたのかについても記載します。

受診していない期間

また知的障害の場合には長期間受診していない場合もありますが、そのことによって障害年金の受給にマイナスに働くことはありませんので受診していない期間については受診していないものとして、その期間の日常生活状況などについて記載すれば足ります。

障害認定日は二十歳の誕生日の前日

障害認定日は、障害の程度を確認する日であり原則としてこの日以降障害年金の手続きを行うことができます。

知的障害の障害認定日は20歳の誕生日の前日となります。

知的障害により障害年金の請求を行う場合の診断書は、20歳の誕生日の前後3ヶ月間、計6ヶ月間の間の病状を記載した診断書を提出することになります。

このことから、20歳の誕生日の3ヶ月前になったら障害年金用の診断書の作成依頼を担当医師に行うようにしましょう。

知的障害による障害年金には所得制限がある

知的障害による障害年金は初診日が生まれた日となることから国民年金保険料を支払っていない場合にも年金を受給することができます。

このことから所得の面で一定の縛りがかけられており、一定額以上の所得がある場合には障害年金の半分もしくは全額が支給停止となります。

年間所得が360万4,000円以上ある場合は年金の半分が支給停止となり、462万1,000円以上ある場合には全額が支給停止となります。

また扶養家族がある場合には扶養家族一人に対し上記額に38万円を加算した額、70歳以上の老人扶養親族がある場合については一人につき48万円、16歳以上23歳未満の特定扶養親族がある場合については一人につき63万円を加算した額がそれぞれ支給停止額となります。

 

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