ギランバレー症候群は手足の力が入らなくなったり痺れ(嚥下の障害、呼吸障害)などの症状が出る疾病です。
10万人に1~2人(年間2,000人)が発症するといわれています。
ギランバレー症候群はその病状により障害年金の対象となる疾病(障害)です。
目次
ギランバレー症候群とは
症状
1~3週間前に咳、発熱、下痢などの風邪の症状が出た後、手足のしびれ、手足や顔の筋力の低下、ものを飲み込みにくくなる、呼吸に支障が生じるなどの症状が出ます。
また症状が進行し立ち上がれない、歩行困難、呼吸困難、水も飲めないといった状態になる場合もあります。
ギランバレー症候群は加齢とともに発症率が高くなる傾向にあります。
原因
ウィルスや菌に感染することがきっかけとなり免疫システムが自分の身体を攻撃することが原因と言われています(自己免疫疾患)。
ギランバレー症候群による障害年金の受給
ギランバレー症候群の初診日
障害年金の手続きを行うためには初診日を特定する必要があります。
初診日とは当該ご病気によって初めて医師の診断を受けた日のことをいいます。
ギランバレー症候群の初診日はギランバレー症候群の症状が出て初めて医師の診断を受けた日であり、ギランバレー症候群と診断された日ではありません。
障害認定基準に該当する病状
障害認定基準
1級・・・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものとする。
この日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度とは他人の介助を受けなければほとんど自分の用を弁ずることができない程度のものである。
2級・・・身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とするものとする。
この日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは必ずしも他人の助けを借りる必要はないが日常生活は極めて困難で労働による収入を得ることができない程度のものである。
3級・・・労働が著しい制限を受けるかまたは労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のものとする。
また「傷病が治らないもの」にあっては労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。
障害手当金・・・傷病が治ったものであって労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。 国民年金・厚生年金保険障害認定基準
ギランバレー症候群の主要な症状である筋力低下により、歩行に支障が生じている場合には障害厚生年金3級に該当する場合があります。
さらに、杖をついても歩行が困難になった場合には、障害基礎年金2級、障害厚生年金2級に該当する可能性があります。
また車椅子を使用しなければ移動できない状態になった場合には、障害基礎年金1級、障害厚生年金1級に該当する可能性があります。
また、下肢の障害だけではなく上肢の障害も加わった場合にはさらに上位の等級に該当する可能性があります。
さらに嚥下の障害、呼吸障害などがある場合はそれらの障害も含めて審査の対象となります。
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
初診日の段階でサラリーマンなどで厚生年金に加入していた場合には障害厚生年金の受給対象となります。
一方で初診日の段階でサラリーマンの配偶者や自営業、学生などで国民年金に加入していた場合には障害基礎年金の受給対象となります。
さらに、初診日が20歳前にある場合にも20歳前傷病による障害基礎年金として障害基礎年金の対象となります。
障害基礎年金には、1級と2級しかありませんので3級の病状に該当する場合には障害年金を受給することができない場合があります。
最も重要な担当医師が作成する診断書
診断書の内容
診断書は下記の動作について一つづつ記載する必要があります。
【下肢の動作】(肢体の障害用の診断書⑱欄「日常生活における動作の障害の程度」)
片足で立つ、座る(正座・横座り・あぐら・足投げ出し等の姿勢を持続する)、深くお辞儀(最敬礼)をする、歩く(屋内)、歩く(屋外)、立ち上がる、階段を上る、階段を下りる
診断書作成時の注意点
上記の動作は補助用具を使用しない状態で判断する必要があります。
担当医師に診断書の作成を依頼した場合、補助用具を使用しない状態で判断しなければならないにもかかわらず補助用具を使用した状態で診断書の作成が行われる場合がありますので注意が必要です。
補助用具を使用した状態で判断した場合、極端に軽い病状の診断書の内容となり、本来障害年金を受給できる病状であるにもかかわらず、障害年金の受給が認められない場合(審査が通らない)があります。
また上記の上肢の動作一つ一つが審査の対象となりますので、診断書の作成を担当医師に依頼する際には、一つ一つの動作の可否(病状)について明確に担当医師に伝え診断書の内容に反映してもらう必要があります。
担当医師は必ずしも患者の病状について明確に理解しているとは言えずまた、忙しい合間を縫って障害年金用の診断書を作成することから、時として現在の病状を反映していない診断書の内容となってしまう場合があるからです。
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