障害年金を受給するためにはいくつかの受給資格(受給要件)を満たす必要があります。ここでは、障害年金の受給資格についてに分かり易くまとめています。
目次
障害年金の受給資格
保険料の納付要件を満たしていますか
障害年金を受給するためには初診日を基準として国民年金保険料を一定期間支払っていなければなりません。
障害年金も一般の入院保険と同じ「保険」の性質を持っていますので、事前に保険料を支払っていなければいざというときに年金を受給することはできません。
保険料の納付要件を満たすためには初診日を基準として初診日以前の被保険者期間の3分の2以上の保険料を支払っているか、初診日以前の直近の1年間に保険料の未納がない場合に要件を満たすこととなります。
初診日の特定は出来ていますか
障害基礎年金か所外厚生年金かが決まります
障害年金の受給資格を得るためには初診日を特定する必要があります。
初診日とは当該ご病気によって初めて病院または歯科医院を受診した日のことを言います。
初診日に加入していた年金が厚生年金の場合には障害厚生年金、国民年金の場合には障害基礎年金から障害年金が支給されます。
このため、初診日を特定することによって受給できる年金が国民年金から支給される障害基礎年金か厚生年金から支給される障害厚生年金かが決定されます。
保険料の納付要件を満たすかの基準となります
さらに、初診日を特定することによって、保険料の納付要件が満たされているかどうかの基準となりますので、初診日が特定されない場合には、障害年金を受給することはできません。
さらに初診日が特定されたと認められるためには初診日がカルテまたはカルテに準ずる客観的な証拠によって証明されなければなりません。
このため、初めて受診した病院が廃院してしまっている場合や年月が経過してしまっているためにカルテが廃棄されてしまっているような場合には、初診日の特定が難しくなり障害年金の受給資格が得られない場合もあります。
障害等級に該当する病状
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
障害年金の受給資格を得るためには現在の病状が障害年金の障害認定基準によって定められた等級に該当している必要があります。
障害等級は障害基礎年金の場合には1級と2級の2段階、障害厚生年金の場合には1級、2級、3級と障害手当金の4段階にわかれています。
このため、初診日に国民年金に加入しており障害基礎年金を受給するためには3級と障害手当金がありませんので、2級以上の等級に該当する必要があります。
障害認定基準
1級・・・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。
この日常生活の用を弁ずること不能ならしめる程度とは他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。
例えば、身の回りのことは辛うじてできるがそれ以上の活動はできないものまたは行ってはいけないものすなわち病院内の生活で言えば活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活で言えば活動の範囲が概ね就床室内に限られるものである。
2級・・・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
この日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で労働により収入を得ることができない程度のものである。
例えば家庭内の極めて温和な活動(軽食作り・下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないものまた行ってはいけないものすなわち病院内の生活で言えば活動の範囲が概ね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活で言えば活動の範囲が概ね家屋内に限られるものである。
3級・・・労働が著しい制限を受けるか、または労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
また傷病が治らないものにあっては労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。(「傷病が治らないもの」については、障害手当金に該当する程度の障害の状態がある場合であっても3級に該当する。
障害手当金・・・傷病が治ったものであって労働が制限を受けるかまた労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。 国民年金令別表・厚生年金令別表
障害認定基準は障害年金の等級に該当するかどうかを大まかに定めたもので、各障害に合わせた障害認定要領が別途定められており、障害認定要領に該当するかどうかが障害年金の受給資格があるかどうかを決定する詳細な基準となります。
障害認定基準の要点は、原則として他人の介助を受けなければ生活を送れない場合が1級、日常生活に著しい支障が生じている場合が2級、就労に支障が生じている場合が3級と大まかに言うことができます。
受給資格と年齢
20歳前に初診日がある場合
障害基礎年金は20歳になった日以降でなければ手続きを行うことはできません。
これは、初診日が20歳前にある場合には障害認定日が20歳になった日と定められているからです(初診日から1年6ヶ月後の日が20歳になった日以降である場合には、原則通り初診日から1年6ヶ月後の日が障害認定日となります)。
このことから、初診日が20歳前にある場合には20歳の誕生日前後3ヶ月計6ヶ月以内の病状を記載した診断書を提出することで障害年金の手続きを行うことができます。
一方で、厚生年金に加入している場合には、20歳前といえども障害年金の手続きを行うことが可能となります。
65歳以降の障害年金の手続きの可否
また障害基礎年金の場合には65歳を過ぎた場合には原則として障害年金の手続きを行うことができません。
65歳以後も障害年金の手続きを行うためには初診日が65歳に達する日の前日までにある場合で障害認定日請求を行う場合にのみ認められます(事後重症請求を行うことはできません)。
一方でこの場合には、20歳前傷病による障害基礎年金の請求はできません。
また、障害厚生年金に加入している場合には65歳以降でも障害年金の手続きを行うことができます。
初診日から1年6ヶ月経過(障害認定日)または症状固定
障害年金を受給するためには原則として初診日から1年6ヶ月を経過している必要があります(障害認定日)。
一方で障害認定日には特例があり、症状が固定している場合その他障害認定日の特例に該当する場合には、初診日から1年6ヶ月を経過する前であっても障害年金の手続きを開始することができます。