シェーグレン症候群は論文を提出したスイスの医師であるヘンリック・シェーグレンにちなんで命名された疾病で厚生労働省により難病に指定され、その病状により障害年金を受給することが出来るご病気です。
患者の数は10万人~30万人ほどではないかと言われています。
女性に圧倒的に多い病気で関節リウマチや膠原病の患者に併発する(または膠原病そのものとして)場合があります。
目次
シェーグレン症候群とは
症状
ドライアイ(目がゴロゴロする・充血する・疲れやすい等)、ドライマウス(口内炎・食べ物を飲み込みづらくなる・虫歯にかかりやすくなる)、鼻が渇く、膣乾燥、関節炎、間質性肺炎、胃炎、疲労感、頭痛、記憶力低下、めまい、抑うつ気分等
原因
自己免疫疾患、遺伝、ウィルス、ホルモンなどの要因が複合的に作用して発症すると言われています。
シェーグレン症候群による障害年金の受給
障害年金の受給要件
障害年金の受給要件は初診日を特定し、特定された初診日を基準に保険料の納付要件を満たし病状が障害年金の認定基準によって定められた等級に該当する必要があります(受給資格)。
初診日の特定
障害年金の手続きにおける初診日とは当該ご病気によって初めて医師の診断を受けた日をいます。
症状が出て初めて医師の診断を受けた日が初診日となり、シェーグレン症候群と診断された日が初診日となるわけではありません。
一般的には初診日の特定は初診日の病院に残っているカルテに基づいて受診状況等証明書(初診日の証明書)を作成してもらうことで行います。
一方で、初診日から現在まで同じ病院を受診している場合や初診日の病院と障害認定日の病院が同じ場合には、障害年金用の診断書に初診日の日付を記載してもらうことで初診日の特定を行うことができます。
保険料の納付要件
特定された初診日を基準に初診日がある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の保険料を支払っているか、初診日の前々月までの直近の1年間に保険料の未納がない場合に保険料の納付要件を満たすこととなります。
障害認定基準の等級に該当する病状
障害年金を受給するためにはシェーグレン症候群の病状が障害認定基準の等級に該当する必要があります。
シェーグレン症候群の病状のうち障害年金の対象となる主な病状としては関節炎をあげることができます。
関節炎により上肢や下肢の動きに支障が生じ、このことによって日常生活や就労に支障が生じている場合には、障害年金の対象となる場合があります。
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金の区別があり初診日に加入していた年金により、初診日の時点で国民年金に加入していた場合には国民年金から障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合には厚生年金から障害厚生年金が支給されます。
障害基礎年金には1級と2級の2等級、障害厚生年金の場合は1級から3級と障害手当金の4等級があり障害基礎年金に比べ障害厚生年金の方が保護が手厚くなっています。
障害認定基準
シェーグレン症候群により障害年金を受給するためには下記の障害認定基準に病状が該当する必要があります。
1級・・・シェーグレン症候群により身の回りのことは辛うじてできるが、それ以上の活動をできないものまた行ってはいけないもの、すなわち病院内の生活で言えば活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活って言えば活動の範囲が概ね就床ベッドの周辺に限られるものである。
2級・・・シェーグレン症候群により家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)は出来るが、それ以上の活動できないものまたは行ってはいけないもの。
すなわち病院内の生活で言えば、活動の範囲が概ね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活で言えば、活動の範囲が概ね家屋内に限られるものである。
3級・・・シェーグレン症候群により労働が著しい制限を受けるかまたは労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
また「傷病が治らないもの」にあっては労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。
「傷病が治らないもの」については障害手当金に該当する程度の障害の状態がある場合であっても3級に該当する。
診断書の内容(肢体の障害)
シェーグレン症候群により障害年金を請求する場合、担当医師が作成する診断書は最も重要な書類といえます。
診断書裏面の⑱欄「日常生活における動作の障害の程度」は「〇、〇△、△×、×」の4段階でそれぞれの動作について記載します。
各欄には記載漏れがないように注意するとともに、時として現在の病状よりも軽く記載されてしまう場合がありますので、担当医師に現状を明確に伝えるようにする必要があります。
また⑲欄「補助用具の使用状況」については使用している補助用具(杖、松葉杖、車椅子、歩行車)について常時使用しているか、常時ではないが使用しているかについて使用状況を含めて詳しく記載する必要があります。
さらに㉑欄「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」についてはシェーグレン症候群により労働にどのような支障が生じているかまた日常生活にどのような支障が生じているのかといった点について明確に記載する必要があります。
また㉒欄「予後」に関しては今後回復の見込みがあるかどうかについて記載し、回復の見込みがある場合はその点を記載します。
診断書用紙の選択
シェーグレン症候群の場合症状が多岐に渡るため障害年金の手続きを行う場合には、それぞれの症状に合わせた診断書用紙を用いる必要があります。
関節炎などによって肢体に障害がある場合には肢体の障害用の診断書用紙を使用します。
その他内臓疾患がある場合や精神疾患がある場合はそれぞれの診断書用紙(呼吸器疾患・消火器疾患・精神・その他)を使用する必要があります。
診断書の選択を誤ってしまう場合、障害年金を受給できる病状であるにもかかわらず障害年金が受給できなくなってしまう場合もあります。
診断書には血液検査(涙腺分泌量、唾液分泌量等)の検査結果を記載してもらう必要があります。
検査数値が軽い場合にも症状が重く就労や日常生活に支障が生じている場合には障害年金を受給できる可能性があります。