多発性嚢胞腎は腎臓に嚢胞ができることで腎不全に陥ってしまう遺伝性の疾病で病状により障害年金の対象となります。
目次
多発性嚢胞腎とは
原因
多発性嚢胞腎は遺伝性の病気で生まれた時から嚢胞が増えこのことにより腎臓の機能が低下してしまい腎不全に陥ってしまいます。
症状
症状は30代から40代になるまで出ないことが多くスポーツ時の外傷などで肉眼的血尿、腹痛、腰背部痛などの症状が現れます。
多発性嚢胞腎に生じる痛みは嚢胞が増加することで腎臓が大きくなりそのことで腎臓を覆っている膜が伸ばされてしまうことで生じます。
40代頃から腎機能が低下し70歳頃には患者の半数が腎不全の状態になると言われています。
多発性嚢胞腎による障害年金の受給
障害年金とは
障害年金とは国民年金または厚生年金から支給される障害者のための年金です。
年金には、老齢年金、遺族年金、障害年金の区別があり、障害年金は傷病により就労や日常生活に支障が生じた場合に支給される年金です。
多発性嚢胞腎により障害年金を受給するためには一般的な障害年金の受給要件を満たす必要があります(受給資格)。
障害年金の受給要件
障害年金の受給要件を満たすためには初診日(多発性嚢胞腎により初めて医師の診断を受けた日)を特定し、特定された初診日を基準に国民年金の保険料の納付要件を満たし、病状が障害認定基準に定められた等級に該当する必要があります。
初診日の特定
多発性嚢胞腎は30代から40代まで症状が現れない特徴があります。
このため高血圧や血尿、腰痛のため精密検査を行った結果多発性嚢胞腎が発見される場合がありこの場合は精密検査を行った日が初診日となります。
また、何らかの症状が出て病院を受診した場合は最初に医師の診断を受けた日が初診日となり多発性嚢胞腎と診断された日が初診日となる訳ではありません。
保険料の納付要件
保険料の納付要件を満たすためには特定された初診日を基準に初診日がある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の国民年金保険料を支払っている(免除受けている)か、初診日のある月の前々月までの直近の1年間に保険料の未納がない場合に保険料の納付要件を満たすこととなります。
障害認定基準
多発性嚢胞腎により障害年金を受給するためには障害認定基準によって定められた等級に病状が該当している必要があります。
多発性嚢胞腎により腎不全となり人工透析療法施行中の場合は障害年金2級に認定されます。
1級の認定基準
病状が「身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるもの」でありかつ検査数値が以下の(ア)(イ)どちらかに該当する場合
(ア)内因性クレアチニンクリアランス値が10ml/分未満
(イ)血清クレアチニン濃度が8mg/dl以上
2級の認定基準
病状が下記の(A)または(B)のどちらかに該当しかつ(ア)(イ)のいずれにも該当するか(ア)(イ)のいずれかが高度異常に該当するもの。または人工透析療法施行中のもの。
(A)「歩行や身の回りのことはできるが、ときに少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが日中の50%以上は起居しているもの」または
(B)「身の回りのある程度のことはできるがしばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの」
(ア)内因性クレアチニンクリアランス値が10ml/分以上20ml/分未満(高度異常:10ml/未満)
(イ)血清クレアチニン濃度が5mg/dl以上8mg/dl未満(高度異常:8mg/dl以上)
3級の認定基準
病状が(A)または(B)のどちらかに該当しかつ(ア)または(イ)のどちらかに該当するもの。
(A)「軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが歩行、軽労働や座業はできるもの。例えば軽い家事や事務など」
(B)「歩行や身の回りのことはできるが、ときに少し介助が必要なこともあり軽労働はできないが日中の50%以上は起居しているもの。」
(ア)内因性クレアチニンクリアランス値が20ml/分以上30ml/分未満
(イ)血清クレアチニン濃度が3mg/dl以上5mg/dl未満
(ウ)1日の尿蛋白量が3.5g以上を持続し、かつ②血清アルブミンが3.0g/dl以下又は③血清総蛋白6.0/dl以下
国年・厚生年金令障害認定基準(認定要領)より