加齢黄斑変性症はその病状により障害年金の対象となる疾病です。
目次
加齢黄斑変性症とは
加齢黄斑変性症は加齢により網膜にある黄斑に障害が生じそのことにより物が見えにくくなる眼の疾病です。
加齢黄斑変性症は失明の原因の第4位ですが、欧米では失明の原因の第1位で日本でも高齢化社会の到来と生活の欧米化に伴い近年その患者数が増加していると言われています。
種類
加齢黄斑変性症は黄斑の組織が加齢とともに委縮することで生じる「委縮型」と網膜の下に新しい血管が出来ることで黄斑に障害が生じる「滲出(しんしゅつ)型」があります。
症状
ものが歪んで見える、視野の中心が欠ける・歪んで見える、視力が低下するなどの症状が出ます。
症状が進行した場合、視野の中心部に黒い影(中心黒点)が現れ、物が見えなくなる場合があります。
加齢黄斑変性症による障害年金の受給
障害年金の受給要件
加齢黄斑変性症により障害年金を受給するためには障害年金の受給要件(受給資格)を満たす必要があります。
障害年金の受給要件を満たすためには初診日を特定し特定された初診日を基準に保険料の納付要件を満たし、加齢黄斑変性症の病状が障害認定基準によって定められた等級に該当する必要があります。
初診日の特定
初診日を特定する作業は障害年金の手続きにおいて大変重要な意味を持ちます。
特定された初診日に加入していた年金が厚生年金の場合には厚生年金から障害厚生年金が支給され、加入していた年金が国民年金の場合には、国民年金から障害基礎年金が支給されます。
障害厚生年金には3級と障害手当金がありますので比較的軽い障害の場合にも障害年金の対象となる場合があります。
また障害厚生年金には配偶者の加算があり年金額が障害基礎年金よりも高額となる場合があります。
一方、障害基礎年金の場合は1級と2級しかありませんのである程度重い障害でないと障害年金を受給することが出来ません。
また保険料の納付要件も特定された初診日を基準に判断されます。
初診日とは加齢黄斑変性症により初めて医師の診断を受けた日をいいます。
初めて医師の診断を受けた日とは加齢黄斑変性症と病名が決定した日ではなく、症状が現れ始めて病院を受診した日のことをいます。
保険料の納付要件
障害年金を受給するためには保険料の納付要件を満たす必要があります。
保険料の納付要件を満たすためには特定された初診日を基準に初診日ある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の保険料を支払っているか、または直近の1年間に保険料の未納がない場合に保険料の納付要件を満たすこととなります。
障害認定基準の等級に該当する病状
さらに障害年金を受給するためには病状が障害認定基準によって定められた等級に該当する必要があります。
【障害認定基準】
視力障害
視力の測定は万国式試視力表またはそれと同一の原理によって作成された試視力表により標準照度は200ルクスで、また測定する視力は矯正視力によりますので矯正眼鏡またはコンタクトレンズを使用した状態で検査を行うこととなります。
1級・・・両眼の視力の和が0.04以下のもの
2級・・・両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
眼の機能の障害が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを 必要とする程度のもの
3級・・・両眼の視力が0.1以下に減じたもの
障害手当金・・・両眼の視力が0.6以下に減じたもの。または一眼が0.1以下に減じたもの
視野障害
視野はゴールドマン視野計及び自動視野計またはこれに準ずるものを用いて測定します。
ゴールドマン視野計を用いる場合は中心視野の測定にはⅠ/2の視標を用い、周辺視野の測定にはⅠ/4の視標を用います。
それ以外の測定方法による時はこれに相当する視標を用います。
(ア)両目の視野が5度以内(Ⅰ/2指標)のものは2級と認定されます。
(イ)①両目の視野が10度以内(Ⅰ/2指標)かつ②中心10度以内の8方向の残存視野のそれぞれの角度の合計が56度(Ⅰ/4指標)のものも2級に認定されます。
(ウ)両眼による視野が2分の1以上欠損したものまたは両眼の視野が10度以内ものは障害手当金の対象となります。
「両眼の視野が10度以内または両眼の視野が5度以内」とはそれぞれの眼の視野が10度以内または5度以内のものをいい求心性視野狭窄の意味です。
また、輪状暗点があるものは中心の残存視野がそれぞれ10度以内またはそれぞれ5度以内のものを含みます。
「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」とは両眼で一点を注視しつつ測定した視野の生理的限界の面積が2分の1以上欠損してる場合の意味です。
国民年金・厚生年金令別表および認定要領より
※視力の矯正ができない病状の場合には診断書に「矯正不能」と書いてもらうことが重要です。