目次
40代女性の双極性感情障害による障害基礎年金2級の受給事例
結果
障害基礎年金2級決定
年金額 780,100円
ご相談
現在、月2回病院を受診し双極性感情障害と診断されているとのことで横浜市神奈川区よりご相談のお電話をいただきました。
初診日が現在より30年以上前とのことで手続きが可能であれば代行を依頼したいとのことでした。
現在の病状について伺ったところ、抑うつ気分が強く、不眠、意欲低下の症状があり家事もままならない状態であるとのことでした。
初めて病院を受診した頃のことを伺ったところ、現在から30年以上前の学生の頃で最寄の病院を受診したとのことでした。このため詳細にお話を伺うためご面談を実施することとしました。
ご面談
発病からの経過
神奈川区のご自宅に伺いご面談を行い発病から現在までの様子を伺ったところ、18歳の頃に摂食障害、不眠、意欲低下、イライラ感などの症状があり家族の勧めで最寄りの病院を受診したとのことでした。
受診の結果投薬治療で様子を見ることとなり、週に2回ほど受診したものの病状が改善せずその後、3ヶ月ほどの入院を5回ほど行ったとのことでした。
その後も病状が改善しなかったため、入退院を繰り返しまた数回転院も行ったとのことでした。
その後、病状が改善した時期に事務職を行った期間もあったものの、長くは続かず退職したとのことでした。
そして病状が悪化したためさらに転院し月に2回ほど受診し投薬治療を継続したものの希死念慮、意欲低下があり回復できず就労もできない期間が続いたとのことでした。
その後、カードで大量の買い物をしてしまったり意欲低下で閉居状態に陥ることもあり、双極性感情障害と診断されるようになったとのことでした。
現在は、希死念慮、うつ状態、過食、不眠、意欲低下などの症状があり月に2回受診し投薬治療を継続しているが病状はあまり改善していないとのことでした。
初診時の病院について
初診時の病院について伺ったところ病院自体はあるものの、カルテが残っていないことが確認済みであるとのことでした。
また2番目、3番目に受診した病院についてもカルテが残ってないことをご自身で確認済みでした。
このため、初診日をカラテかそれ以外の客観的な証拠により証明しなければ障害年金が受給できない旨をご説明しましました。
また初診日が20歳の誕生日よりも前にあることから20歳前傷病による障害基礎年金としてカルテの代わりに当時の事情を知っている三親等内の親族以外の方二名に申立書を作成してもらうことで受診状況等証明書(初診日の証明書)の代わりとすることができる旨をご説明しました。
請求手続き
初診日当時の事情をご存知の第三者がお二人いらっしゃるとのことでしたので、お二人に初診日に関する第三者からの申立書の作成依頼を行うこととしました。
また、初診時に受診した病院の担当医師も当時の記憶があるとのことでしたので、当該医師にも当時の事情について申立書の作成を依頼することとしました。
また現在の病状を記載した診断書に関してはご本人から直接担当医に依頼していただくこととなり、弊所で作成した依頼状を診断書用紙に添付することとしました。
その後、作成していただいた初診日に関する第三者からの申立書を確認したところ、記載内容が不十分である部分があったため記憶の範囲内でさらに詳細に記載していただくこととしました。
また、完成した診断書の内容について確認したところ、診断書内の日付について矛盾している記載がありましたので、弊所から直接担当医師に修正依頼を行い、修正してもらうこととしました。
また、病歴就労状況等申立書をご本人から伺った内容をもとに弊所にて作成しました。
発病から現在まで30年以上経過していたためかなりのボリュームになりましたが、該当期間について過不足なく記載しました。
その後完成した病歴就労状況等申立書、初診日に関する第三者からの申立書、診断書その他必要書類を提出することで手続きを完了し、数ヶ月後に障害基礎年金2級の受給決定を受けることができました。
請求手続きのポイント
初診日に関する第三者の申立書による初診日の特定
本件の場合初診日が30年以上前だったことから病院は残っていたもののカルテが残っておらず、ご本人がご自身で手続きを進めようと思ったものの途中で挫折し、弊所に手続きの代行依頼をいただきました。
初診日が20歳前であったため20歳前傷病による障害基礎年金として受診状況等証明書(初診日の証明書)の代わりに初診日に関する第三者からの申立書を二通提出することで初診日の特定を行うことが可能となりました。
また本件の場合は、初診日に受診した際の担当医師が当時の記憶を持っていたため、念のため担当医師にも初診日に関する第三者からの申立書を作成していただきました。
20歳前と20歳後で異なる扱い
一般論として初診日に関する第三者からの申立書は初診日が20歳前にある場合にはその申立書のみで初診日の証明とされます。
一方で初診日が20歳の誕生日以降にある場合には、当該申立書を一つの資料とみなし、さらに他の客観的な証拠を提出することで初診日の証明が行われたとみなされる場合があります。
このように初診日に関する第三者からの申立書の扱いは初診日が20歳の誕生日より前にあるか後にあるかで異なります。
この理由は20歳の誕生日より前は原則的に障害基礎年金のみからの支給になりますが、20歳の誕生日以降は障害基礎年金と障害厚生年金のどちらかの支給となるため診査が厳格になるところにあります。
本件の場合は、当時の事情をご存知の知人お二人の作成した初診日に関する第三者からの申立書と医師が作成した初診日に関する第三者からの申立書の計3通を提出することで初診日の特定が認められました。
初診日に関する第三者の申立書の作成時の注意点
初診日に関する第三者からの申立書は申立人と本人との関係がどのような関係であるかが診査の判断材料の一つとなります。
当時の事情をよくご存知である近い関係の場合(医療関係者等)には申立書の信憑性も高まりますが、親族の友人などのように関係が薄い場合には信憑性が低くなる場合があります。
また、申立書の内容も日付や病院名、当時の状況などが詳細に記載されている場合には初診日が認められやすくなりますが、記載内容が曖昧な場合には初診日が認められない場合もあります。
※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に則り文章の内容を作成しています。