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大腿骨頭壊死とは
大腿骨頭壊死は大腿骨の大腿骨の軟骨直下の骨が血の循環が悪化することで必要な栄養素が届かなくなることで壊死状態となりつぶれてしまう疾病です。
大腿骨頭壊死は一年間に2,000~3,000人が発症すると言われています。
また30代から50代にかけて多く発症し男女の割合は1.8対1と男性の発症が多く、一方でステロイドが原因となる場合は女性の発症数がやや多くなっています。
大腿骨頭壊死の原因はまだはっきりとは判っていませんが膠原病治療などでのステロイドの大量投与や飲酒を毎日行った場合に多く発症することが判っています。
大腿骨頭壊死による障害年金の受給
大腿骨頭壊死により障害年金を受給するためには初診日を特定し、特定された初診日を基準として保険料の納付要件を満たし、さらに、障害認定基準の等級に該当する病状である必要があります。
また、人工股関節を装着置換している場合には障害厚生年金3級に認定されます。
初診日の特定
障害年金を受給するためには初診日を特定する必要があります。
初診日とは大腿骨頭壊死により初めて医師の診断を受けた日を言います。ただ、大腿骨頭壊死と診断された日が初診日ではなく症状が出て初めて医師の診断を受けた日を言います。
一般的には初めて受診した病院に受診状況等証明書(初診日の証明書)を作成してもらうことで初診日の特定を行います。
一方で、初診日から現在まで同一の病院を受診している場合には、現在の病状を記載した診断書の初診日の欄に日付を記載してもらうことで初診日の特定を行うことができます。
保険料の納付要件を満たす
障害年金を受給するためには国民年金保険料を一定期間支払っている必要があります。
障害年金も民間の入院保険と同じような「保険」の性質を持っていますので、事前に保険料を払っていない場合には、年金を受給することができません。
保険料の納付要件は初診日のある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の保険料を支払っているか、直近の1年間に保険料の未納がない場合に要件を満たします。
障害認定日の特例
障害認定日とは障害の状態を確定する日を言い原則として初診日から1年6ヶ月後の日が障害認定日となります。
一方で、人工股関節をそう入置換した場合には特例としてそう入置換術を受けた日が障害認定日とされ、その日以降から障害年金の手続きを行うことができます。
※手術の日が初診日から1年6月経過後の場合には原則通り初診日から1年6ヶ月後の日が障害認定日となります。
障害認定基準に該当する病状
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
障害年金を受給するためには病状が障害認定基準で定められた等級に該当する必要があります。
障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の区別があり、初診日の時点で国民年金に加入していた場合には、障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合には障害厚生年金が支給されます。
障害厚生年金は1級から3級と障害手当金の4等級がありますが、障害基礎年金には1級と2級しかありませんので一定程度の病状(2級以上)でない場合には障害年金を受給できない場合があります
障害認定基準
1級・・・大腿骨頭壊死により身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。
この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることのできない程度のものである。
2級・・・大腿骨頭壊死により身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えるとを必要とする程度のもの。
この日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは必ずしも他人の助けを借りる必要はないが日常生活は極めて困難で労働により収入を得ることができない程度のものである。
3級・・・大腿骨頭壊死により労働が著しい制限を受けるかまたは労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとまた傷病が治らないものにあっては労働が制限を受けるかも歌わ労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。
障害手当金・・・「傷病が治ったもの」であって労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。国民年金令・厚生年金令別表
※障害手当金の「傷病が治ったもの」とは完治したという意味ではなく、これ以上を治療を継続しても改善の見込みがない場合を言います。
大腿骨頭壊死による一般的な等級判断
上記の障害認定基準を踏まえ一般的には杖を使用しなければ歩行に支障が生じるようになった時点で3級、杖を使用しても歩行が難しくなり車椅子を使用しなければ移動できないような状態になった場合は2級、又は1級に認定される可能性があります。
※3級は障害厚生年金にしかありませんので初診時に国民年金に加入していた場合には一下肢にのみ人工股関節をそう入置換している場合でも、障害年金が受給できない場合があります。
また、一下肢に人工股関節のそう入置換を行っている場合は3級に認定され、両方の股関節に人工股関節をそう入置換を行っておりかつ下記①から③に該当する場合は2級に該当する場合があります。
①立ち上がる、歩く、片足で立つ、階段を上る、階段を下りるなどの日常生活動作が実用性に乏しいほど制限されていること。
②下肢障害の主な原因及び程度の評価の根拠が自覚症状としての疼痛のみによるものではなく医学的客観的にその症状を生ずるに妥当なものであること。
③下肢の障害の状態が行動量、気候、季節などの外的要因により一時的に大きく変動するものではなく、永続性を有すること。
大腿骨頭壊死による障害年金の受給と就労
大腿骨頭壊死のような肢体の障害の場合はフルタイムで就労行っていても障害年金の受給に影響を及ぼさない場合がほとんどです。
最も重要な書類である診断書
障害年金の手続きにおいて、最も重要な書類は言うまでもなく診断書です。
大腿骨頭壊死により障害年金を請求する場合には「肢体の障害用の診断書・様式第120号の3」を使用します。
診断書の記載項目はどの項目も重要ですが診断書裏面の⑱欄「日常生活における動作の障害の程度」には「〇、〇△、△×、×」の4段階で病状を記載する必要があります。
この際、記載漏れがないことを確認するとともに記載された病状が現在の病状を反映しているかどうかを動作一つ一つにおいて記載項目を確認する必要があります(一項目の医師の判断で障害年金の受給の可否が左右される場合があるからです)。
また、人工股関節のそう入置換術を受けている場合はその手術日を⑬欄に必ず記載するようにします。
さらに杖、車いす等の補助用具を使用している場合は必ず⑲蘭に記載します。