ネフローゼ症候群は病状により障害年金の対象となる傷病です。
ネフローゼ症候群による障害年金の受給のポイントについてご説明いたします。
目次
ネフローゼ症候群とは
ネフローゼ症候群は尿に大量のタンパクが出てしまう(高度の尿タンパク)血液中のタンパクが減少してしまう(低タンパク血症)ことでむくみ(浮腫)の症状が出る糸球体の疾病です。
また、むくみ(浮腫)以外にも全身の倦怠感、食欲不振、腹水、胸水などの症状が現れる場合もあります。
ネフローゼ症候群は毎年2,500人前後の患者さんが新たに発症すると言われています。
ネフローゼ症候群には腎臓自体の機能不全を起こす原発性のネフローゼ症候群と糖尿病や膠原病によって引き起こされる続発性のネフローゼ症候群の2種類があります。
ネフローゼ症候群による障害年金の受給
ネフローゼ症候群により障害年金を受給するためには一般的な障害年金の受給要件を満たす必要があります(受給資格)。
一般的な障害年金の受給資格を満たすためには初診日を特定し、特定された初診日を基準に保険料の納付要件を満たし、病状が障害認定基準に定められた等級に該当する必要があります。
初診日の特定
初診日とは
障害年金の手続きにおいて初診日とは初めて医師の診断を受けた日をいいます。ネフローゼ症候群と診断を受けた日ではありません。
初診日は障害年金の手続きにおいて大変重要な意味を持っています。
初診日を特定することによって国民年金と厚生年金のどちらから障害年金が支給されるかが決まります。
また、保険料の納付要件も特定された初診日を基準に判断されます。
初診日の特定方法
初診日の特定は一般には初診日に受診した病院にカルテに基づいて受診状況等証明書(初診日の証明書)を作成してもらうことで行います。
初診時から長期間経過しカルテが廃棄されており、受診状況等証明書が取得できない場合には2番目、3番目またはそれ以降に受診した病院のカルテに初診時の経緯(病院名や日付)が記載されている場合にはその経緯を2番目以降の病院で受診状況等証明書に記載してもらうことで初診日の特定を行うことが可能となります。
また、2番目3番目またはそれ以降の病院にカルテが残っていない場合はその他客観的資料(診察券、健康保険の給付記録等)や初診日に関する第三者からの申立書によって初診日の特定を行います。
保険料の納付要件
保険料の納付要件を満たすためには特定された初診日を基準に初診日がある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の国民年金保険料を支払っている(免除を受けている)か、65歳未満の場合で特定された初診日のある月の前々月までの1年間に国民年金保険料の未納がない場合は保険料の納付要件を満たしていることになります。
障害認定基準の等級に該当する病状
ネフローゼ症候群によって障害年金を受給するためには病状が障害認定基準の等級に該当する病状である必要があります。
障害認定基準
1級の認定基準
病状が「身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるもの」でありかつ検査数値が以下の(ア)(イ)どちらかに該当する場合
(ア)内因性クレアチニンクリアランス値が10ml/分未満
(イ)血清クレアチニン濃度が8mg/dl以上
2級の認定基準
病状が下記の(A)または(B)のどちらかに該当しかつ(ア)(イ)のいずれにも該当するか(ア)(イ)のいずれかが高度異常に該当するもの。または人工透析療法施行中のもの。
(A)「歩行や身の回りのことはできるが、ときに少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが日中の50%以上は起居しているもの」または
(B)「身の回りのある程度のことはできるがしばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの」
(ア)内因性クレアチニンクリアランス値が10ml/分以上20ml/分未満(高度異常:10ml/未満)
(イ)血清クレアチニン濃度が5mg/dl以上8mg/dl未満(高度異常:8mg/dl以上)
3級の認定基準
病状が(A)または(B)のどちらかに該当しかつ(ア)または(イ)のどちらかに該当するもの。
(A)「軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが歩行、軽労働や座業はできるもの。例えば軽い家事や事務など」
(B)「歩行や身の回りのことはできるが、ときに少し介助が必要なこともあり軽労働はできないが日中の50%以上は起居しているもの。」
(ア)内因性クレアチニンクリアランス値が20ml/分以上30ml/分未満
(イ)血清クレアチニン濃度が3mg/dl以上5mg/dl未満
(ウ)1日の尿蛋白量が3.5g以上を持続し、かつ②血清アルブミンが3.0g/dl以下又は③血清総蛋白6.0/dl以下
国年・厚生年金令障害認定基準(認定要領)より