悪性リンパ腫は障害年金の対象傷病でご病状により障害年金を受給することが可能です。
目次
悪性リンパ腫とは
悪性リンパ腫とはリンパ組織の細胞の悪性化により全身の臓器が侵される疾病で、リンパ球ががん化してしまう病気です。
症状
脇の下や首、脚の付け根に痛みのないしこりが出来その後全身の症状として発熱、体重の減少、大量の寝汗などの症状が現れます。
またその他の症状として全身の皮膚のかゆみ、発疹、倦怠感、気道の閉塞、血流障害などの症状が現れます。
原因
遺伝子の変異、ウィルス感染などが原因として挙げられていますが未だ良く判っていません。
悪性リンパ腫による障害年金の受給
悪性リンパ腫により障害年金を受給するためには障害年金の受給要件を満たす必要があります(受給資格)。
受給要件を満たすためには初診日を特定し、特定された初診日を基準に保険料の納付要件を満たし、病状が障害認定基準によって定められた等級に該当する必要があります。
初診日の特定
初診日の特定方法
悪性リンパ腫によって障害年金を受給するためにはまず始めに初診日を特定する必要があります。
初診日を特定する作業は障害年金の請求手続きにおいて、最も重要な作業の一つといえます。
初診日が特定できない場合には、障害年金を受給することはできません。
初診日とは悪性リンパ腫の症状によって初めて医師の診断を受けた日を言い、悪性リンパ腫と診断を受けた日(病名が決まった日)ではありません。
初診日の特定は一般的には初診時の病院にカルテに基づいて受診状況等証明書(初診日の証明書)を作成してもらうことで行います。
また初診日から現在まで同じ病院を受診している場合には診断書の初診日の欄(③欄)に初診日の日付を記載してもらうことで足ります。
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
初診日の段階で国民年金に加入していた場合には国民年金から障害基礎年金が支給され、厚生年金に加入していた場合には厚生年金から障害厚生年金が支給されます。
障害基礎年金と障害厚生年金には大きな違いがあり、障害基礎年金には1級と2級しかありませんが、障害厚生年金には1級~3級と障害手当金の4段階があります。
このため、軽度の障害の場合にも障害厚生年金の場合には、障害年金(障害手当金)を受給できる可能性がありますが、障害基礎年金の場合は2級以上に該当しない場合には障害年金を受給できない場合もあります。
保険料の納付要件
特定された初診日を基準に基準日がある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の国民年金保険料を支払っている(免除を受けている)か65歳未満で初診日がある月の前々月までの直近の1年間に保険料の未納がない場合に保険料の納付要件を満たします。
障害年金も一般の入院保険と同じように保険の性質を有していますので、事前に保険料を支払っていない場合には、年金を受給することはできません。
障害認定基準に該当する病状
悪性リンパ腫(造血器腫瘍群)の障害認定基準
1級・・・A表Ⅰ欄に揚げるうち、いずれか一つ以上の所見があり、 B 表Ⅰ欄に揚げるうち、いずれか一つ以上の所見があるもので、かつ一般状態区分表のオに該当するもの
2級・・・A表Ⅰ欄に揚げるうち、いずれか一つ以上の所見があり、B表Ⅱ欄に揚げるうち、いずれか1焦点があるものでかつ一般状態区分表のエまたはウに該当するもの
3級・・・A表Ⅲ欄に揚げるうち、いずれか一つ以上の所見があり、B表Ⅲ欄に揚げるうち、いずれか1焦点があるものでかつ一般状態区分表のウまたはイに該当するもの 障害認定基準より
A表
区分 | 臨床所見 |
Ⅰ | 1.発熱、骨・関節痛、るい痩、貧血、リンパ節腫、腫脹、易感染症、肝脾腫等の著しいもの
2.輸血を頻繁に必要とするもの 3.急性転化の症状を示すもの |
Ⅱ | 1.発熱、骨・関節痛、るい痩、貧血、リンパ節腫、腫脹、易感染症、肝脾腫等の著しいもの2.輸血を時々必要とするもの
3.容易に治療に反応せず、憎悪をきたしやすいもの |
Ⅲ | 治療に反応するが、肝脾腫を示しやすいもの |
B表
区分 | 臨床所見 |
Ⅰ | 1.病的細胞が出現しているもの。
2.末消血液中の赤血球数が200万/μl未満のもの 3.末消血液中の血小板数が2万/μl未満のもの 4.末消血液中の正常顆粒球数が500/μl未満のもの 5.末消血液中の正常リンパ球数が300/μl未満のもの 6.C反応性タンパク(CRP)の陽性のもの 7.乳酸脱水酸素(LDH)の上昇を示すもの |
Ⅱ | 1.白血球の正常値化し難いもの
2.抹消血液中の赤血球数が200万/μl以上300万/μl未満のもの 3.抹消血液中の血小板数が2万/μl以上5万/μl未満のもの 4.抹消血液中正常顆粒球数が500/μl以上1,000/μl未満のもの 5.抹消血液中の正常リンパ球数が300/μl以上600/μl未満のもの |
Ⅲ | 白血球が増加しているもの |
一般状態区分表
(ア)・・・無症状で社会活動でき制限を受けることなく発病前と同等に含まれるもの
(イ)・・・軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが歩行、軽労働や残業はできるもの。例えば軽い家事、事務など
(ウ)・・・歩行や身の回りのことはできるか、時に少し介助が必要なこともあり、労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
(エ)・・・身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外での外出等がほぼ不可能となったもの
(オ)・・・身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるもの
悪性リンパ腫による障害年金請求の診断書
診断書の重要性
障害年金の手続きにおいて担当医師が作成する診断書は最も重要な書類といえます。
悪性リンパ腫による障害年金請求の審査は、障害認定基準で定められた数値と共に日常生活や就労にどれだけ支障が生じているのかといった点をふくめ総合的に判断されます。
このため、診断書の作成依頼を行う際には、日常生活や就労にどれだけ支障が生じているのかといった点について、担当医師に明確に伝える必要があります。
診断書の記載の注意点
悪性リンパ腫により障害年金の請求に使用する診断書は、「血液・造血器の障害・様式第125号の7」の診断書を使用します。
悪性リンパ腫による障害年金の請求においては、上述のように検査数値以外にも日常生活や就労にいかに支障が生じているのかといった点が総合的に判断されますので診断書⑬欄の「その他の所見欄」にそれらの事項を記載してもらう必要があります。