目次
日野市の50代男性の双極性感情障害による障害基礎年金2級の受給事例
決定
障害基礎年金2級決定
年金額 780,100円
ご相談
現在双極性感情と診断され病院を受診しているとのことでご相談のお電話をいただきました。
障害年金の手続きを行いたいが、自分では難しいため手続きの代行をお願いしたいとのことでした。
現在の病状について伺ったところ意欲低下、集中力低下、思考力低下などの症状がありまた希死念慮もあるため、仕事もできず日常生活には支障が生じているとのことでした。
初めて病院へ受診した頃のことを伺ったところ、現在より15年ほど前に不眠や食欲不振などの症状が出たため、日野市内の病院を受診したとのことでした。
保険料の納付状況について伺ったところ、「国民年金と厚生年金の加入期間があるものの、保険料の未納はないと思うが確認はしていない」とのことでした。
このことから、さらに詳しくお話を伺うためご面談を実施することとしました。
ご面談
ご面談時に発病から現在までの様子を伺ったところ、今から15年ほど前に仕事を退職し自営業となったがそのストレスからか不眠や食欲不振などの症状が出たため日野市内の病院を受診したとのことでした。
受診後投薬治療を開始したものの病状が改善しなかったため転院したとのことでした。
転院後うつ病と診断され、投薬治療を継続したものの病状は改善せず自殺未遂を起こし入院となったとのことでした。
退院後も投薬治療を継続したものの、病状が改善せず一日家で横になっていることが多くなったとのことでした。
その後担当医師との相性が悪かったため転院したが、意欲低下、不眠、食欲不振などの症状が改善せず就労が行えない状態で奥様の収入に頼る生活が続いたとのことでした。
現在も意欲低下、集中力低下、思考力低下、希死念慮の症状があり就労ができず日常生活にも支障が生じているとのことでした。
障害認定日(初診日から1年6ヶ月後の日)の受診について伺ったところ、初診時から継続して病院を受診していたため、障害認定日当時も受診は行っていたとのことでした。
また保険料納付状況についてご面談に先立ち弊所にて代理で確認したところ、保険料の納付要件は満たされている事が判りました。
請求手続き
事後重症請求
障害認定日当時に受診していた病院に確認したところ、すでにカルテが廃棄されており障害認定日当時の診断書入手することができないことが判りました。このため、遡りでの請求(遡及請求)を行うことはできず事後重症請求を行うこととなりました。
初診日の特定
このため初診時の病院に受診状況等証明書(初診日の証明書)の作成依頼を行ったところ、初診時から15年が経過していたため、カルテが廃棄されていることが判明しました。
このため2番目に受診した病院にカルテの有無について確認したところ2番目の病院にもカルテが残っていないことが判りました。
さらに3番目の病院に15年前のカルテの有無について確認したところ、カルテが残っていることがわ分かったため、3番目の病院に受診状況等証明書の作成依頼を行いました。
受診状況等証明書完成後、内容を確認したところ初診時の病院名、日付、2番目の病院の病院名及び日付が明確に記載されていました。
このため、3番目の病院の受診状況等証明書により、初診日の特定を行うことができました。
診断書の作成依頼
また、現在の病状記載した診断書に関しては、弊所で作成した依頼状を診断書用紙に添付することとしました。
担当医師が作成する診断書は、障害年金の手続きにおいて最も重要な書類の一つです。
一方で、診断書の内容は時として現在の病状を反映していないものとなる場合があります。
理由の一つとして担当医師も患者と生活をともにしてるわけではありませんので病状のすべてを理解していないことを揚げる事が出来ます。
このため、依頼状を作成することで、現在の病状を明確に担当医師に伝えることで現在の病状を反映した診断書を入手することが可能となります。
さらに、ご面談時で伺った内容をもとに弊所にて病歴就労状況等申立書を作成し、完成した受診状況等証明書、診断書、その他必要書類とともに提出することで手続きを完了し、数ヶ月後に障害基礎年金2級の受給決定を受けることができました。
請求手続きのポイント
受診状況等証明書の取得
本件の場合、初診時の病院及び2番目の病院のカルテがすでに廃棄されており、初診時の病院に受診状況等証明書を作成してもらうことはできませんでした。
カルテは、法律で5年間の保存義務がありますが、病院によっては法定の保存期間を経過すると廃棄してしまう場合があります。
本件の場合も初診時から15年が経過していたため、カルテが廃棄されており受診状況等証明証を入手することができませんでした。
一方で3番目に受診した病院にカルテが残っており、当該カルテに初診時の病院及び2番目の病院の病院名、受診日が記載されていたため、3番目の病院のカルテにより初診日の特定を行うことができました。
初診日の特定の重要性
初診日を特定することは障害年金の手続きにおいて、最も重要な要素を一つです。
初診日が特定できない場合には、障害年金の手続きを行うことはできません。
一般的には最初に受診した病院に受診状況等証明書を作成してもらうことで初診日を特定することになりますが、最初に受診した病院にカルテが残っていない場合には本件のように2番目ないし3番目またはそれ以降の病院のカルテにより初診日を特定することとなります。
同居家族の有無と障害年金の受給
本件の場合ご病気のために就労ができず日常生活にも支障が生じており、奥様に日常生活の介助とともに収入の面でも頼られている例でした。
一方で、一人暮らしを行っている場合には障害年金が受給できないと言われる場合もありますが、一人暮らしの場合でも病状により障害年金を受給できるケースは多くあると思われます。
ただ、日常生活に著しく支障が生じていることが障害年金2級の認定基準となっていますので、一人暮らしを行えるということは病状が軽いと判断される可能性は否定できないと思われます。
※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に則り文章の内容を作成しています。