上肢を切断してしまった場合、病状により障害年金を受給する事が出来ます。
切断しまった状態による障害認定基準により1級から3級および障害手当金の4段階の年金又は一時金を受給できる可能性があります。
目次
上肢切断による障害年金の受給
障害年金を受給するためには、障害年金の受給資格を満たす必要があります。
障害年金の受給資格を満たすためには初診日を特定し、特定された初診日を基準に保険料の納付要件を満たし、傷病が障害認定基準の等級に該当する必要があります。
初診日の特定
初診日の特定方法
障害年金の手続きにおいての初診日とは「初めて医師の診断を受けた日」をいいます。
上肢切断の場合は他の傷病と比べて初診日の特定が問題となることは少ないと思われますが初診日から長期間経過した後に障害年金の手続きを行う場合は初診時のカルテが廃棄されているなどで初診日の特定が難しくなる場合があります。
一般的に初診日は初診時の病院のカルテに基づいて受診状況等証明書(初診日の証明書)を作成してもらうことで行います。
障害基礎年金と障害厚生年金の違い
初診日に加入していた年金が厚生年金の場合には、障害厚生年金の受給が可能となります。
障害厚生年金には1級から3級と障害手当金の4段階の年金及び一時金があります。
このため、障害年金の対象となる病状が幅広く、比較的軽度の障害の場合にも障害年金或いは障害手当金をできる可能性があります。
一方で、初診日に国民年金に加入していていた場合には、国民年金から障害基礎年金が支給されます。
障害基礎年金の場合は1級と2級しか無いため3級以下の病状に該当する場合には、障害年金を受給することができません。
このように特定された初診日の時点で加入していた年金(国民年金及び厚生年金)により、障害年金の受給の可否に違いが生じます。
保険料納付要件
特定された初診日を基準に初診日のある月の前々月までの被保険者期間の3分の2以上の保険料を支払っている(免状受けている)か、65歳未満の場合で直近の1年間に国民年金保険料の未納がない場合に保険料の納付要件を満たしているといえます。
障害認定基準
上肢の切断の場合には以下の障害認定基準が定められています。
1級・・・両上肢の機能に著しい障害を有するもの。
両上肢のすべての指を欠くもの。
両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの。
2級・・・両上肢の親指及び人差し指または中指を欠くもの。
両上肢の一上肢のすべての指を欠くもの。
身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるかまたは日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
3級・・・一上肢の3大関節の内、2関節の用を廃したもの。
長管状骨に偽関節を残し運動機能に著しい障害を残すもの。
一上肢の親指および人差し指を失ったもの、または親指もしくは人差し指を併せ一上肢の3指以上を失ったもの。
親指をおよび人差し指を併せ一上肢の4指の用を廃したもの。
身体の機能に労働が著しい制限を受けるかまたは労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの。
障害手当金・・・一上肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの。
長管状骨に著しい転位変形を残すもの。
一上肢の2指以上を失ったもの。
一上肢の人差し指を失ったもの。
一上肢の3指以上の用を廃したもの。
人差し指を併せ一上肢の2指の用を廃したもの。
一上肢の親指の用を廃したもの。
身体の機能に労働が制限を受けるかまたは労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの。 障害認定基準より
※障害手当金は初診日から5年以内に傷病が治り治った日から5年以内に請求することで受給する事が出来る一時金です。
「傷病が治った」場合とは完治したという意味ではなく治療しても病状の改善が見られない場合を言い、上肢の切断はまさにこの要件に合致します。
障害認定日の特例について
障害認定日とは
障害認定日とは障害年金の手続きにおいて障害の程度を決定するための日を言い、原則として初診日から1年6ヶ月後の日を言います。
障害年金の手続きは障害認定日から行うことが可能となり、それ以前は行うことができません。
障害認定日の特例
障害認定日には特例が設けられており、上肢を切断した場合には切断した日が障害認定日(特例)とされており切断した日から障害年金の手続きを行うことができます。