対象傷病

慢性閉塞性肺疾患(COPD)での障害年金の受給

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目次

慢性閉塞性肺疾患( COPD )とは

慢性閉塞性肺疾患( COPD )はかつては肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれた病気で中年以降の男性に多く見られ、喫煙と深い関係があります。

40歳以上の成人の530万人(人口の8.65%)がこの慢性閉塞性肺疾患( COPD )に罹っているといわれています。

原因

中高年以降に多く発症するため加齢との関係が指摘されています。

また、過度の喫煙を初めとする有毒物質を長期間継続して吸引することによって気管支が炎症を起こし生じるともいわれています。

特に長期化に渡る喫煙が原因の多くを占めており男女比では男性2.5:女性1の割合で男性が多くなっています。

男性の喫煙率が約30%に対して女性の喫煙率が約10%ですので、この割合がそのまま慢性閉塞性肺疾患( COPD )の男女差となって現れているといえます。

喫煙以外にも大気汚染、粉じん、化学物質の吸引などがその原因と言われています。

慢性閉塞性肺疾患( COPD )には2種類の型があり

気腫型(肺気腫病変優位型)・・・肺胞系の破壊が進行するもの

非気腫型(気道病変優位型)・・・気道病変が進行するもの

があります。

慢性閉塞性肺疾患( COPD )は全世界的に増加傾向にあり、現在は死亡原因の第9位ですが、2020年には死亡原因の第3位がこの慢性閉塞性肺疾患( COPD )になると予測されています。

症状

主な症状として咳や痰また運動を行った時の息切れ、喘鳴、動悸、浮腫などの症状が現れる場合もあります。

喘息との違いは喘息は安静時にも症状が現れることがありますがCOPDの場合には安静時には症状が出ない特徴があります。

また、呼吸困難を発症することからチアノーゼとなり不安感や意識障害などを併発することもあります。

さらに、慢性閉塞性肺疾患( COPD )は肺の症状だけではなく、体重の減少、食欲不振、筋肉量の低下、頻尿、抑うつ状態などの精神症状などが現れる場合もあります。

慢性閉塞性肺疾患( COPD )による障害年金の受給

受給要件

慢性閉塞性肺疾患( COPD )も障害年金の対象となり、条件を満たすことによって障害年金を受給することができます。

一般的な要件として、初診日の特定が行われまた保険料納付要件を満たしていることが前提となります。

また、病状としては就労に支障が生じている場合か就労に支障が生じさらに日常生活にも著しい支障が生じている場合に障害厚生年金または障害基礎年金の対象になります。

障害認定基準

1級・・・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級・・・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

3級・・・身体の機能に労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

障害認定基準は障害年金の支給対象となる疾病の病状を一般的に定めている基準になります。表現が具体性に欠ける部分があるため、具体的な病状は認定要領によって定められています。

認定要領

(1)呼吸不全とは原因のいかんを問わず動脈血ガス分析値、特に動脈血O2分圧と動脈血 CO2分圧が異常でそのために生体が正常な機能を営めなくなった状態をいう。

認定の対象となる病態は主に慢性呼吸不全である。慢性呼吸不全を生じる疾患は閉塞性換気障害(肺気腫・気管支喘息・慢性気管支炎と)、拘束性換気障害(間質性肺炎・肺結核後遺症・じん肺)、心血管系異常、神経・筋疾患、中枢神経異常等多岐にわたり肺疾患のみが対象疾患ではない。

(2)呼吸不全の主要な症状として咳、痰、喘息、胸痛、労作時の息切れ等の自覚症状、チアノーゼ、呼吸促迫、低酸素血症等の他覚所見がある。

(3)検査成績として動脈血ガス分析値、予測肺活量1秒率及び必要に応じて行う運動負荷肺機能検査等がある。

(4)動脈血ガス分析値及び予測肺活量1秒率の異常の程度を参考として示すと次の通りである。なお、動脈血ガス分析値の測定は安静時に行うものとする。

【動脈血ガス分析値】

動脈血O2分圧・・・軽度異常(70~61Torr)・中度異常(60~56Torr)・高度異常(55Torr以下)

動脈血 CO2分圧・・・軽度異常(46~50Torr)・中度異常(51~59Torr)・高度異常(60Torr以上)

※病状判定に際しては動脈血O2分圧値が重視されます。

【予測肺活量1秒率】

軽度異常(40~31%)・中等度異常(30~21%)・高度異常(20%以下)

【一般状態区分】

(ア)無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等に振る舞えるもの。

(イ)軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが歩行、軽労働や座業はできるもの。例えば軽い家事、事務など

(ウ)歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが日中の50%以上は起居しているもの

(エ)身の回りのある程度のことはできるがしばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

(オ)身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるもの

最終的な等級判断

1級・・・動脈血ガス分析値及び予測肺活量1秒率が高度異常を示すもので、一般状態区分表の(オ)に該当するもの。

2級・・・動脈血ガス分析値及び予測肺活量1秒率が中等度異常を示すものでかつ一般状態区分表の(エ)または(ウ)に該当するもの。

3級・・・動脈血ガス分析値及び予測肺活量1秒率が軽度異常を示すものでかつ一般状態区分表の(ウ)または(イ)に該当するもの。

※障害認定基準により、就労に支障が生じている場合が3級、日常生活に著しい支障が生じている場合が2級と定められていますが、それらに該当するかどうかを障害認定要領によって詳細に定められています。

障害認定要領では動脈血ガス分析値及び予測肺活量1秒率の検査結果と一般状態区分表の区分の二つの基準の当てはまる病状によって1級~3級の等級の区分が行われています。

※在宅酸素療法を行っている場合には、障害年金3級、病状によっては2級以上に該当する場合もあります。

障害認定日にも特例が認められ在宅酸素療法を開始した日が障害認定日となります。

埼玉県の50代の男性の障害厚生年金2級の受給例

結果

障害厚生年金2級決定

年金額 142万3,700円

ご相談

現在、気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患と診断され在宅酸素療法を行っており、障害年金を受給できると聞いたため、手続きの代行依頼をしたいとのご相談の電話をいただきました。

現在の病状について伺ったところ、現在吸入ステロイド療法及び薬物療法を行っており、常時在宅酸素療法を行ってているとのことで月1回受診を継続しているとのことでした。

初めて病院を受診した頃のことを伺ったところ、現在から3年ほど前に咳や痰が出て症状がなかなか改善せずまた運動時にも息切れするようになったため、最寄りの病院を受診したとのことでした。

保険料の納付状況について伺ったところ、「継続してサラリーマン行っていたため、保険料の未納はないと思う」とのことでした。このため、ご面談を実施しさらに詳しいお話を伺うこととしました。

ご面談

体調が悪化しており外出が難しいとのことで埼玉県のご自宅まで伺いご面談を実施することとしました。

発病から現在までの様子を伺ったところ、現在から3年ほど前に咳や痰が出るようになり、また1年ほど前から運動時に息切れするようになったため、最寄りの病院を受診したとのことでした。

受診の結果検査を行い、気管支炎の疑いがあると診断されました。その後、投薬治療開始し、月1回受診したものの、病状はあまり改善しなかったとのことでした。

その後も運動時に咳や痰があり、その後病状が悪化し買い物途中に呼吸困難となり緊急搬送となったとのことでした。

その後入院となり、気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患( COPD )と診断されたとのことでした。

退院後も病状はあまり改善せず、就労に支障が生じたため退職したとのことでした。

その後も月1回受診し、投薬治療を継続し咳や痰などの症状は幾分緩和されているものの、体重が減少し半年ほど前より在宅酸素療法を開始したとのことでした。

現在は、早歩きができず、休み休みでないと歩行ができない状態であるとのことでした。

このことから、障害認定日の特例に該当し、在宅酸素療法を開始した日が障害認定日となる旨をご説明しました。

また、在宅酸素療法を行っている場合は原則として障害厚生年金3級に該当するものの、病状によっては障害厚生年金2級に該当する場合がある旨も合わせてご説明しました。

請求手続き

在宅酸素療法を開始した日が現在から半年ほど前とのことでしたので在宅酸素療法を開始した日が障害認定日となるため、その日の病状を記載した診断書の作成を現在受診している病院に依頼することとなりました。

また慢性閉塞性肺疾患( COPD )での障害年金の請求の場合には、動脈血ガス分析値及び予測肺活量1秒率の検査数値が不可欠となるため、これらの検査項目も必ず記載するとともに在宅酸素療法の開始日も明記してもらうこととしました。

またこれらの項目とともに日常生活での病状についてご面談時に伺った内容をもとに依頼状を作成し、診断書用紙とともに添付することとしました。

また初診時の病院に受診状況等証明書(初診日と証明書)の依頼も弊所から代理で行うこととしました。

その後診断書及び受診状況等証明書が完成したため、現在の病状を反映しているかどうか及び記載漏れ等がないかを確認し、病歴就労状況等申立書をご面談の際に伺った内容をもとに弊社にて作成し、他の必要書類とともに提出することで手続きを完了し数ヶ月後に障害厚生年金2級の受給決定を受けることができました。

請求手続きのポイント

障害認定日は原則として初診日から1年6ヶ月後の日となりますが在宅酸素療法を行っている場合には特例が適用され、在宅酸素療法を開始した日が障害認定日となります。

このため本件においても在宅酸素療法を開始した日が障害認定日となり、その日の病状を記載した診断書を提出することで障害年金の請求を行うことが可能となりました。

また、在宅酸素療法を行っている場合には原則として障害厚生年金3級に該当しますが、本件のように病状が悪化している場合には、障害厚生年金2級に該当する場合もあります。

このため、障害年金用の診断書を担当医師に作成してもらう場合には、検査項目などの必要な項目を漏れなく記載してもらうとともに、現在の病状を反映した診断書の内容にしてもらうことで病状にそくした等級の年金を受給することが可能となります。

※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に沿って文章の内容を作成しています。

 

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