ぶどう膜炎は眼の中の「ぶどう膜」に炎症が起こることで生じる疾患で病状により障害年金を受給できる障害です。
また網膜や強膜に生じる炎症もぶどう膜炎に含まれます。
目次
ぶどう膜炎とは
症状
ぶどう膜炎の症状は眼のかすみ、まぶしさ、眼の充血、痛み、ものが歪んで見える、虫が飛んでいるように見える(飛蚊症)などの症状があります。
原因
ベーチェット病・サルコイドーシス・原田病を3大ぶどう膜炎といいます。
ぶどう膜炎の原因は病原菌が原因となるもの、免疫異常が原因となるものなどがありますが原因が特定できないぶどう膜炎も多くあります。
ベーチェット病
ベーチェット病は厚生労働省に難病と指定されている疾患です。
ベーチェット病はぶどう膜炎を発症するほか口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍、皮膚疾患、外陰部潰瘍などの症状が出るほか血管などに症状が出る場合もあります。
サルコイドーシス
サルコイドーシスもベーチェット病と同じく厚生労働省により難病に指定されています。
サルコイドーシスはぶどう膜炎以外に肺や皮膚、心臓などに肉芽腫性病変を起こす疾患です。
ぶどう膜炎による障害年金の受給
初診日の特定
障害年金を受給するためには初診日を特定する必要があります。
障害年金の手続きにおける初診日とはぶどう膜炎によって初めて医師の診断を受けた日をいます。
ブドウ膜炎と診断を受けた日ではなく、症状が出て初めて医師の診断を受けた日が初診日となります。
ブドウ膜炎の場合にはぶどう膜炎と診断されるまで長期間経過する場合もあり、初診日の特定が難しくなる場合もあります。
通常は初診日の特定は受診状況等証明書を初診日の病院にカルテに基づいて作成してもらうことで行います。
一方で初診日の病院にカルテが残っていない場合には2番目、3番目ないしそれ以降の病院のカルテに基づいて受診状況等証明書を作成してもらい(初診時の日付や病院名が記載されている場合)、そのことによって初診日の特定を行うことが出来る場合もあります。
障害認定基準によって定められた等級に該当する病状
ブドウ膜炎によって障害年金を受給するためには病状が障害認定基準によって定められた等級に該当する必要があります。
【障害認定基準】
視力障害
視力の測定は万国式試視力表またはそれと同一の原理によって作成された試視力表により標準照度は200ルクスで、また測定する視力は矯正視力によりますので矯正眼鏡またはコンタクトレンズを使用した状態で検査を行うこととなります。
1級・・・両眼の視力の和が0.04以下のもの
2級・・・両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
眼の機能の障害が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを 必要とする程度のもの
3級・・・両眼の視力が0.1以下に減じたもの
障害手当金・・・両眼の視力が0.6以下に減じたもの。または一眼が0.1以下に減じたもの
視野障害
視野はゴールドマン視野計及び自動視野計またはこれに準ずるものを用いて測定します。
ゴールドマン視野計を用いる場合は中心視野の測定にはⅠ/2の視標を用い、周辺視野の測定にはⅠ/4の視標を用います。
それ以外の測定方法による時はこれに相当する視標を用います。
(ア)両目の視野が5度以内(Ⅰ/2指標)のものは2級と認定されます。
(イ)①両目の視野が10度以内(Ⅰ/2指標)かつ②中心10度以内の8方向の残存視野のそれぞれの角度の合計が56度(Ⅰ/4指標)のものも2級に認定されます。
(ウ)両眼による視野が2分の1以上欠損したものまたは両眼の視野が10度以内ものは障害手当金の対象となります。
「両眼の視野が10度以内または両眼の視野が5度以内」とはそれぞれの眼の視野が10度以内または5度以内のものをいい求心性視野狭窄の意味です。
また、輪状暗点があるものは中心の残存視野がそれぞれ10度以内またはそれぞれ5度以内のものを含みます。
「両眼による視野が2分の1以上欠損したもの」とは両眼で一点を注視しつつ測定した視野の生理的限界の面積が2分の1以上欠損してる場合の意味です。
国民年金・厚生年金令別表および認定要領より
※視力の矯正ができない病状の場合には診断書に「矯正不能」と書いてもらうことが重要です。