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神奈川県の20代女性の知的障害による障害年金の受給事例
神奈川県内にお住いの20代の女性についての障害基礎年金2級の受給に成功した事例につきましてご紹介しています。
知的障害の場合には「初診日の特定」や「保険料の納付要件」について他の障害とは異なる扱いがされます。
結果
障害基礎年金2級決定
年金額 780,100円
ご相談
現在、神奈川県内の病院を受診中で知的障害と診断されており障害年金の手続きを依頼したいとのことでご相談のお電話をご本人のお父様からいただきました。
現在の病状について伺ったところ、食事や洗濯、身の回りのことなど日常生活全般について両親の介助が必要になっているとのことでした。
このことから、一度ご面談を実施しさらに詳しくお話を伺うこととしました。
ご面談
神奈川県内のご自宅までお伺いしご面談を実施しました。
ご面談時に出生から現在までの様子について伺ったところ、保育園の時から他人とうまくコミニュケーションを取ることができなかったとのことでした。
その後小学校入学に際し、特殊学級に入学させるか普通学級に入学させるべきか悩んだものの先生のアドバイスもあり悩んだ末普通学級に入学させたとのことでした。
小学校入学後も他人とコミュニケーションをとることが難しく、成績も良くなかったとのことでした。
小学校低学年の頃は友人もいましたが、上級生になる頃には友人はほとんどいなくなっていたとのことでした。
その後中学校入学後は、特殊学級に入り通常通り通学は行っていたとのことでした。
そして、中学校卒業後、高校は神奈川県内の養護学校に入学したとのことでした。
高校卒業後、進学も考えましたが途中で断念しまた就職先も探しましたが、就職先が見つからず現在は自宅で療養しているとのことでした。
日常生活全般について伺ったところ、食事や洗濯、自室の掃除、着替え、通院などすべてにおいて両親の援助が必要で1人ではほとんど行えないとのことでした。
遡りでの請求(遡及請求)の可能性を探るため、20歳前後の病院の受診について伺ったところ受診は最近までほとんど行っていなかったとのことでした。
請求手続き
現在の病状を記載した診断書に関しては、ご面談時に伺った内容をもとに弊所にて依頼状作成し、担当医師に渡していただくこととなりました。
また、20歳前後を含めて最近まで病院を受診したことがなかったため、遡及請求(さかのぼりでの請求)を行うことはできず事後重症請求を行うこととなりました。
その後、完成した診断書の内容を確認したところ、記載内容に数ヶ所矛盾する部分があったため、弊所から直接病院に修正依頼を行いました。
また、病歴就労状況等申立書をご面談時に伺った内容をもとに弊所にて詳細に作成し、完成した診断書、必要書類とともに提出することで手続きを完了し、数ヶ月後に障害基礎年金2級の受給決定(永久認定)を受けることができました。
請求手続きのポイント
初診日の特定
障害年金を受給するためには、障害年金の一般的な受給要件を満たす必要があります(受給資格)。
知的障害の場合には受給要件についていくつかの例外が定められています。
知的障害は先天性の疾患のため初診日は生まれた日(誕生日)となり初診日を特定する必要がありません。
このことから、他の疾患のように初診日のカルテが廃棄されているために手続きを行えなくなるということがありません。
同じ先天性の疾病でも発達障害の場合には、成人してから症状が顕著に現れる場合があるため、原則通り初めて医師の診断を受けた日が初診日となります。
一方で初診日が生まれた日となるため病歴就労状況等申立書に関しては、生まれた日から現在までの様子について記載しなければなりません(通常は発症から現在までの様子を記載します)。
また、知的障害の場合の障害認定日は、20歳の誕生日の前日となり認定日の診断書は20歳の誕生日の前後3ヶ月計6ヶ月以内の病状を記載したものを提出する必要があります(二十歳前傷病による障害基礎年金)。
保険料の納付要件
障害年金を受給するためには保険料の納付要件を満たす必要があります。一般的には保険料の納付要件を満たすためには初診日を基準に直近の1年間に保険料の未納がないか。
または、20歳から現在までの被保険者期間の3分の2以上の保険料を支払っている場合に保険料の納付要件を満たすこととなります。
一方で知的障害の場合には初診日が生まれた日(誕生日)となりますので二十歳前傷病による障害基礎年金として保険料の納付要件を問われることがありません。
本件の事例の場合にも保険料の納付要件を問題とすることなく障害基礎年金2級を受給することが可能となりました。
障害認定基準に該当する病状
知的障害により障害年金を受給するためには病状が障害認定基準の等級に該当する必要があります。
一般的に日常生活に著しい支障が生じている場合には、障害基礎年金2級に該当するといわれていますが、本件の場合には食事、洗濯、掃除、通院など日常生活全般に両親の介助が必要となっていましたので障害認定基準の等級に該当し、障害基礎年金2級に認定されました。
有期認定と永久認定
また、障害年金の認定には有期認定と永久認定の2種類があり、本件の場合は先天性の疾患ということと病状が重かったこともあり永久認定となりました。
有期認定の場合には1年から5年の範囲で診断書を継続的に提出する必要がありますが、永久認定の場合にはその必要がありません。
※本件受給事例は個人情報保護法の趣旨に則り文章の内容を作成しています。