再生不良性貧血は血液中の赤血球、白血球、血小板の血球が減ってしまう疾病でその病状により障害年金の受給対象となる病気(障害)です。
必ずしも赤血球、白血球、血小板の血球の全てが減ってしまう訳ではなく、重症度が低い場合は血小板だけが減少する場合もあります。
また年間1,000人ほどの方が発症すると言われています。
目次
再生不良性貧血とは
症状
白血球、赤血球、血小板の減少の内、赤血球の減少により酸欠状態となりめまい、頭痛、倦怠感、疲れやすい、息切れ、動悸、顔面の蒼白などの症状、白血球の減少により肺炎などの感染症の罹患、血小板の減少により皮膚の点状出血、鼻血、脳出血、血尿、下血などの症状が出る場合があります。
原因
骨髄にある造血幹細胞が傷害を受けることで発症すると言われています。
先天性の再生不良性貧血もありますが多くは後天的に発症する再生不良性貧血です。
再生不良性貧血による障害年金の受給
初診日の特定
初診日の重要性
障害年金の手続きを行う場合には初診日を特定する必要があります。
初診日を特定する作業は障害年金の手続きにおいて大変重要な意味を持ちます。
特定された初診日を基準に保険料の納付要件が審査され、また初診日の時点で加入していた年金により厚生年金に加入していた場合には厚生年金から障害厚生年金、国民年金に加入していた場合には国民年金から障害基礎年金が支給されます。
このことから、初診日が特定されない場合には障害年金を受給することができません。
再生不良性貧血による初診日の特定
再生不良性貧血の初診日は「再生不良性貧血」と病名が決定された日ではなく、再生不良性貧血による症状が出て初めて医師の診断を受けた日が初診日となります。
このことから、目まいや貧血など起こし最寄りの内科を受診した後に大きな病院に転院し再生不良性貧血と診断された場合には初めても寄りの内科を受診した日が初診日となります。
保険料の納付要件
障害年金を受給するためには一定の保険料の納付要件を満たす必要があります。
保険料の納付要件を満たすためには特定された初診日を基準に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の保険料を支払っているか、直近の1年間に保険料の未納がない場合に保険料の納付要件を満たすこととなります。
障害認定基準の等級に該当する病状
再生不良性貧血により障害年金を受給するためには病状が国民年金法・厚生年金法別表によって定められた障害認定基準(認定要領)の等級に該当する必要があります。
障害認定基準
【一般状態区分表】
ア・・・無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等にふるまえるもの
イ・・・軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが歩行、軽労働や座業はできるもの、例えば、軽い家事、事務など
ウ・・・歩行や身の回りのことはできるが、ときに少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
エ・・・身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
オ・・・身の回りのこともできず常に介助を必要とし、終日就床を強いられ活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの
【A表】
Ⅰ・・・①治療により貧血改善はやや認められるが、なお高度の貧血、出血傾向、易感染症を示すもの
②輸血を頻繁に必要とするものⅡ・・・①治療により貧血改善はやや認められるが、なお中度の貧血、出血傾向、易感染症を示すもの
②輸血を時々必要とするものⅢ・・・①治療により貧血改善は少し認められるが、なお軽度の貧血、出血傾向、易感染症示すもの
②輸血を必要に応じて行うもの【B表】
Ⅰ・・・①末梢血液中の赤血球像で、次のいずれかに該当するもの
(1)ヘモグロビン濃度が7.0g/dl未満のもの
(2)網赤血球数が2万/μl未満のもの②末梢血液中の白血球像で、次のいずれかに該当するもの
(1)白血球数が1,000/μl未満のもの
(2)好中球数が500/μl未満のもの③末梢血液中の血小板数が2万/μl未満のもの
Ⅱ・・・①末梢血液中の赤血球像で、次のいずれかに該当するもの
(1)ヘモグロビン濃度が7.0g/dl以上9.0g/dl未満のもの
(2)網赤血球数が2万/μl以上6万/μl未満のもの②末梢血液中の白血球像で、次のいずれかに該当するもの
(1)白血球数が1,000/μl以上2,000/μl未満のもの
(2)好中球数が500/μl以上1,000/μl未満のもの③末梢血液中の血小板数が2万/μl以上5万/μl未満のもの
Ⅲ・・・①末梢血液中の赤血球像で、次のいずれかに該当するもの
(1)ヘモグロビン濃度が9.0g/dl以上10.0g/dl未満のもの
(2)網赤血球数が6万/μL以上10万/μL未満のもの②末梢血液中の白血球像で、次のいずれかに該当するもの
(1)白血球数が2,000/μl以上3,300/μl未満のもの
(2)好中球数が1,000/μl以上2,000/μl未満のもの③末梢血液中の血小板数が5万/μl以上10万/μl未満のもの
【該当する等級】
1級・・・【A表】Ⅰ欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があり、【B表】Ⅰ欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの
2級・・・【A表】Ⅱ欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があり、【B表】Ⅱ欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ、一般状態区分表のエ又はウに該当するもの
3級・・・【A表】Ⅲ欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があり、【B表】Ⅲ欄に掲げるうち、いずれか1つ以上の所見があるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
国民年金法・厚生年金法別表及び認定要領より
診断書の重要性と注意点
障害年金のお手続きにおいて担当医師が作成する診断書は最も重要な書類といえます。
書類審査である障害年金の手続きにおいて専門家である第三者が作成した診断書は、最も信頼の置ける資料といえるからです。
再生不良性貧血による障害年金の手続きを行う場合には「血液・造血器その他の障害様式第120号の7の診断書」を使用します。
診断書内の⑫欄の一般状態区分表の記載は診断書の中でも特に重要な部分ですので、現在の病状を的確に反映した記載を担当医師にしてもらう必要があります。
その他⑮欄1.(1)自覚症状、(2)他覚症状、2.検査成績の欄ももれなく記載する必要があります。また輸血を行っている場合は輸血の頻度も記載してもらいます。