突発性難聴はある日突然物が聴こえなくなる難聴で、病状により障害年金の対象となる疾病です。
突発性難聴により障害年金を受給するためのポイントについてご説明いたします。
目次
突発性難聴とは
突発性難聴とはある日突然生じる突発的な難聴を言います。患者数は年間全国で35,000人と言われています。
突発性難聴は40~50代に多く発症する傾向がありますが若年層での発症も増加していると言われています。
原因
原因はまだ良く判っていません。ウイルスに感染することで発症するという説や内耳循環が障害されることを原因とする説があります。
症状
症状は文字どおり「突発的な」難聴です。仕事中や休憩中、就寝中などに突然聞こえなくなると言う特徴があります。
また、難聴以外に耳鳴りやめまいなどの症状を伴うことがあります。
突発性難聴は発症してから2週間以内に治療を開始した場合は早期の回復が見込めますが治療が遅れた場合は完治に時間が掛かる場合があると言われています。
突発性難聴による障害年金の受給
突発性難聴により障害年金を受給するためには主に下記の障害年金の受給要件(受給資格)を満たす必要があります。
①初診日を特定する
②保険料の納付要件を満たす
③病状が障害認定基準に定められた等級に該当する
初診日を特定する
初診日の重要性
突発性難聴により障害年金の手続きを行う際にまず初めに行わなければならない重要な作業が初診日の特定を行う作業です。
初診日の特定を行うことで国民年金と厚生年金のどちらから障害年金が支給されるかが決定されるとともに保険料の納付要件も特定された初診日を基準に判断されます。
突発性難聴の初診日は突発性難聴と診断された日ではなく、耳が聞こえなくなり初めて病院を受診した日が初診日となります。
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
障害年金の等級には1級から3級と障害手当金の4段階がありますが、3級と障害手当金は障害厚生年金にのみあり障害基礎年金にはありませんので、初診日の段階で厚生年金に加入していない場合には3級または障害手当金を受給することは出来ません(初診日に国民年金に加入していた場合は障害年金を受給するためには2級以上の病状に該当する必要があります)。
初診日の特定方法
初診日を特定するためには初診日の病院に受診状況等証明書を作成してもらうか、初診から現在まで同じ病院を受診している場合には、現在の病状を記載した診断書(または障害認定日の病状を記載した診断書)の初診日の欄(③欄)に初診日の日付を記載してもらうことで初診日の特定を行います。
保険料の納付要件
障害年金を受給するための「保険料」とは国民年金の保険料をいます。
初診日が20歳前にある場合には、国民年金の保険料を支払う義務がありませんので、保険料の納付要件は問題となりません。
一方で初診日が20歳以降にある場合には一定の保険料を支払っていない場合には障害年金を受給することができません。
保険料の納付要件は特定された初診日を基準に初診日がある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の保険料を支払っている(免除されている)か、65歳未満の場合で初診日がある月の前々月までの直近の1年間保険料の未納がない場合に保険料の納付要件を満たします。
突発性難聴の障害認定基準
1級・・・両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
2級・・・両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
身体の機能障害(難聴)が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上で、かつ最良語音明瞭度が30%以下のものをいう)
3級・・・両耳の聴力が40cm 以上では通常の話し声を解することができない程度に減じたもの
障害手当金・・・一耳の聴力が耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの 障害認定基準より
突発性難聴の診断書
突発性難聴により障害年金を請求する場合も他の傷病の場合と同様に担当医師が作成する診断書は最も重要な書類となります。
突発性難聴による障害年金の手続きに使用する診断書は「聴覚の障害・様式第120号の2」の診断書用紙を使用します。
診断書用紙中⑩欄「障害状態」の(1)聴覚障害の欄に「聴力レベル(デシベル)」「最良語音明瞭度(%)」「オージオグラム」「語音明瞭度曲線」についてそれぞれ担当医師に記載してもらいます。
また⑪欄「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」の欄には突発性難聴により日常生活や労働にどのように支障が生じているのかといった点について記載してもらいます。
障害年金は、日常生活や就労に支障が生じている場合に支給されるものですので⑪欄は重要な記載事項といえます。
更に⑫欄「予後」についても今後突発性難聴の回復可能性について記載してもらいます。