対象傷病

パーキンソン病のよる障害年金の受給

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パーキンソン病はその病状により障害年金を受給することが出来る疾病(障害)です。

パーキンソン病は身体の動きを司る脳の働きに異常が生じることで生じる疾患です。

どおのような場合に障害年金の受給が出来るのか、また請求のポイントについてご説明いたします。

目次

パーキンソン病とは

パーキンソン病は50歳以上の中・高齢者に多く見られる病気で現在日本には15万人ほどの患者がいるといわれています。

年齢が高齢になるほど発症するリスクが高まり、患者数も増加するといわれています。

パーキンソン病の症状

パーキンソン病の症状としては動作が遅くなり(動作緩慢)、歩く速度や歩幅が狭くなる症状があります。

また、腕の振りなども小さくなる特徴がありまた安静時に手足が細かく震える(震戦)症状もあります。

その他症状として関節がこわばり動きづらくなったり(硬直)、姿勢を維持することができずまたバランスが取りづらくなる場合もあります。

パーキンソン病は、軽度の症状のうちは体の片側の手や足のみに症状が現れ、日常生活にほとんど支障は生じません。

一方で、症状が進行すると両側の手足に症状が現れ、前かがみで小刻みに歩くようになりその後、歩行の障害や姿勢反射障害などの障害が現れ表情も乏しくなり(仮面様顔貌)、日常生活に支障が生じるようになります。

その後、両側の手足を動かすことが困難となり、他人の介助が必要となりその後一人で立つことや歩行することが困難となり、車椅子を使用しなければならなくなる場合もあります。

その他、抑うつ症状や、嗅覚障害、睡眠障害、便秘、腰痛、立ちくらみなどの症状が現れる場合もあります。

パーキンソン病の原因

人間が動作を行う場合、脳内の線条体から大脳皮質に信号が送られ大脳皮質から手足その他全身に信号を送ることで運動が行われます。

この信号のやりとりを行うのが神経伝達物質であるドーパミンです。

脳内の黒質で作られる神経伝達物質であるドーパミンが減少することによって脳からの運動の信号がうまく手や足に伝わらなくなることがパーキンソン病の原因と言われています。

パーキンソン病の受診

安静時震戦や姿勢時震戦などのパーキンソン病特有の症状がある場合は神経内科を受診する必要があります。

神経内科を受診した場合、症状によりパーキンソン病か否かを判断することが 多いですが病状以外にもCT 検査や MRI 検査などの検査を行い画像によりパーキンソン病かどうかの診断が行われる場合もあります。

さらに、レボドパなどのパーキンソン病の治療薬を処方することで処方の結果を確認し、これらの薬が効果を現す場合には、パーキンソン病と診断される場合もあります。

パーキンソン病と診断された場合には日常生活で体をできるだけ体を動かすようにするとともに、転倒などが起きないように室内をバリアフリー化するなどの工夫も必要です。

また、理学療法士や作業療法士等のカウンセリングを受けることで症状を軽減することも可能となる場合があります。

パーキンソン症候群

手足の震えや動作の緩慢、うつ状態などのパーキンソン病と同様の症状が出てパーキンソン病とは異なった原因により生じる病気のことをパーキンソン症候群といいます。

厚生労働省によるとパーキンソン症候群の患者数は把握できていないとのことで向精神薬などが原因で発症する症状と言われています。

パーキンソン病による障害年金の受給

パーキンソン病も障害年金の対象

パーキンソン病も肢体の障害として障害年金の対象となります。

一方で、薬を飲むことによって症状が抑えられている場合には、障害年金の対象とはなりません。

パーキンソン病により障害年金の受給要件

パーキンソン病により障害年金を受給するためには、当該ご病気の初診日を特定し、特定された初診日を基準に保険料の納付要件が確認され、それらのことを前提に現在の病状が障害認定基準によって定められた等級に該当している必要があります。

パーキンソン病の初診日

障害年金の手続きにおける初診日とは当該ご病気によって初めて医師(歯科医師)を受診した日を言います。

パーキンソン病と診断された日が初診日ではなく、パーキンソン病の症状が現れて初めて病院を受診した日が初診日となります。

パーキンソン病の初診日を特定することで特定された初診日を基準に保険料の納付要件が審査され、また初診日に加入していた年金により支給される年金の種類(障害基礎年金・障害厚生年金)が決定されます。

パーキンソン病の障害認定基準

1級・・・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状であって日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの。

2級・・・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状であって日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。

3級・・・身体の機能に労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの。

保険料の納付要件

パーキンソン病により障害年金を受給するためには初診日以前に一定の保険料を納付をしている必要があります。

ここでいう保険料とは国民年金保険料のことをいい、初診日のある月の前々月までの直近の1年間に保険料の未納がないか、或いは20歳から現在までの被保険者期間全体の3分の1以上の未納がない場合に保険料の納付要件を満たします。

診断書の重要性

パーキンソン病の手続きに使用する診断書

パーキンソン病での障害年金の手続きでは肢体の障害用の診断書(様式第120号の3)を使用します。

パーキンソン病によって障害年金を請求する場合には、担当医師が作成する診断書が大変重要です。診断書のうち裏面の⑱日常生活における動作の障害の程度の欄は特に注意が必要です。

この欄は杖などの補助用具をしない状態でどの程度動作に支障が生じているのかを記載する欄になります。

各項目について一人でうまくできる場合には「〇」、一人できてもやや不自由な場合には「〇△」、1人でできるが非常に不自由な場合には「△×」、一人で全くできない場合には「×」を記載することになっています。

各欄の動作としては片足で立つ、座る(正座、横座り、あぐら、足投げ出し)深くお辞儀をする、屋内で歩く、屋外で歩く、立ち上がる、階段を上る、階段を下りるなどの下肢の動作とともに上肢の動作としてつまむ(新聞紙が引き抜けない程度)握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)タオルを絞る紐を結ぶ、さじで食事をする、顔を洗う、用便の処置をする、上着の着脱(被りシャツを着て脱ぐ)上着の着脱、(ワイシャツを着てボタンを留める)、ズボンの着脱、靴下を履くなどの各動作ができるかどうかが審査の対象となります。

これら一つ一つの項目に規定されている各動作にどの程度支障が生じているかどうかで障害年金の受給の可否が審査されます。

担当医師への診断書の依頼

パーキンソン病は動作が遅くなり(動作緩慢)、歩く速度や歩幅が狭くなるとともに腕の振りなども小さくなる特徴、また安静時に手足が細かく震える(震戦)などの症状があります。

その他に関節がこわばり(硬直)、姿勢を維持することができずまたバランスが取りづらくなる場合もあります。

このような日常生活における症状をできるだけ担当医に分かりやすく伝える必要があります。

担当医師は患者と生活を共にしているわけではありませんので、診断書に記載しなければならない細かい一つ一つの動作について必ずしも理解していると限りません。

医師は診断などで忙しい合間を縫って障害年金用の診断書を作成します。このため、時として現状よりも軽い内容の診断書になってしまう場合もあります。

一旦診断書が完成されてしまうと医師によっては修正を受け付けない場合もありますのでできるだけ最初の段階で病状を伝える工夫をする必要があります。

また、診断書が完成された時点で内容を確認し、現在の病状を反映されていない記載がある場合には、担当医師と相談し、記載内容の変更を行う必要があります。

⑱の日常生活における動作の障害の程度欄とともに、⑲の補助用具の使用状況の欄についても必ず確認する必要があります。

特に常時杖を使用しているにもかかわらず、このことについて記載されていない場合や補助用具を使用しているにもかかわらず使用していない旨の記載がある場合には必ず記載内容を修正してもらう必要があります。

病歴就労状況等申立書を重要性

診断書とともに病歴就労状況等申立書の内容も障害年金の請求においては重要です。

診断書がその時々での病状について記載されるものであるのに対して、病歴就労状況等申立書は発症から現在までの病状や就労状況、受診状況などについての全体の流れを記載する書類といえます。

病歴就労状況等申立書においては、必要事項を過不足なく記載するとともに「経済的に困窮している」などの障害年金の請求とは特に関係のない事項については記載しないように注意する必要があります。

病歴就労状況等申立書を記載する際には、病気の発症から現在までの期間が長期化にわたる場合には、各期間を3年から5年に分けて記載します。

また、病院を転院している場合には転院理由とともに記載します。

パーキンソン病による40代男性の障害厚生年金2級の受給事例

結果

障害厚生年金2級決定

年金額 158万8,400円

ご相談

パーキンソン病で現在病院を受診しているとのことでご相談の電話をいただきました。

以前ご自身で手続きを行い年金の受給が認められなかったとのことでもう一度手続きを行いたいため手続きの代行をお願いしたいとのことでした。

初診時の受診について伺ったところ、現在から13年ほど前に最寄りの病院を受診したとのことでした。

また保険料の納付状況について伺ったところ当時は厚生年金に加入しており保険料の未納はないことが前回の請求時に確認済みとのことでした。

また、手続きの代行を依頼する場合、面談が難しいためできればメールと電話での対応をお願いしたいとのことでした。

発症からの経過

初診日からの状況を詳しく伺ったところ、現在から13年ほど前に右足に急にしびれが出て重くなったため最寄の病院を受診したとのことでした。

受診後レントゲン検査及びビタミン注射を実施し、その後頻繁に受診したものの、病状はあまり改善しなかったとのことでした。

その後病状があまり改善せず仕事も忙しかったため、受診を一時中断しマッサージや指圧などの自己療養を行ったとのことでした。

その後、右足を引きずるように歩くようになってしまったため、初診時とは別の病院は受診し腰の牽引を受けたとのことでした。

さらに継続し受診したものの病状がその後悪化し身体の重さを感じるようになり、前かがみでなければ歩けなくなってしまったとのことでした。

その後今から8年ほど前に病状が改善しなかったため、転院したところ精密検査を勧められさらに大きな病院に転院したとのことでした。

この頃になると右足と右手のしびれが止まらなくなり、歩くことも顔を洗うこともできなくなり転院の結果パーキンソン病と診断されたとのことでした。

その後月1回実施し投薬治療を継続しているものの、病状はあまり改善していないとのことでした。

この間就労を行うことはできませんでした。その後病状は悪化し手と足のしびれと震えがあり日常生活の基本的な動作にも支障が生じるようになり外出時は車いすを使用しているとのことでした。

現在は、リハビリのため病院を転院し月1回受診しているものの病状は改善していないとのことでした。

前回の請求時には、初診時の証明が行われてなかったため年金の受給に至らなかったことが判明しました。

このため、カルテに基づく初診時の証明が必要である旨をご説明しました。

請求手続き

新たなカルテの存在

その後、ご本人が今一度新たな資料について確認したところ8年ほど前に受診した大きな病院にカルテが残っていることが判明しました。

また、初診時の病院の診察券が残ってることも判りました。

このため、カルテが残っていた大きな病院に受診状況等証明書の作成依頼を行ったところ、本人か代理人が窓口まで赴き作成依頼を行わなければならないことが判りました。

このため、弊所が代理で作成依頼を行うこととしました。

診断書の重要性

また、障害年金の請求手続きにおいて、担当医師が作成する診断書は最も重要な書類といえます。

一方で担当医師は忙しい合間を縫って診断書作成するため、必ずしも診断書の内容が現在の病状を反映したものとならない場合があります。

更に担当医師は患者と生活を共にしている訳ではありませんので日常生活や就労のどの部分に支障を生じているのかといった点について必ずしも正確に理解しているといえません。

このため、診断書の作成依頼を行う際には、慎重に現在の病状を担当医師に伝えるとともにメモ書きなどを作成し、担当医師が診断書の作成を行い易いようにする工夫も必要になります。

本件の場合も診断書の作成依頼を行うにあたりご面談時に伺った内容をもとに弊所にて依頼状を作成し、診断書用紙に添付することとしました。

必要書類の作成と手続きの完了

その後、完成した受診状況等証明書を確認したところ初診時の病院名と日付の記載が行われていました。

このため、今回入手した受診状況等証明書と新たに発見された診察券の写しを添付し弊所で作成した病歴就労状況等申立書その他の必要書類とともに提出し手続きを終了しました。

手続き終了後、受診状況等証明書の作成の根拠となったカルテの写しの提出も請求されたため追ってカルテの写しも添付することとなりましたが、その後、障害厚生年金2級の決定を受けることができました。

請求手続きのポイント

一度ご自身で手続きを行ったものの初診日の証明が不完全だったため、不支給の決定を受けている事例でした。

今回の請求では、現在から8年ほど前に受診した病院が大きい病院だったこともあり、カルテが残っており初診時の受診の記録が記載されていました。

また、ご本人が新たに初診時の診察券を発見されたため初診時の受診の事実を証明する補強材料となりました。

手続きが一旦終了した後に事務センターより照会が入り受診状況等証明書の根拠となったカルテの写しの提出を求められました。

一般的には受診状況等証明書を提出した後に根拠となったカルテの写しを提出するように請求されることはありません。

ただ本件の場合には2回目の請求手続きであったため初診日についての審査が厳格となり、カルテの写しの提出を要求されました。

このように障害年金の請求は一度請求を行い不支給となってしまうと2回目の請求が難しくなってしまう場合があります。

特に初診日の特定ができないために不支給となっている場合には2回目の請求は大変難しくなります。このため、障害年金の手続きを行う場合には失敗することのないように慎重に行う必要があります。

※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に則り文書の内容を作成しています。

 

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